谷川万次郎

主に読書に関することを書いてます。|小説・ノンフィクション・自己啓発・日本史・世界史|…

谷川万次郎

主に読書に関することを書いてます。|小説・ノンフィクション・自己啓発・日本史・世界史|登山|美術館|映画|

最近の記事

『どうしてわたしはあの子じゃないの』(寺地はるな著)を読了。

寺地はるな(著)『どうしてわたしはあの子じゃないの』を読み終えました。 第三章では、中学生時代の幼馴染が、30歳になって地元で再会します。 どこかにありそうな話ですが、描写と展開は、この作品にしかない物語となっています。 誰も他人と同じ人生を歩むことはできません。この世の中に、同じ物語は存在しないのです。 シェイクスピアの『ハムレット』には、人生は選択の連続であるという有名な台詞があります。 いつ、どこで生まれるかは、自分で選択することはできません。 都会に生まれるか田

    • 『絵を見る技術』(秋田麻早子著)第5章:名画の裏に構造あり

      秋田麻早子(著)『絵を見る技術』を読み進めています。 この本は、今年の6月に買って本棚に並べており、気が向いたときに少しずつ読み進めています。 これまで、「フォーカルポイント」、「視線誘導」、「バランス」、「色」について学んできました。 そして、第5章では、サブタイトル『名画の構造を読み解く』にもなっている「構造」です。 「構造」と聞くと、とても難しくてとっつきにくいイメージがあります。 しかし、『絵を見る技術』では、実際の名画に線を入れた図で解説がされているので、すぐに

      • 『365日でわかる日本史』(八幡和郎著)を、オーディオブックで聴き始める。

        八幡和郎(著)『365日でわかる日本史』を、オーディオブックで聴き始めています。 以前、『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』という本を買ったのですが、未だに「積読本」として本棚に鎮座しています。 最近、本屋さんに行くと、こういったよく似たタイトルの本が並んでいます。 「1日1ページ読むだけ」と聞くと、誰でも簡単に賢くなるような気持ちになります。 1年後には、教養で満たされている自分を想像するのです。 しかし、読書を毎日続けるというのは、そんなに甘いもので

        • 『水車小屋のネネ』(津村記久子著)を、オーディオブックで聴いて、お蕎麦を食べたくなる。

          津村記久子著『水車小屋のネネ』を、オーディオブックで聴き終えました。 全16時間02分という長い作品でしたが、文字を読むのではなく、耳で聴く小説の世界を存分に楽しめました。 作品は、18歳と8歳のときに家を出た姉妹の、約40年間の物語です。 登場人物も、心があったかい人たちばかりで、物語を聴いている自分も、優しい気持ちになります。 タイトルの通り、水車小屋が物語の中心に存在します。 そして、ネネというのは、その水車小屋で飼われているヨウムという鳥の名前です。 このネネと

        『どうしてわたしはあの子じゃないの』(寺地はるな著)を読了。

        • 『絵を見る技術』(秋田麻早子著)第5章:名画の裏に構造あり

        • 『365日でわかる日本史』(八幡和郎著)を、オーディオブックで聴き始める。

        • 『水車小屋のネネ』(津村記久子著)を、オーディオブックで聴いて、お蕎麦を食べたくなる。

          『陥穽ー陸奥宗光の青春』(辻原登著)|第二部を読み終える

          辻原登(著)『陥穽ー陸奥宗光の青春』の、第二部まで読み進めました。 1603年に徳川家康が開いた江戸幕府は、「大政奉還」により265年続いた体制が終わります。 そして、常に物語中心にいた坂本龍馬がこの世から去りました。 坂本龍馬の評価については、様々な意見がありますが、幕末という激動の時代を生き、多くの人たちに影響を与えた人物であることには間違いありません。 特に、彼の思想や行動に影響を受けた伊達小二郎(後の陸奥宗光)は、明治維新後に外交官や政治家として活躍をします。 こ

          『陥穽ー陸奥宗光の青春』(辻原登著)|第二部を読み終える

          津村記久子著『水車小屋のネネ』|聴き進めていくほどに優しくなれる物語

          津村記久子著『水車小屋のネネ』を、オーディオブックで聴き進めています。 全16時間02分の作品ですが、現在13時間27分まで聴き進みました。 高校を卒業したばかりの18歳の姉と、小学2年生の8歳だった妹が家を出てから31年が経ち、それぞれ49歳と39歳になりました。 周りの人たちに支えられて生きてきた2人は、支える側の人間に成長しました。 聴き進めていきながら、お金の問題と仕事をすることの意味、教育問題や子育ての問題など、世の中を生きていく上で、必要でかつ大切なことを、教

          津村記久子著『水車小屋のネネ』|聴き進めていくほどに優しくなれる物語

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|戦国時代の英雄、黒田官兵衛登場!

          引き続き、井原忠政著『上田合戦仁義』を読み進めています。 とはいえ、ほとんどページは進んでいません。 2泊3日の帯広への出張の帰りの飛行機で読もうと思っていたのですが、席に座った途端に夢の中に引き込まれてしまいました。 そして帰宅後も疲れのせいか、すぐに寝てしまいました。 寝たいときにすぐに眠れるのは、私の得意技でもあるのです。 少しだけ読み進めたページの中に、黒田官兵衛が登場します。 このとき黒田官兵衛は37歳です。信州の真田昌幸と同年代です。 黒田官兵衛と真田昌幸、

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|戦国時代の英雄、黒田官兵衛登場!

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|出張先のホテルで読み進める

          昨日から読み始めている、井原忠政著『上田合戦仁義』を、出張先のホテルで、読み進めました。 出張先での夜は、懇親会が付きものです。 お酒を飲むとすぐに眠くなってしまう私は、ホテルに帰って本を読んでも、ほとんどページが進みませんでした。 徳川家康の次男として生まれた於義丸(後の結城秀康)は、羽柴秀吉の養子となり、その後の人生は戦国時代の荒波に揉まれていきます。 主人公の茂兵衛が今後、於義丸とどのように絡んでいくのでしょうか。 また、タイトルのとおり、クライマックスは「上田合戦

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|出張先のホテルで読み進める

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|を読み始める

          井原忠政著『上田合戦仁義』を読み始めています。 「三河雑兵心得シリーズ」の9巻目になります。 「三河雑兵心得シリーズ」は、百姓出身である茂兵衛という徳川家の家臣の姿を描いた物語です。 前作、『小牧長久手仁義』では、羽柴秀吉と織田信雄の和議という形で、戦は終結しました。 戦場での戦いは、徳川軍の勝利と言えるものの、とても後味の悪い終結となりました。 終戦後も、現実的には軍事力の差は歴然としていて、羽柴秀吉の方が断然優勢でした。 そんな状況の中で、お互いが歩み寄り、羽柴秀吉が

          『上田合戦仁義ー三河雑兵心得⑨』(井原忠政著)|を読み始める

          『どうしてわたしはあの子じゃないの』(寺地はるな著)|第二章まで読み進む

          寺前はるな著『どうしてわたしあの子じゃないの』という小説を読み進めており、現在、第二章まで読み終えたところです。 女子中学生2人と、男子中学生1人の視点が順番に切り替わって描かれていきます。 3人の内心を、絶妙な筆致で描かれており、中学生の気持ちに入り込んでしまいます。 この作品は、青春物語であり、恋愛物語です。 現時点では、涙を誘うような悲しい場面や、感動的な場面は描かれていません。 しかし、小さな事件は積み重なっていきます。 物語の中心に存在するのが、地元に昔から伝わ

          『どうしてわたしはあの子じゃないの』(寺地はるな著)|第二章まで読み進む

          阿部謹也著『ハーメルンの笛吹き男』|Googleマップでは辿れない、中世ドイツの世界

          阿部謹也著『ハーメルンの笛吹き男』とい本を読み進めています。 しかし、思うようにページが進みません。 その理由は、中世のドイツ(神聖ローマ帝国)のイメージが、全く湧いてこないからです。 実際に行ったことのない土地のことは、上手く想像できません。 Googleマップという便利な機能を駆使しても、実際に体験することはできないのです。 イメージが湧かないもののひとつに「市壁」があります。 中世のドイツ(神聖ローマ帝国)では、街を囲むように「市壁」を作ることが一般的でした。 「市

          阿部謹也著『ハーメルンの笛吹き男』|Googleマップでは辿れない、中世ドイツの世界

          内澤旬子著『私はヤギになりたい』|ヤギとの暮らし方と雑草の知識が身につく本

          内澤旬子著『私はヤギになりたい』という本を、読み進めています。 著者の内澤旬子さんは、小豆島で5頭のヤギと一緒に暮らしています。 ヤギを飼ったことがなく、これからヤギを飼おうと考えている人には、とても参考になる本です。 ヤギはご存じのとおり、草食動物です。だから毎日、草を食べて生きています。 しかし、どんな草でも食べるのかというと、そうではありません。 ヤギによって好き嫌いがあるし、毒があって食べてはいけない草もあるのです。 また、同じ草でも季節によって食べる時期と食べな

          内澤旬子著『私はヤギになりたい』|ヤギとの暮らし方と雑草の知識が身につく本

          津村記久子(著)『水車小屋のネネ』|厳しい環境の中で小さな幸せを見つけ出していく姉妹

          今日この頃、オーディオブックで小説を聴きことにも、徐々に慣れてきました。 今は、津村記久子(著)『水車小屋のネネ』を聴き始めています。 津村紀久子さんの作品を聴くのは今回が初めてで、紙の本でも読んだことはありません。 だから、どんな雰囲気の作品なのか、とても興味深く聴き進めています。 『水車小屋のネネ』は、2024年本屋大賞2位に輝いた作品です。 津村紀久子さんにとっては、本屋大賞にノミネートされたこと自体、この作品が初めてです。 まだ、聴き始めたところですが、さすが本屋

          津村記久子(著)『水車小屋のネネ』|厳しい環境の中で小さな幸せを見つけ出していく姉妹

          辻原登(著)『陥穽-陸奥宗光の青春』|陸奥宗光と坂本龍馬が交差する幕末

          辻原登(著)『陥穽-陸奥宗光の青春』という本を読み進めています。 物語は、1866年「第二次長州征伐」まで読み進んできました。 「第二次長州征伐」の幕府軍の数は約15万人ということですから、「大坂夏の陣」以来の大規模な日本国内での戦となりました。 圧倒的な人数の差がありながらも幕府軍は敗北してしまいます。 戦というのは、人数が多いだけで優位とは限らないのです。 この作品の主人公は伊達小次郎(陸奥宗光)なのですが、薩長同盟から大政奉還までは、坂本龍馬が主役の座に座ります。

          辻原登(著)『陥穽-陸奥宗光の青春』|陸奥宗光と坂本龍馬が交差する幕末

          『存在のすべてを』オーディオブックで塩田武士の世界に没入|絵画と伏線の秘密

          塩田武士(著)『存在のすべてを』をオーディオブックで聴き終えました。 全18時間58分という、長い物語でした。 塩田武士さんについては以前、『罪の声』という作品を読んだことがあります。 『罪の声』は、1984年〜1985年に大阪で発生した「グリコ・森永事件」をモチーフにした作品でした。 『存在のすべてを』は、モチーフにした事件はありませんが、未解決事件を長い年月をかけて解明していくという意味では、『罪の声』と共通点があります。 そして、どちらの作品も、幼い子供が事件の犠

          『存在のすべてを』オーディオブックで塩田武士の世界に没入|絵画と伏線の秘密

          秋田麻早子(著)『絵を見る技術』第4章:なぜ、その色なのか?|フェルメールの「青」の秘密

          秋田麻早子(著)『絵を見る技術』という本の、第4章「なぜ、その色なのか?」を読みました。 幼稚園から小学生に上がるとき、教科書や体操服と一緒に、絵の具と筆とパレットが入っている、画材セットというのも買ってもらいました。 子供の頃から、24色絵の具を使って絵を描くことができる私たちは、とても幸せです。 17世紀頃まで、絵の具はとても貴重なものでした。 特に青い絵の具は高価で、ラピスラズリという半貴石を原料とする「ウルトラマリン」は、金と同じくらいの価値がありました。 こ

          秋田麻早子(著)『絵を見る技術』第4章:なぜ、その色なのか?|フェルメールの「青」の秘密