大河ドラマから見る武器の流れ
今年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。
毎週楽しみにして観ている。
現在放送されている時代背景は平安時代の末期で、いよいよ頼朝が挙兵に動き出している。
この頃の戦いのシーンで使われている武器は刀、槍、弓矢である。
どの武器にしても1対1の戦いになるので、戦う人の数が多い方が絶対的に有利になる。
2020年「麒麟がくる」
日本に鉄砲が伝わったのは1543年。
鹿児島県の種子島に漂流した中国船に乗船していたポルトガル人が、2丁の鉄砲を所持していたのが始まり。
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」では、鉄砲が大きくクローズアップされている。
鉄砲の伝来から12年後の1575年、長篠の戦いでは織田信長と徳川家康の連合軍が、3,500丁の鉄砲を使って武田勝頼軍に勝利した。
鉄砲の製造
種子島に鉄砲が伝来してから、日本各地で鉄砲が製造され始める。
製造地としては大阪の堺や和歌山の根来、滋賀の国友などが有名。
戦国時代末期には国内に50万丁以上の鉄砲が所在していた。
火薬の製造
あまり表舞台に出てこないが、鉄砲の発砲には火薬が必要である。
火薬は、6世紀から7世紀頃に中国で発明された。
1274年の文永の役、1281年の弘安の役では、モンゴル軍が火薬を使用している。
この頃に使われていた火薬は黒色火薬と言われ、硝石、硫黄、木炭を混合したものである。
日本国内では硝石が採れなかったため、海外からの輸入に頼るしかなかっ
そのため、火薬の製造は貿易港のある堺が独占権を握ることになる。
2016年「真田丸」
戦国時代の後半になると、槍や弓矢よりも鉄砲を使った戦いが中心になる。
弓矢の最大飛距離は400メートルだが、射程距離は80メートルである。
現在行われている弓道の遠的競技では、距離は60メートルで的の大きさは直径1メートルということを考えると納得感がある。
火縄銃の射程距離も弓矢とほぼ同等であるが、標的を貫通させる力が全く違う。
当時の火縄銃で50メートルの距離で命中すると、鉄でできた鎧でも貫通してしまう。
弓矢だと木製の盾で十分だったが、鉄砲は簡単に貫通してしまう。
大砲の使用
戦国時代の最終章となる1614年の大坂冬の陣では、徳川軍はイギリス製のカルバリン砲を大阪城に向けて打ち込む。
カルバリン砲の射程距離は500メートルあり、しかも約8キログラムの鉄球を飛ばすことができるので、人を狙うというより建造物を破壊することが主な目的となる。
これにビビった豊臣方が和睦に進むきっかけとなった。
2018年「西郷どん」
幕末の街中で行われる戦いのシーンでは、刀の使用が目立つ。
明治時代入って1868年からの戊辰戦争や1887年の西南戦争のシーンでは、鉄砲や大砲中心の西洋的な戦い方となる。
大坂冬の陣から250年が経って、戦い方は大きく変わっている。
2013年「八重の桜」
戊辰戦争の中でも、会津戦争を描いたシーンは迫力があった。
使われいる銃は流石に火縄銃ではなく、近代的な銃に近いゲベール銃やミニエー銃になっている。
この頃になると、戦う人の数よりも武器の性能が勝敗を分ける大きな要因となってくる。
史実を元にしたドラマ
大河ドラマは、あくまで娯楽ドラマである。
作り話が多い、というか殆どが作り話である。
しかし基本的なストーリーは史実に基づいており、衣装や武器にしても歴史の研究に基づて再現がされている。
ただ、当時録音機能がなかったため、話し言葉は想像であったり、あくまで娯楽用として現在用語になっていたりする。
「鎌倉殿の13人」は始まってまだ2ヶ月。
これからの進展を楽しみにしている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?