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【読書】門井慶喜(著)『家康、江戸を建てる』第一話:流れを変える

門井慶喜(著)『家康、江戸を建てる』を読み進めています。
「第一話:流れを変える」を読み終えたところです。
歴史小説といえば、戦のシーンが出てくるものですが、初めて殺し合いのない歴史小説を読んでいる気がします。

日本の都といえば、奈良であったり京都であったりと、常に近畿地方でした。
故に経済の中心も、大坂や堺を含めた近畿地方にありました。
源頼朝が鎌倉に、そして徳川家康が江戸に幕府を開きましたが、都はあくまで京都でした。

江戸と京都の距離は490キロメートルあり、歩くと2週間かかります。
そんな都から遠く離れた江戸を、経済都市に発展させるには、先ず大掛かりな治水工事が必要でした。

関西で生まれ育った人間が、関東に来ると、平野の広さにびっくりします。
大阪平野は西に大阪湾があり、南の土地はは西側に湾曲し、北と東は山が迫っていて、とても狭いです。
京都や奈良にしても、決して広くない盆地です。

平野というのは、土地の低い場所ということなので、大雨が降れば川から水が溢れやすくなります。
平野を流れる川を制御することに成功しなければ、江戸の発展はあり得ませんでした。
わざわざこんなところに幕府を開かなくてもと、当時の人たちは思った筈ですが、今の東京の姿を見ればそれは正解であったといえます。

流石に徳川家康といえども、400年後の東京の姿は想像できなかったでしょう。しかし、少なくとも50年後とか100年後は見越していた筈です。
家康は、織田信長や今川義元、武田信玄、そして豊臣秀吉の政治を現実に見てきたからこそ、戦の無い世の中を作り上げれることができたのです。

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