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読書日記⑱水を縫う/寺地はるな

こんにちは。タイトルに付けている読書日記の番号が間違っていたみたい。⑭が3つもありました。笑 早いもので、もう18回目です。

今日は、はじめての作家さんです。

水を縫う/集英社/寺地はるな

刺繍が好きな男子高校生の清澄(きよすみ)。結婚を控えた姉の水青(みお)。2人の母で公務員として働くさつ子。おばあちゃんの文枝。家族なのに、お互い理解できないことばかり。日々の生活で積み重なったすれ違いが、少しずつほどけていく物語。

寺地先生の本は初めて読みました。インスタの読書アカウント等でよく紹介されていて、気になっていたんですよね。

この本に出てくる登場人物は、それぞれが意地を張って、それぞれがちょっとずつ勘違いをしている。子どもが自分を好きでないと思っていたり、女性っぽい恰好が嫌いだ思っていたり、姉のことを頭が固いと思っていたり、今から新しいことを始めてはいけないと思っていたり。それぞれが自分の思い込みでがんじがらめになっている。大きな事件があるわけではないんですが、弟の清澄が姉のウェディングドレスを作ると宣言したことで、少しずつ家族の間の淀んだ水が流れていきます。

物語は章によって清澄、水青、さつ子、文枝、そして別れた父の友人黒田と主人公が変わります。母のさつ子やおばあちゃんの文枝の心情が書かれている部分ー。私は母やおばあちゃんって自分の中で完璧な大人幻想があって、迷ったり悩んだりする姿は見てはいけないもののような気持ちがします。だけど、私も大人は思うより大人ではない、と分かるほど大人になりました。だから、目をそらしてはいけないな、と思いました。そして私が母や祖母になった時、きっと同じように悩んでいるでしょう。

この本の中にたくさん登場するけれども、主人公にならないのが離婚した父の全(ぜん)。父がどんな人なのか、何を考えているのかは依然謎のままです。でも、水青がキラキラしたウェディングドレスを着たくないという気持ちを初めて肯定してくれるのが父の全です。服のデザイナーである全は「本人が着とって落ち着かへんような服はあかん。」と言います。優しくて、ありのままを認めてくれるこのセリフ。私の心にも沁みてきました。

というか、水が青いと書いて”水青(みお)”ってめっちゃキレイな名前じゃないですか?水青と清澄の名前の由来は物語の中で登場するのでネタバレ避けますが、名前にこもっている意味もとても美しい。

余談ですが、私人の名前というものが好きで、中高の部活時代も、試合のトーナメント表とか見るとテンションが上がっていました(名前がいっぱいあるから)。今でも名簿とか名刺とか見るとわくわくします。名前の漢字や響きを見て、「こんな名前あるんだ!」「どういう由来なんだろう?」と想像するのが楽しいのです。分かる方いますかね?

小説でも、気に入った名前は覚えています。特に、最近読んだ「天地明察(作:冲方丁)」の”春海”という名前もお気に入り。

なんか今日の読書日記は長くなっちゃいました。笑 

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