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DeNAが全社員に求める行動規範「DeNA Quality」

約4年間のDeNA生活の中で、2013年7月から2014年11月まではHR本部に所属していました。
DeNAが全社員に求められる姿勢や意識として掲げる「DeNA Quality」の研修担当も務めておりましたので、DeNAが大切にしていると思う文化や僕自身の学びを、実際の仕事のエピソードに沿って共有させて頂きます。

■人は仕事で育つ

私とDeNAの最初の出会いは2006年、大学生の時でした。

大学を留年したことに反省し、少しでも社会人っぽいことがしたいと思い当時流行りのIT企業でインターンが出来る企業を探していました。

ところが当時の私のパソコンスキルでは、エクセルやワードで履歴書を作ることが出来ず…半ば諦めかけたところ、唯一履歴書なしに応募できる企業を発見しました。

それがDeNAとの出会いでした。

面接当日は当時ローンチしたてのネッシー(BtoB特化のECサイト、現在はオークファンに譲渡済)の方とお会いしました。
何をお話したかはあまり覚えていませんが、熱意が伝わったようで運良くインターン生として受け入れてもらうことが出来ました。

今思うと、当時は学生の僕に、本当に色々と任せてくれました。

電話営業は入って2日目くらい、営業研修などは特に受けていない中で「最近お兄系のアパレルが流行っているから、扱っている会社に電話して卸してもらって」と依頼がありました。

特にトークスクリプトなどは無く、一度先輩がやるのを見ながら話をメモってモゴモゴ話していたら「もっとハキハキ話したほうが良いよ」とか「相手が今電話の先で何をしているか想像しながら話すと良いよ」とか、たくさんチャットが来ました。

1週間位で「実際に話しを会って聞きたい」という人が出てきて、部署の人に伝えたら、「良い機会だし1人で行ってきて」と言われました。
上座下座の概念を調べることから始まり、会社案内からサービスの案内まですべて自分で行うため、とにかく必死で勉強しました。

訪問アポのあとは当時のマネージャーがランチの時間を抑えてくれて、「どうだった?」という会話から始まり、何が良くて何がダメだったか、次回からどうするのか、を1時間半くらい話しました。

今から考えると、アポに同席しても1時間あれば済んだ案件を、あえて一人で行かせて、次回への学びを得てくるという機会を頂いたのだと思います。

「人は仕事で育つ」という言葉をDeNA内で耳にしたことがありましたが、まさに肌身を持って体感しました。

■思考の独立性

大学を卒業し2008年に新卒としてリクルートに入社するのですが、ご縁あって2013年にDeNAに戻らせて頂きました。

リクルートで、組織作りとかそういうことを考える経験をさせてもらえるチャンスも増えたタイミングで「自分はどんな組織を作りたいのか」と考えた時、学生時代に過ごしたDeNAの思い出ばかり出てきました。

その中でも一番思い起こされたのが「一人ひとりが本当に良く考えている」ということでした。

この先会社がどうあるべきか、サービスがどうあるべきか。
自分の言葉で皆が話せる。
マネージャーが言ったことに、1年目のメンバーがガンガン反論する。
ユーザーに一番近い人が、一番サービスを知っているから、上の言ったことがそのまま通るなんてことはまずありえない。
当時学生だった僕にも意見を求めてくる。
「何が課題だと思う?どうしたら良いと思う?」

「思考の独立性」という言葉がまさに体現されていました。

2006年当時でも200人以上の規模だったDeNAが、なぜその規模でも、あそこまで個々が当事者意識を持って働けていたのか、不思議でした。

僕は元々、父が経営者であることもあり、自分もいつか経営をしたいと思っていたのですが
自分が会社を作るときは、絶対にDeNAみたいな社風にしたいと思いました。
学生時代在籍した時の経験では、なぜDeNAがそのカルチャーを保てたのか理解できず、「もう一度働いてカルチャーが続く所以を確かめたい」と思ったことがDeNAに戻らせて頂くことを考えた大きな理由になりました。

■発言責任

中途採用担当として入社して1週間たった頃、当時のマネージャーだったNさんから声掛けがありました。採用チームには、「中途採用チーム立ちあげ時」からいるメンバーもいる状況でした。

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Nさん「今の採用チームに、もっとガンガンダメ出ししてよ。」

福田「そうですね・・・ 」

Nさん「何か思うことはないの?」

福田「ありますが、いきなり否定するのは相手が嫌な気分になるし、チームの雰囲気を悪くしてしまいます。」

Nさん「それはお前が嫌われ役になりたくないだけでしょ。自分が可愛いんでしょ。」

福田「・・そうかもしれませんが、まだ何も結果出してないんですよ? もうちょっと待って下さいよ。今に変えてみせます。」

Nさん「どんだけエゴなんだよ。全くコトに向かっていない。」
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前職のリクルートでは、結果を出すまではごちゃごちゃいうな、という風潮が強かったですし 自分まだ結果出していないんで、と言ったら「そうだな、まずは結果出せ」と言われるはずでした。

しかし、DeNAは違いました。

何年いようが入社初日だろうが関係ない。自分がどう見えるか、嫌われたくない、とかいう感情より、物事の成功にベクトルを向けよう。

自分ができないことでも、どんどん気づいたことは発言すべき。誰がやるかはあとから考えれば良い。発言することそのものに、価値がある。

入社早々に教わりました。

【学び】
・誰が言ったかではなく何を言ったか
・自分に向かうのではなく、コトに向かう
・どんな立場であっても、チームとして勝つために発言することが正しい

■球の表面積

ある日、HR本部長のSさんより、「HR内で新規事業コンペやろうよ」と提案がありました。

福田が自主的に、オーナーやります!手をあげました。

発表会の1週間前に、Nさんから声掛けありました。

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Nさん「このコンペの発表、何人聞きに来るの?」

福田「えっと、ちょっと待って下さいね。(カレンダーを見て参加数を数え始める。参加「Yes」になっている人の数をチェック)」

Nさん「え、分かってないの? ・・・この発表の内容とかチェックしてるの?」

福田「いや、内容は各発表者にお任せしています」

Nさん「発表のクオリティ大丈夫?というか、、 この会のそもそもの目的は? 」

福田「えっと、、、ちょっとそのへんは本部長のSさんに確認してみます」

Nさん「お前は何にもコミットしていないね。もういい、やらなくていい。」
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前職では、仮に会が失敗に終わっても「言い出したのは本部長のSさんだからしょうがないよね」「よくサポートしたよ」くらいで終わっていたと思います。
しかし、DeNAでは違いました。

人の仕事に乗っかるだけは許されない。
一度巻きとった仕事は、成功の定義から考えなおし、その成功にむけて最後まで舵をとるのがオーナーの仕事です。
全部自分で抱え込めということでは決してなく、助けが必要ならそれも判断し周りを巻き込むのがオーナーです。

何人来たら場が盛り上がるか、みんなにこの会の目的はどう伝えよう、良い提案が出たらどう事業化につなげようか、など。
少しでも新規事業コンペをバリューあるものにするために、考えるべきでした。

【学び】
・自分がオーナーとなった仕事は、自分があるべき姿を定め、ゴールから逆算して、自分が舵をとる
・誰かの助けが必要であれば、それを判断するのもオーナー
・オーナーになれない人に、チャレンジングな仕事が任されることはない

■透明性

中途採用担当の時、僕はクリエイターとゲーム企画の採用を任されていました。

ブラウザゲームからアプリゲームへ開発体制をシフトする中で全社の中でも非常に大切な採用活動だったのですが、中々採用は進みませんでした。

一方、任せてもらっている以上、出来ないとは口が裂けても言えないと思っていました。上手くいっていなくても、自分がどうにかしますというスタンスを全面に押し出し、ポジティブな情報ばかり伝えていました。

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Nさん「クリエイターとゲーム企画、両方のチームをお前一人でみるのは無理そうだね。」

福田「いや、待ってください。」

Nさん「毎回、上手くいってます、次こそ成果出ますという気合だけの報告はもういらないし。」

福田「いや、これは自分にやりきらせて下さい。自分の成長にとっても大切なんです」

Nさん「お前な・・ 組織の成果を出すという目的にコミットしてくれよ。自分の都合を優先するのではなく、仲間への責任を果たせ。お前が今やっている、うまくいかない理由を周りに開示せず情報を抱え込むという行為は、全くコトに向かっていないしチームの成果から遠ざかる行為だ。」
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自分がやるんだという気持ちを、チームの勝ちより優先して考えてしまいましたが、まわりに正しく状況を伝え、チームとしてどうやって成果を出せるか議論をして最適解を導き出すことが、あるべき姿でした。

この後、正しく情報を周りに伝え、何が課題でどうして解決できずにいたかも赤裸々に話しました。
周りの人にインプットを頂き、自分が担当しきれない業務は「出来ない」ことを認めて、周りに手伝ってもらいました。

結果的に、それまで採用が数ヶ月止まっていたポジションが翌月には複数人採用できたりと状況は大きく変わりました。

【学び】
・透明性とは、「事実をありのままを開示する」こと
・自己実現欲を優先させず、仲間への責任を果たすこと
・勝ちに拘る、コトに向かう

■全力コミット

中途採用担当の時、ゲームクリエイティブの責任者だったTさんと一緒に動くことが多かったのですが、ある日マネジメントに関する悩みを聞きました。

採用の成果が出はじめ、Tさんとの信頼関係が構築できた中で、採用という枠を超えて、HRとして事業部を支える、ワンランク上の仕事を手がけられるようになってきた、と思い気合が入りました。

課題を解決させることしか考えず、その最短ルートの行動をとるつもりで研修担当の方々も巻き込み、解決に向けて動いていました。

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Nさん「最近忙しそうだね」

福田「そうなんですよ。こんな仕事をしてるんです・・・」

Nさん「それはいい動きだね。 でも、それって組織横断で見た時に、クリエイティブの研修を優先して動くことが本当に重要なのかな?」

福田「うーん、、 重要なことだとは思います。 確実に目の前にある課題なので。」

Nさん「他の部署にも同様の課題があるなら一緒に考えたほうが良いかもしれないし、そもそもマネジメントレイヤーの課題解決が、いま会社にとってどれくらい大切か考えたことある?目の前の仕事を一生懸命やることは良いことだけど、2つ上の視点で見た時に一番重要な課題にフォーカスせずやっていてもただの自己満足だよ。」

福田「言われてみればその通りですね… ただ他の組織のことを調べたり、調整してからだとスピード落ちますよね。。」

Nさん「他の部署の状況を横断で知りたいなら、他の部署を担当しているHR担当たちに相談すればよいのでは?」
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目の前の仕事を頑張るのは良いことだし、やり切ることは大切。一方で、組織にとって大切なことに全力を注ぐというバランス感覚も非常に大切。自分で判断できない時は、判断できる人の意見を聞いて適切な行動を取るべきでした。

【学び】
・全力コミットとは、自分のやりたいことに全力を注ぐのではなく「2ランクアップの目線で」重要なことに全力を注ぐこと
・今、組織にとって何が大切か、何が課題かを理解していないと正しい判断はできない

■デライト

採用担当をしていると、内定を出した候補者の方が他ではなくDeNAに来てもらうために「アトラクト」という重要な仕事が発生します。

ある時、内定辞退をされた候補者がいたので、急いで候補者の職場の近くまで行ってきました。

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Nさん「どうだった?」

福田「難しいですね… 奥さんがかなり安定志向で、もう一社の方を望まれているみたいです」

Nさん「いやそんなの、行く前からそう言われるのはわかっていたでしょ。何しに行ったの?」

福田「えっと…」

Nさん「それがその候補者様にとって、最良の選択なの?」

福田「いや、候補者様にとって、確実にDeNAに来たほうがチャンスも広がりますし、やりたいこともできるはずです。」

Nさん「じゃあなんで、そんなにすぐ諦めるんだよ。候補者様のところへ行って来いと俺に言われたから、行っただけ?候補者様の人生を本気で考えられない奴に、HRは務まらない」
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デライトとは、当たり前のことをイエスマンとして実行することではない。
相手がどうやったらもっと喜ぶだろうと、考えぬいて、上乗せしてサプライズを与えることがデライト。

営業でも一緒。
お客様に一度断られても、嫌な顔をされても絶対にその商品がお客様のためになるんだと思ったら、提案をやめてはいけない。
そこで諦めず提案を続け、お客様が本当に実現したいことを実現させてみせるのが本当のデライトなんだと、学びました。

【学び】
・デライトとは「相手にとっての本質的なメリット」を提供すること
・相手のニーズにそのまま答えることが正解とは限らない


以上、長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。少しでも読んだ方の日々の仕事に活きることがあれば嬉しいです。

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ありがとうございます!
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CEO of Colleagues, Founder of Find Model, Investment manager of Comrades Incubate.
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