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流体力学 わき出しと吸込みの合成のグラフ

 皆様おはこんばんちは。そして,お疲れ様です。

 最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
 第20回目は,第19回目で予告した通り,「わき出しと吸込みの合成のグラフ」について紹介していきます。


(1)わき出しと吸込みの合成について

 さて,今後の記事で取り上げる予定の「わき出しと吸込みの合成のグラフ」についてですが,以前の記事で紹介した「わき出しと吸込みの合成」からグラフを描くための振り返りをします。図1にわき出しと吸込みの合成の概略図を示します。

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図1 わき出しと吸込みの合成の概略図

 図1のような流れ場を描くために必要な数式は,以前の記事で紹介しています。知らない方や気になる方は,以下の記事で確認してみて下さい。


(2)わき出しと吸込みの合成

(2-1)必要な数式の一覧

 早速,わき出しと吸込みの合成のグラフを描くために必要な数式(1)~式(6)までそれぞれ示します。

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 ここで,Rψは流線の半径,Rφは等ポテンシャル線の半径,θ1,θ2はx軸とのなす角,r1,r2は半径,εは座標の一定値をそれぞれ示します。また,式(5)~式(6)は「円の方程式」の形式で表したものです。さらに,今回の必要な仮定は座標の一定値εのみです。

【仮定】2点(ε, 0),(-ε, 0) = (5 , 0),(-5, 0)とする。

 今回の仮定は,たったこれだけです。今までのグラフの仮定の中では,最も少ないのではないでしょうか。これでグラフを描くには準備は整いました。

(2-2)流線の描画

 式(1),式(3),式(5)が流線の描画に必要な数式です。まず,式(3)からθ1,θ2は一定値であるため,θ1-θ2の値は任意に決定できることを示しています。今回,筆者はθ1-θ2 = 45°~85°(10°刻み),r1 = 0.2~1.1(0.1刻み),r2 = 0.05~0.5(0.05刻み)として計算を行いました。表1に半径rとx軸とのなす角θの計算結果をそれぞれ示します。

表1 半径rとx軸とのなす角θの計算結果

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 表1の結果を使って,式(7)へ代入することでグラフを描画できます。また,表2に流線の計算結果,図2にわき出しと吸込みの合成の流線をそれぞれ示します。

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表2 流線の計算結果

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図2 わき出しと吸込みの合成の流線

 ここで,実線(赤線)が流線を示しています。

(2-3)等ポテンシャル線の描画

 式(2),式(4),式(6)が等ポテンシャル線の描画に必要な数式です。まず,式(4)からr1,r2は一定値であるため,r1/r2の値は任意に決定できることを示しています。前項で示したようにr1 = 0.2~1.1(0.1刻み),r2 = 0.05~0.5(0.05刻み)として計算を行いました。同様に,表2の結果を使って,式(8)へ代入することでグラフを描画できます。また,表3に等ポテンシャル線の計算結果,図3にわき出しと吸込みの合成の等ポテンシャル線をそれぞれ示します。

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表3 等ポテンシャル線の計算結果

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図3 わき出しと吸込みの合成の等ポテンシャル線

 ここで,破線(青線)が等ポテンシャル線を示しています。


(3)まとめ

 今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)わき出しと吸込みの合成は円の方程式で表される。
(2)半径r1,r2とx軸とのなす角θ1,θ2は一定値のため,任意の値を設定できる。

 以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。

 ※次回は,2重わき出しについて扱う予定です。

(4)おまけ

 今回,某教科書を参考に書いてみた概略図と今回の記事で描画したグラフを比較してみましょう。図4に概略図とグラフの比較したものを示します。同じように見えますが,「アポロニウスの円」の間隔が異なっているみたいです。
 実際のグラフは,等ポテンシャル線の円の間隔が広がっているのに対し,流線の円の間隔は狭くなっているようです。おそらく,半径rとx軸とのなす角の値の取り方で多少の変化はあるかと思いますが…。

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図4 概略図とグラフの比較

 今回のキーポイントは,x軸とのなす角の値の取り方でしょう。tanθが+になるのは,第1象限と第4象限しかありません。さらにθ= 0°~45°に設定すると,tanθ<1となり,半径rの値がかなり大きな値になります。
 このように,値の設定の仕方もまさにただの「適当」ではなく,「適切に値を決める」ことが大事みたいです(本記事を執筆中の筆者の体験談)。

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