初めての模擬授業(2)
こんばんは。今日はこちらの続きを。
素材文の選択、学習課題の設定、単一テクストの深い読解を扱うことを決めたところまでを書きました。
学習課題の裏にあるテーマとして、「言葉ならざるもの」の体験を「言葉」にすることについて考えることがあったのですが、そのアプローチとして表現のモチーフ・視点・最も詳しい叙述から離れることを挙げました。
次は大まかな時間管理を考えることにしました。30分しかないことと、学習目的に縛られて「正解」を出そうとしてほしくないことがポイントでした。
そこで考えたのはこんな感じ。
一度素材文を読んでいる設定で授業を組み立てて良い、とのことだったので、目を通す時間をカットして組み立てています。
最初の5分で学習課題を確認し、個人で考えてもらう。
次の10分くらいでグループになって考えを共有してもらう。
その後10分くらいを全体での意見共有に使う。
ラスト5分で課題の設定意図を伝えて、作品の紹介をしておしまい。
結構きつめですが、受講者のレベルが高く自分の考えを言語化し伝えることに長けていたのと、中高生ではなく大学生を対象とした授業構成で良かったのとでいけると判断しました。
オンライン模擬授業でZoomを使っていたので、黒板はありませんでした。そこで利用したのがWord。画面を共有しホワイトボードの代わりにして、受講者の考えをまとめるのに使いました。あらかじめ学習課題の設定意図を書いておいて、それを白文字にすれば見えないという仕掛けを使うこともできたので便利でした。
若干ネタバレになってしまいますが、私が回答として予測していたのは、
・指示対象が同じ(どちらも微笑みながらナサニエルの前を通り過ぎる三枝子)であるから同じ
・取り巻く状況や三枝子本人は変わっていないから同じ
・ナサニエルの感じ方の問題であり、後者の方が確信を持っている
・前者は偶然で、後者は本人が自覚的に感じている
・捉え方の違いだけで、あえて変えているように見せている
あたりです。
ありがたいことに私が予測できていた部分についてすごく深いところまで読んでもらえました。1箇所出なかった部分があったので、追加で問いを立ててみたところ、指名した受講生の回答が180度変わったので、読みの面白さを感じました。
受講後のフィードバックで、このようなコメントをもらいました。
心情を直接問うのはナンセンスだと思っていたので面白かった。
ありきたりといえばありきたりな場面で、傍線を引く場所も意外だったが、そこを考えることでメインを深めることができた。
風が意思を持っているとしたらどこに吹くのだろうか?
この軌跡は線なのか面なのか?
立場を変えることで答えがガラッと変わる鮮やかな経験をした。
初めてで、しかもおそらく今後やることのないような形態と題材の授業をやってしまったわけですが、楽しんでもらえたようで嬉しかったです。
秋学期は指導法ではなく教科に関する科目の一環で古典の模擬授業をします。今度は題材選びからではなさそうですが、また考えながら授業を作ろうと思っています。
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