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ふとした時に寂しくなるのは

午後5時30分。日が暮れるにはまだ早いけど、少しずつ差し込む光が弱まって、ぼんやり暗くなり始める頃。

外からは子供がわーきゃーいう声が聞こえ、おそらく仕事帰りであろう大人の楽しそうな声も聞こえる。野球部なのかラグビー部なのか、とにかく運動部系の声も響き渡っている。

そういう時、ふっと寂しくなることがある。それは、おそらく自分が部屋にポツンと一人でいて、一日誰とも会話していなかったからなのかもしれない。あるいは、あるいは……

ただ、孤独感だけではない気がする。何か作業を進めていたり、家事をこなしたりしていれば、それなりに孤独感は薄まるから。そこではない。手に取った砂がサーッとこぼれ落ちていくような寂しさである。それでいて、しん、と降り積もるような寂しさである。

この寂しさに襲われると、少し息苦しくなる。体の奥をぎゅっと掴まれたような感覚を抱くからだ。椅子に腰掛けてその感覚に身を委ねていると、少しずつ寂しさは淡くなって、夕闇に溶けていくような気がするのである。

そっと立ち上がりお湯を沸かす。そういう時にはコーヒーや紅茶がよく似合う。しんしんと降り積もっていた寂しさを、緩やかに闇に紛れ込ませていた私は、紅茶の入ったカップを両手で支えるようにして持つ。わずかに残った寂しさを流し込むように、少しずつ熱い紅茶を飲み込んでいく。

ちょうどよくスマホが着信音を鳴らす。
「ちょっとだけお話しませんか」「こんな夕暮れだと、誰かと話がしたいなあと思うのです」

友人からだった。ふっと微笑んで返信する。
「似たようなことを考える人が、ここにもいた」「今余裕あるから話せるよ」

夕闇は、もう周りの視界を遮るほどに深くなっていた。カーテンを閉めて電気をつける。外から見た私の部屋は、ぼんやりと明るく見えることだろう。

・・・・・

「暗い! 暗すぎるよ」

彼女はそう言って大笑いしたのであった。
「いくらテーマが夕暮れだとはいえ、もっと明るい話にできないの?」

「無理。これでも最後ちょっと希望を持たせたでしょ」
「嫌だ。もうちょっとノスタルジーとかほのぼの系の話が好き」

私と彼女はとにかく文章の好みが合わないのだが、読書好きなのは仲間である。ちなみにこれは、展示を作るための基礎ストーリーってやつ。まあそりゃ怒られるよなあ。

「書き直してくださいね、せ・ん・せ・い?」

にっこり、というかニンマリと笑われた。とりあえず唇を尖らせて不服感を出しているけど、実際予想はしていたのでそこまで落ち込んではいない。

「はいはい、書き直しますよーだ」

いかにもな会話。実際表面上は明るいだろう。でもね。少し暗くて重いものが胸の奥にうっすらと溜まってきているんだ。君は、気づいていないかもしれないけど。

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