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「愛すべき我が町 ~ 希望に満ちた明和を創る会」

 僕は現在、鹿児島市の「明和」という町に住んでいる。鹿児島市街から車で10分余りの高台に位置する閑静な住宅地だ。
 この町で、僕は中学高校時代を過ごし、30年近いの県外生活を経て、47歳の時に、高齢化した両親のもとに帰って来た。両親亡き後もそこに住み続け、来年の春には69歳になる。
 坂道の多い環境は、歩いて外出する場合、足腰に大きな負担がかかるのが唯一の難点とも言えるが、健康長寿のためには、それが却ってプラスに作用することが分かっている。
 高い建造物もほとんどなく、空の広がりや遠方に広がる山の緑々が常に感じられる。心穏やかに過ごせるこの町に、僕は愛着を抱いている。

 そんな町「明和」に、今、ちょっとした問題が起こっている。学童数減少による小中学校の統合問題である。
 昭和57年に、生徒数1970名にまでマンモス化した明和小学校も、令和6年4月6日現在、377名にまで減少し、行政により、小中一貫校設立に向けての計画が発表された。現在、町内在住の市会議員が町内会長も務めており完全に行政側に立っている。住民の側からは、自分たちの声を十分にくみ取ること無しに、独断でことを進めているようにしか感じられず、対立構造が生じてしまった。
 住民たちは、「希望に満ちた明和を創る会」を結成し、小中一貫教育のデメリットをあげるなどして、行政により着々と進行しつつある動きを、何とか阻止しようと、繰り返し会合を持って話し合っている。

 僕は家庭持ちではないため、長らく町内の人々との関わりも薄く、最近までこのことも視野に入っていなかったのだが、ここ2~3年、町の敬老会でマジックを披露するようになったことから、複数名の方々と顏馴染みになり、町内の事情が少しずつ見えてきた。
 先日、たまたま町内のある方のガレージで会合が行なわれている所に通りかかり、顔を出したことから、小中学校統合問題を知るに至った。

 その後、会の代表の方に、次のような内容のメールを送信した。

  ***  ***  ***

 最近、地域の会合に顔を出すようになり、考え始めたことがあります。
 小中一貫教育、子どものための地域づくり、栄寿会&お達者クラブでの活動、親和会館建て替え等々・・・、これらの事柄は、全て繋がっていることではないかと思えます。
 鹿児島市の中心地区で再開発が進められ、商業施設や高層マンションが次々と建設され、人の流れが急激に変わりつつあります。
 そんな中にあって、明和のような都市近郊地に、人を惹きつけるだけのどのような利点があるか・・・
 市会議員で町内会長の〇〇氏が例に挙げた、小中一貫教育による先進的な英語教育を取り入れることなども、一つの答えではありますが、そこには「明和という地でなければならない理由」は存在せず、すでに使い古された陳腐な謳い文句の使い回しのようでもあります。
 なぜ今英語教育なのか・・・、川口市などでは、移民問題で国のアイデンティティが揺らぐような事態が生じています。そんな現在にあって、「英語教育」という謳い文句は、焦点ボケしているように感じられます。
 かと言って、これといった答えがなかなかみつからないのではないか・・・、と思ったのですが・・・、
 ちょっと待てよと・・・
 煩雑な都会空間から開放された広く明るい空の下で、通過車両が忙しく行き交うこともなく、高層ビルに遮られることなく山々の緑が自然に見渡せ、見知った顏に囲まれた「自分たちの町」に抱かれた落ち着いた安心感のもとで育つ。これは、大きな利点、魅力ではないかと思えてきました。

 そういった地理的環境に加え、近頃の地域住民による地域についての活発な意見交換の様子、老人会での会員の皆様の他地域に見られない反応の良さ、敬老会に参加した子どもたちの活き活きとした姿など、地域住民の気質、豊富な人材、そういった「人的環境」こそが、大きな魅力であるように思えます。
 子どもの成長にとって、家庭教育、学校教育が大きな柱になりますが、それを取り巻く自然環境、人々の気質、活発な地域活動などが、心の豊かさを育む大切な要素であり、明和地区にはそれが確かに存在するのではないでしょうか・・・。
 そのことを住民自身が自覚し、それを活かすような方向にエネルギーを集結させてゆけば、良い結果が導き出せるのではないか・・・
 小中統合という差し迫った問題を抱えた今、悠長なことを言っているように思われるかも知れませんが、意外と早く成果に結びつくのではないかとも思います。
 そのための具体的アイディアが、私個人だけでもいくつか思い浮かびますので、多くの人々の知恵を出し合えばより多くのアイディアが出てくるのではないかと思います。
 小中一貫義務教育学校設立に走る前に、地域による包括的な教育環境についてより広い視野で考え、魅力的な地域を創るということが、一見茫洋としているようで、実は地に足が付いた重要な事柄であり、良き答えを導き出すための近道かも知れません。

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 現時点では、小中一貫校設立が決定しそうな風向きなのだが、心ある住民たちの頑張りを、自分に出来得る形で後押ししたいと思っている。

 この写真は、我が家の外壁に貼られたポスター。

 数日前、会長さんが我が家を訪ねて来られ、掲載場所として使用させてほしいとの依頼があったため、快く承諾した。

 我が町を愛し、明るい未来に向けて、エネルギーを集結させる住民が集う町。そんな町で暮らしていることに幸せを感じている。

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