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ナーシング・リープ(『看護教育』巻頭連載)上半期総括編

2021年1月号からはじまった、医学書院月刊『看護教育』で始まった連載 『ナーシング・リープ』。

年間連載の半分を折り返したところで、上半期の総括をしてみたいと思います。

タイトルに込めた意味

連載を開始することが決まり、編集部のBさんと話し合いを重ね決まったテーマが「毎号理論家を一人紹介しながら、キーワードにあわせて看護教育のヒントを探る」という内容。

つまり、1年間で12このキーワードと12名の理論家をピックアップして、毎号看護教育につなげて書いていくというもの。

しかも、巻頭連載!!

雑誌を開いたらまっさきにそのページが現れるわけです。

タイトルは自由に決めていいとのことであれこれ悩んだ結果、決まったのが

ナーシング・リープ」。

リープ(Leap)は跳躍するという意味で、看護教育を1歩前進させる、との思いを込めています。

そして、特にこだわっているのが文献をめちゃくちゃたくさん盛り込むこと。

もう毎回毎回目に血を走らせて文献調べまくって書いてます。

自分で言うのもなんですが成人学習の理論をなるべくわかりやすい言葉で紹介する、という点ではこのnoteとコンセプトは同じですが、毎回英語論文をだいたい8から10本ほど参考文献に載せているのでかなり質は高くなっていると思います(自分で言っちゃう)

掲載しているのはそれくらいですが、実際には毎回20本近く関連する文献を読み漁ってどれを掲載するか決めています。

では、すでに発売されている1月号から6月号をみていきます!

2021年1月号 Autonomy (自律)×看護教育

理論家:マルカム・ノールズ

私の記念すべき初noteがノールズさんから始まったように、連載もノールズさんから始めようと決めていました。

やっぱり、成人学習界の元祖といえばノールズさんですからね!

私がコロンビア教育大学院で初めて授業で習ったのもノールズのAndragogyの定義からだったので、とても思い入れがあります。

ノールズさんが初めてAndragogyという理論を確立して、「おとなにはおとなの学び方ある」と定め、そのなかのキーワードの一つとして自律性が挙げられます。

看護教育の対象は看護学生を指すので、まだまだ「大人」として扱うか微妙な狭間にいますが、それでも列記とした大人として対峙すること。それについて執筆しています。

2020年2月号 Mindset(マインドセット)×看護教育

理論家:キャロル・ドウェック

こちこちマインドセット(fixed mindset)と しなやかマインドセット(growth mindset)の理論で有名なドウェックさん。

実は今年の私の卒業式のkeynote speakerでもありました。

こちらも留学生活のなかでなんでも目にした研究です。

本文中でも紹介しましたが、このTEDはとってもおすすめ(日本語で見れます)↓

ミスをしたときに「失敗」と捉えるか、「学ぶ絶好のチャンス」と捉えるか、それは個々のマインドセットが影響している、という理論をいくつもの研究を重ねて実証しています。

看護教育にも、実習や日々の演習での失敗をどのように「学ぶチャンス」と成長型マインドセットに持っていくことができるのか、過去の文献から得たヒントをまとめて執筆しました。現場の臨床教育にももちろん応用できます!

2021年3月号 Reflection(リフレクション)×看護教育

理論家:ドナルド・ショーン

リフレクションはやっぱりとりあげないわけにはいかないくらい重要すぎるキーワードなのでマストで入れました。

リフレクションといえば過去にこんな記事を↓

まさか巻頭連載で「すっぽんぽん」なんて言葉をだすわけにいかないので、別の切り口から書いていますが、ショーンの有名な理論のなかでも「シングル・ダブルループ学習」を取り上げています。

その後「トリプルループ学習」まででていますが、今回はダブルまでを紹介しています。

そして、いざその理論は頭ではわかるけど実際の現場ではどう促進したらいいのか・・・私自身の大学時代の実際の例をあげながらヒントを考えてみました。

2021年4月号 経験学習×看護教育

理論家:デイビット・コルブ

またコルブかーい!もう聞き飽きたぜー!と思ったそこのあなた。

私もまさしくそうでした笑

いろんなところでコルブの理論を目にして耳にしてもう飽き飽きしているところです笑

それでもやっぱり経験学習は外せない・・・

そんな天邪鬼なわたしは「変容的省察サイクル」という、

経験学習と変容学習が合体した研究を紹介しています!

ここはもう本当にニッチな理論なんですがかなり面白いので気になる方はぜひ本誌で、、、

でも耳タコくらいに経験学習が広まっているのは成人学習専攻としてはかなり嬉しいことです。

今後はいかにコルブ以外の経験学習について触れていけるかで自分と勝負していきたいと思います(謎)

2021年5月号 Authentic (真正)×看護教育

理論家:ブルース・キング

こちらは本当に当初の計画のリストには入っていなかったのですが、偶然これを執筆する時にブルース・キング教授が講師として登壇された全3回のセミナーに参加する機会があり、その内容があまりにも面白かったので急遽キーワードに選びました。

オーセンティックな〜とたまーにどっかのIT企業社長が言いそうですが(笑)まさに「本物の」という意味で、Authentic learningを研究されている先生です。

机上で学ぶよりも、手を動かしたり、自分で創意工夫をした方が記憶に残る「真正な学び」につながりやすい、という研究をもとに、看護教育への応用を考えました。

たしかに学生時代記憶に残っている授業って、丸暗記したものよりも実際におもりをつけて高齢者体験をしたり、自分の五感を使った学びだよなーとあれこれ懐かしい思い出を引っ張り出してきました。

これも臨床教育でもかなり使えると思います。

2021年6月号 ステレオタイプ(先入観・思い込み)×看護教育

理論家:クロード・スティール

これも年始のリストにはなかったひと。

最終学期のグループ・ダイナミクスの授業で習って、これはもう絶対入れよう!とかなり私自身の人生観にも影響を与えた理論のひとつ。

人はだれしも思い込みや先入観に囚われてしまい、その思い込みで自分自身の能力にリミッターをかけてしまうリスクがあるという話。

スティールの研究は本当に目から鱗!!っていうかんじで、初めて知ったときは衝撃でした。

最新号、是非ご笑覧ください。


これから

一応、連載を開始するときに候補となる12このキーワードと理論家は選んでいたのですが、ご覧のように入れ替えが激しい笑

計画通りにいかない女なんです。

すでに8月号の初稿まではだしているので、あと残り4人というところなのですが、やっぱりあのひととあのひとは欠かせないよなーとか、いろいろ考えています。

私の一番のお気に入りポイントは毎回理論家の似顔絵が挿入されているのですがこれがまぁもう想像を上回るくらい似ていてすごい。

すでに亡くなった方もどこかであったんじゃない?というくらいに似ていて感動します。

是非そちらもお楽しみに!!

あっというまに7月号が発売されますねぇぇぇ!夏だーーー!!!

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