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ふるさと納税を義務教育課程レベルで解説すんぞ

※結構長いです。許して


 どうもこんにちはお久しぶりです。なんか最近ゴリゴリに絵の練習をしている久保です。

 最近フォロワーさんとふるさと納税に関して軽く話題に出たので、せっかくだし(元)税の人間として小学生でもわかるくらいの次元にまで噛み砕いて「ふるさと納税ってなんだよ」を解説していきたいと思います。
 めざせぴよぴーよ速報レベル(露骨な媚)
ぴよぴーよ速報様リスペクトなので、各種セリフはドブ声にしていただけると嬉しいです

前置き。別名”保険”

 義務教育課程でもわかる次元にまでレベルを落とそうと思うので、わかりやすさ最優先の大まかな話をします。なので、具体的な数字等はびっくりするほど雑に行きます。お前本当に税金の世界で働いてたのかってレベルまで雑に行きます。あくまでわかりやすさを最優先させてください。
 そのため、考え方的な部分については間違いのないよう解説しますが実際の数字は結構異なることをお許しください。
 あと、実際正しい数字計算しようとすると普通に手計算では難しいんですよ(小声)

言葉の意味

 ふるさと納税とは、読んで字のごとく「ふるさとへの納税」です。そしてふるさと納税をした後然るべき手続き(確定申告等)をすれば、その年に払った所得税の払い戻し(俗に言う「還付」)があり、住民税は翌年6月から始まる税金が安くなります。所得税は現ナマで、住民税は将来的に得をする。な感じ。
※ここで所得税や確定申告の説明をこの記事内で行うと短編小説一本分くらいのボリュームまで膨れるので、今の状況としては「へーそうなんだ」くらいにしておいてください。また別途解説の記事書きます(反響がよくて承認欲求満たされたらね)。

 なので雑に解説すると仮に20,000円ふるさと納税をしたら2,000円をマイナスさせた18,000円のメリットがあるわけなんですが、「所得税から4,000円の還付&住民税は将来的な税金が14,000円下がる! 合計18,000円のメリット!」といった具合です(ワンストップ特例はこの限りではない)。

そもそもこれ得するの?

 3割くらいの返礼品が来るのであれば絶対得します(即答)
 前述の2万円で考えてみましょう。
・2万円ー自己負担の2,000円=18,000円の税免除(本来とは表記が違いますが、わかりやすさの観点から免除とします。本来なら【控除】です)
・加えて納税先から3割程度の返礼品。この場合は約6,000円分の返礼品

・18,000円の税免除+約6,000円分の返礼品=金額としては24,000円分の何かしらのメリット。
 こう考えると、自分の住んでいる市町村や国に大人しく2万円納税するよりどこでもいいからちゃんと返礼品帰ってくるところにふるさと納税したほうがお得だとわかりますよね。

 これがふるさと納税をしないと損するみたいな風潮の正体です。

制度のお話

「じゃあふるさと納税しまくって自分の所得税と住民税全部消すか~」とは出来ません。ここで【上限額】という概念が出てきます。読んで字のごとく【ふるさと納税の上限額】なのですが、納税は何円でもできます。ただ、税金への還付や節税に適応できる金額には限りがあるといった感じです。なのでどこにでもいる一介のサラリーマンが100万円のふるさと納税をやりたいならやってもいいけど、その99万8,000円税金を安くさせる数字に充てるなんてことはできないよ、といった感じです。

 じゃあその上限額って何で決まるの? となるとその人の稼ぎです(本当はもうちょっと色々あるんですが、便宜上の観点でこう説明します)。仮に5万円寄付したとして、高所得者なら満額税金へ反映できますが、低所得者は上限を超えた分に関しては何の税的優遇を受けることができません。純粋な寄付です

 つまり上限額1万円の人が3万円ふるさと納税したとしても、税的な恩恵にあずかれる金額は1万円(もっと正確に言えば8,000円)となり、頭の出た2万円に関しては完全な寄付です(返礼品があるのでそれを買ったと解釈できないでもないですが、税的にはノーカウント扱いです)。

ふるさと納税という制度の問題点

 もう今は足を洗った元税金系公務員として意見できるのであれば、クソに近いシステムだと思います。税金というのは【公共サービスへの会費】としての側面があり、道路の整備や図書館等も住民税からの出費になります。市町村へ納める税金である住民税は特にその意味合いが強いです。ここテストに出るんで覚えておいてください。

 で、この住民税が外に流れてしまうわけですね。特に東京周囲や名古屋等、人口の多い都市部から返礼品が魅力的な他所へ。つまり都市の財布が心許なくなるのに求められる行政サービスの水準は同じ(下手したら上がる)になるわけですから、これがどんだけまずいのかは言うまでもないでしょう。

 法的な拘束力はないのですが、総務省からのお達しでは「返礼品は地場産業にして、返戻割合は3割をめどにしろ」といった旨の通達があります。要は1万円のふるさと納税なら3,000円くらいの返礼品にしろ。といった感じですね。あと、言うまでもなくその市町村で取れたもので。って感じです(これも返礼品として家電を取り扱っている市町村もあり、正直めちゃくちゃです。畜産や農産物じゃないとだめなのかなど工場をウチで構えているんだからウチの産物だろ的な屁理屈が波状攻撃のように来るので現状意味不明です)。

 で、これに対して総務省がガチギレの有り様となってます。29年4月に注意喚起して、なお従わない市町村が多いので30年4月にもう一回通達しています。これ絶対内心マジで切れてそうですよね。ニュース等でもありましたが、「いい加減俺たち総務省の通達に従わないとふるさと納税は税の控除を適用させない様な拘束力つけてボコすぞ」と脅しをかけていました。まあこれも十分理屈の通る怒り方なんですけど、実際これを通してしまうと「地方にできることは地方が考えて決める」旨の地方分権が壊れちゃうわけですね(まあこんなの都合のいい国のお為ごかしですけども、体裁はこんな感じです)。

「結局地方は国の言いなりなのか」と、(ふるさと納税で潤っている)地方(が顕著)としては思うわけですね。何が地方分権だ、と。ただ現状全く妙案が国も浮かんでいないのは明白です。そもそもこのシステム、発端は悪くなかったシステムなんです。発端は。

 そもそもはこんな感じです。
→田舎に住んでいる少年少女「大きくなったら上京すんぞ」
→上京前は実家のある田舎の世話になっていた
→でも大人になって稼いだ金は現在住んでいる市町村へ住民税として納税
 →少年少女を育てた田舎には何の見返りも帰ってこない。公共サービスを提供したバックはない。
→上京したかつての少年少女(現社畜)「あ~なんか、なんか若いころ世話になった地元の市町村に恩返ししてえな~」
→そうしたジレンマを解消するためにふるさと納税誕生

 ただ前述したように本旨を完全に離れて高所得者の節税の手段と化している今が、問題だと思います。安直な表現に逃げることになりますが、俗に言う「賛否両論」と呼ばれるやつですね。いいところもたくさんあるし、悪い部分もたくさん。これによって救われた市町村があれば苦しむ市町村もあるそんな制度です。

地方的に何が問題なの?

 同じような状況の市町村が二つあると考えてみましょう。以下こんな感じ。

・A村:財政は芳しくない/観光名所もない/大企業が会社を構えているわけでもない/若い世代も少ない/
・B村:財政は芳しくない/観光名所もない/大企業が会社を構えているわけでもない/若い世代も少ない/でも美味しいリンゴは一杯取れる

 唯一の違いは特産物があるかどうかです。まあそもそもA村みたいな村が今日まで合併等をに巻き込まれることなくどうやって生き延びてきたのか大いに疑問はありますが、便宜上こんな二種類の村があるとします。
 この場合、B村であればふるさと納税としてリンゴを求める国民からの収入が見込めます。そしてこれにより税収がアップすれば、税金を原資としている義務教育の設備投資にも余裕ができるわけです。

Q:つまり何が起こるの?
A:特産品の有無で子供たちの教育(もうちょっと正確に表現すると教育に割けるお金)に差が出ます。

  これ別に教育に限った話ではないのですが、そうした特産品の有無や金を呼び込めるものがあれば生活が潤うわけですね。逆にそうしたものがないと、ほとんど同じ状況下なのに市町村から受けられる恩恵はわびしいものになる。みたいな感じです。今回は教育がわかりやすかったので、あえて例としました。
 言ってしまえばA村も必死になって何かしら市町村のブランドを印象付ける農作物などを作ってこなかった因果応報と言ってしまえばそれまでですが、それは現役世代だけではなく先代から続く怠慢の結果でもありその一点のみでA村に現在住んでいる人を責めるのはあまりに酷だと思います。

まとめ

・当初のコンセプトはよかった
・返礼品の概念が入った昨今ではただの節税手段に成り下がってる
・教育をはじめとした公共サービスに偏りが出てしまいかねない


締め

 これにてふるさと納税に関する解説を締めたいと思います。お付き合いいただき、ありがとうございました。これからも何かの折にいろんな税の話を税に強いフリー素材としてできればなあと思っておりますので、よろしくお願いいたします。何かご質問等あればコメント等でお願いします。可能な範囲でお応えします。では。

サポートしてくださったあかつきには、僕のご飯が少しグレードアップします。あと画材や絵の本に使いたいです