見出し画像

オリンピックとFIFAワールドカップ、万博の違い【吉良式発想法&視点】

どうもどうも、吉良です。

今回の東京2020オリンピックでは沖縄県や鳥取県で初めての金メダリストが生まれ、若い世代の成長、ベテラン選手のリーダーシップ、新種目での躍進、スポーツにはたくさんの想像を超えるドラマがありますね。まさに「創造力の競演」です。やはりアスリート達の頑張りは大きな力を与えてくれます。

そして、いよいよオリンピックも終盤となり、閉会式が近づいてきましたね。

今回はオリンピックとFIFAワールドカップ、万国博覧会(国際博覧会)の違いを見ていきたいと思います。これは前述のメディア史と並び、僕の企画を制作する上での重要なマーケティングの基礎になっています。

これまで取り上げたオリンピックの記事は下記をご覧ください。

【1】オリンピックとFIFAワールドカップの違い

まずは、オリンピックとFIFAワールドカップの違いを見ていきましょう。

オリンピックは夏季と冬季があり、それぞれ4年に1度様々な種目で金、銀、銅メダルを争いますが、FIFAワールドカップはオリンピックと同様に4年に1度、サッカーだけでナショナルチームが世界一を争うという違いに気づいた方も多いかもしれません。
しかし、他にも大きな違いがあります。

歴代のオリンピックの開催地を挙げてみましょう。
第1回はアテネ、日本で開催されたことがあるのは東京、長野、札幌、最近ではロンドン、ソチ、リオデジャネイロ、平昌での開催がありましたね。

歴代のFIFAワールドカップの開催地を挙げてみましょう。
日本が初出場したアメリカ大会、最近では韓国・日本、ドイツ、南アフリカ、ブラジル、ロシアでの開催がありました、ちなみに僕が電通時代に関わった大会は、イタリア、アメリカ、フランスでした。

もうお分かりですね、オリンピックは都市単位での開催、FIFAワールドカップは国の威信をかけ国家単位での開催となっています。

さらに、オリンピックでのサッカーは競技全体の1種目としておこなうため、国によっては主力選手がクラブチームから招集を止められたり、国内リーグの選手のみでチームを構成したりと各国の意識の差が表れることもあります。

一方でFIFAワールドカップはサッカー競技のみを国の威信をかけて争うため、すべての国が主力選手を集めてチームづくりをおこない、本選への出場を目指して各地域での予選に挑みます。

FIFAワールドカップはスタジアムの数(12~18)や収容可能観客数、チームベースキャンプ数(64以上)など競技に関わる開催国の施設についての厳格な決まりがあるため、開催国は様々な地域を使用することになります。

2002年のFIFAワールドカップ開催誘致に向けて日本各地にサッカーチーム及びホームタウンをつくり、1993年にJリーグが開幕したことからも日本全国(実際には韓国と共同開催のため2国にまたがる広範囲)を使ってFIFAワールドカップが開催されることがわかると思います。

このように、オリンピックは開催都市を中心に観光客が集中し、その1都市が大きく発展する傾向にあり主要都市の発展が期待できますが、FIFAワールドカップでは観戦客は開催国の各都市の地域性を感じることができるほか、開催国も国内の複数都市の発展を期待することができます。

【2】オリンピックと万博の違い

次にオリンピックと万博の違いを見ていきましょう。

前述の開催地はオリンピックも万博も都市単位で同様です。
開催は都市単位で1つの都市の発展が見込めますが、オリンピックは開催都市が主催となるのに対し、万博では国が主催となります。

2025年に開催する予定の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。日本が官民一体となって取り組んでいる国家プロジェクト「Society 5.0」や国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsを中心とした未来社会のビジョンを世界と共有する機会となることからも国家開催であることがわかると思います。

もうひとつの大きな違いとして、開催期間が挙げられます。オリンピックは約2週間の短期間開催ですが、万博は約6か月と長期にわたって開催されます。

万博は長期間の開催であり、座席のチケットがあるわけではないため来場者数が一定ではありません。そのため、交通網の増減や混雑緩和のための周辺施設でのプロモーションなど、その時その時に合わせた対応をしていくという特徴があります。広告的にはまさにオンタイムプロモーション。企画力が試されますね。

また、パビリオン等の施設は約6か月の期間に限定して使用されるものがほとんどでオリンピックのように恒久的に使用されるものが少ない特徴があります。現在も残るものとしては1970年の大阪万博のシンボルだった「太陽の塔」が有名ですね。

それに対し、オリンピックはこの2週間のために事前に準備を進めていきます。インフラストラクチャーを中心に新しいものが生まれます。1964年と2020年の東京オリンピックに向けて新しく生まれたものの一例を下記に挙げました。

東京五輪がキッカケでできたもの_page-0001

1964年に向けて新しく生まれた東海道新幹線、国立代々木競技場、東京モノレール、日本武道館、高速道路などは現在も使用されていたり、今回の東京オリンピックの競技会場にもなっているものもあります。

このように未来につながっていく新しいものが生まれるオリンピックは期間前後の成長のためにあるともいえます。

今回の2020年の東京オリンピックに向けて新しく生まれた新国立競技場はオリンピック中の有観客試合での使用はかないませんでしたが、今後様々な大会や行事の会場として活用されていくことでしょう。

現在、日本では2030年の開催に向けて、北海道での冬季オリンピックの誘致活動が進んでいます。
現状北海道には新幹線がほとんど通っておらず、現在は新函館北斗駅までしかない状態ですが、札幌までの約212kmを延長した北海道新幹線という新たなインフラが生まれようとしています。

これはオリンピック誘致をきっかけにインフラを意識することにつながり、今後の北海道観光の利便性の向上によって海外からのインバウンドの増加や国内旅行の発展が予想できる良い例ではないでしょうか。

今回のオリンピックのように目先の使用の有無だけで無駄だったのではないかと考えるのではなく、ポジティブにメリットを見つめ、今後活用されて様々な競技の聖地となっていく希望や新しいものが生まれてどのような国になっていくのかどうか、明るい未来を想像していきたいですね。

このように日本はオリンピック、FIFAワールドカップ、万博のすべての開催の経験がありますが、それぞれに特徴があることがおわかりいただけましたでしょうか。

スポーツと経済、文化と経済はそれぞれつながっています。関係性や特徴を知ったうえでそれぞれの行事を楽しむことで新しい発想・視点を生み出すことができると思います。



最後までお読みいただきありがとうございました! スキ、コメント欄への感想、リクエスト、シェア等、大歓迎です。 スキ、フォロー時にはランダムで吉良語録メッセージをお送りしておりますのでお楽しみください!