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障がい者スポーツへの想い①【吉良式発想法&視点】

どうもどうも、吉良です。

8/8(日)にオリンピックの閉会式がおこなわれ、ほとんど無観客の東京2020オリンピックが世界へ向けた「ARIGATO」のメッセージで終了しましたね。

日本選手はもちろん世界中のアスリート、それを支えるスタッフ、ボランティアを含めた関係者全ての努力が形になった素晴らしい大会でした。そして、現段階では無観客もしくは学校観戦など開催までにまだ確定していない部分もありますが、2021年8月24日(火)からいよいよ東京2020パラリンピックが始まります。

これまでいくつかオリンピックに触れる内容のnoteの記事を書いてきました。ご興味のある方はこちらも是非、ご覧ください。

パラリンピックという名称は1964年の東京五輪の際に名づけらた造語です。現在はParallel(パラレル/平行する、もうひとつの)とOlympic(オリンピック)を合わせた「もう一つのオリンピック」として解釈され、1988年のソウル大会から正式名称となりました。

それまでにも障がい者スポーツ大会はありましたが日本がつけた名称によって、パラリンピックは世界での認知が広まり、日本は障がい者スポーツへの理解のきっかけを作ったともいえます。

このような起源を持つ日本は本来、「障がい者に優しい国」であるべきだと思います。しかし現実はどうでしょうか。2021年に再びパラリンピックがこの東京で行われる今、日本は「障がい者に優しい国、日本」と呼ばれているでしょうか?

今回は、日本経済新聞で2019年、2020年と連載をし、2021年も9月から連載スタートする、マンガデザイナーズラボの未来の方向性のひとつを示す事になった『障がい者スポーツマンガ~あくなき挑戦者たち~』の企画をどのような想いでプロデュースしたかをパラリンピック開幕を前に2回に分けてお話ししていきたいと思います。

【1】障がい者スポーツ企画のはじまり

企画のはじまりは、かなり早い段階から障がい者スポーツに取り組んでこられた富士通株式会社と作った障がい者スポーツをマンガデザイン(R)する企画でした。

オリンピックの開会式でも話題となったピクトグラムのように、ひと目でわかりやすい障がい者スポーツのアイコンをマンガデザインで制作しました。このビジュアルはさまざまな展示会などでご使用いただきました。

富士通

このビジュアルをご覧になった日本経済新聞社広告局からご連絡をいただき、スタートしたのが『障がい者スポーツマンガシリーズ~あくなき挑戦者たち~』です。富士通株式会社のご好意によりこのマンガデザインもこの企画に使用させていただきました。

当初は、日本経済新聞社がオリンピック・パラリンピックのメディアスポンサーであることもあり「パラリンピックに向けた企画」でした。

しかし、我々はパラリンピックをただ応援するだけでなく、パラリンピック以降のこの国の障がい者に対する姿勢を明確化するため、恒久的に「障がい者に優しい国、日本」を築くための企画にすることが重要だと考えました。

また、企画当時(2019年)はまだ東京オリンピック2020開幕まで約1年というタイミング。その中で、障がい者スポーツをよく知らない、または応援したい気持ちや興味があってもルールや見どころがわからない方が多いことが課題でした。

「障がい者に優しい国」になるためにはまず、そのオピニオンリーダーになり得る障がい者アスリートのあくなき挑戦を知ってもらうことが大切です。
各競技の魅力をマンガデザインで分かりやすく表現することにより、障がい者スポーツへの興味関心を多くの読者へ抱いてもらうことで、障がい者スポーツの情報が読者を通じてさらに拡がることを期待しました。

そして、パラリンピックが開催されるまでに日本国民全体のムーブメントと機運を高め、そしてパラリンピックが終了した後も障がい者スポーツを更に支援、そしてより大きく飛躍させることを目的としました。

その中で社会の様々な分野で活躍する情報発信力・社会的影響力がともに高い日本経済新聞読者に向けた展開をすることとし、日本経済新聞に15段カラー広告シリーズとして掲載することになりました。

紙面は普段の新聞紙面より紙質のいい『NIKKEI The STYLE』をメインに展開することとなり、それは以降のシリーズでも引き継がれています。

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(2019年8月25日 NIKKEI The STYLE掲載)

メインビジュアルに大きく男女の選手を描き、みどころ解説や競技大会スケジュール、そして日本経済新聞が保有する日経ARで読み込むと15秒間のマンガデザイン動画が見られる仕組みを設定しました。

結果、この取り組みは多くの読者の目に止まり、デジタル版の計測でも視認率80%以上、認知率30%後半と日本経済新聞の平均視認率(60%以下)・認知率の平均(20%台)を上回り、好評の中、終了しました。

そしてSeason1の全27種目が終了した後、扱った全ての競技を集結させた新聞見開き30段のビジュアルも制作し、そこでSeason2実施の情報を公開しました。

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(2020年3月9日 NIKKEI The STYLE掲載)

次回はSeason2とそれ以降についてお話ししていきます。

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こちらは蛇足ですが、みなさんは今回のオリンピック・パラリンピックでメダル授与の際に選手たちに渡されるメダルと花束の秘密をご存じでしょうか。

まず、メダルは「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」という全国各地から集めた使用済み携帯電話等の小型家電等から金属を集めたリサイクル金属で作る国民参画型プロジェクトによって製作されました。

東京2020大会をきっかけに、小型家電のリサイクルの定着と環境にやさしい持続可能な社会の仕組みを作る取り組みです。まさにSDGsですね。

2017年4月から2019年3月の2年間にわたる活動により、オリンピック・パラリンピックの金・銀・銅あわせて約5,000個のメダルに必要となる金32kg、
銀3,500kg、銅2,200kgを確保しました。

多くの方の協力やによってつくられたメダルはSDGsを実現することができる明るい未来への想いが詰まっているように思えます。

また、今回の花束は3大会ぶりに生花で作られました。使用されている花材はすべて東日本大震災の被災地で生産された特別な花束で「victory bouquet」と言うそうです。オリンピック・パラリンピックを通じて、被災地の方々とともにその魅力を世界に向けて発信することを目的としています。

ブーケに使用されている花はトルコギキョウ・ナルコラン(福島県産)、ヒマワリ(宮城県産)、リンドウ(岩手県産)、ハラン(東京都産)の5種類です。4種類の花が東日本大震災で被災した地域で育てられたもので、それぞれに復興への願いが込められています。

福島県のトルコギキョウは、震災後に生産量が大幅に減少したものの地元の非営利団体の支援を受け、見事に復活しました。穏やかで優雅な淡い紫の花はこの地で咲き続けた花を使用しています。

宮城県のヒマワリは、震災で子どもを亡くした親たちによって育てられました。子どもたちが避難するために目指した丘にヒマワリを植え、現在では毎年その丘にヒマワリが咲くようになったそうです。

岩手県のリンドウは、震災で壊滅的な被害を受けましたが現在花市場の半分以上を占めるまでに回復しています。東京2020エンブレムと同色の藍色の美しい花を咲かせます。

どこから見てもきれいに見えるように配置されたブーケデザイナーのアイデアが随所に光るこの花束が震災からの復興を示しています。メダリストに手渡す花束は祝福を表すだけではなく、日本が震災から復興して活気に満ちてきている姿を世界に示す最高の花束です。

また、生花は持って帰ることができない国もあるためメダルに合わせた色のミライトワのぬいぐるみをつけることで記念として残すことができるようにしている点もおもてなしの心が表れていると思います。

「復興五輪になっていない」と言っている方もいますが、これ見よがしに伝える方法よりこのようなさりげない伝達こそ日本らしいコミュニケーションだと僕は思います。いつも言うように文句を言う前にさまざまな事をしっかり知ってから発して欲しいものですね。

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