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失敗から学び成長する組織を作るには?

あなたは「自分がどのくらい優れているのか?」と「自分がどのくらい速いペースで成長しているか?」のどちらを大切にしていますか?

これは、世界有数のヘッジファンドであるブリッジウォーター社の創業者であるレイ・ダリオ氏が、全社員向けの電子メールで実際に送った文面です。ブリッジウォーターの企業文化では、失敗から学ぶことが職務上の義務と位置付けられており、様々なツールや仕組みを使って、社員が失敗を成長のチャンスに変えることを後押ししています。

このような失敗を許容する考え方は、アジャイル開発におけるフェイルファスト(Fail-Fast、どんどん建設的な失敗をする)の考え方につながります。DXなどの新しい取り組みの時は、いかに早く失敗を重ねるかによってゴールに到達できるタイミングが変化します。

図2

Deliberately Developmental Organization

30年以上にわたって「大人の発達と成長」を研究してきた発達心理学の専門家たちは、どうすれば社員一人ひとりが「自分の弱さを隠す仕事」から解き放たれ、潜在能力を開花させることができるのか、また、それを可能にする組織の共通点について、その本質に迫っています。

彼らは、自発的に成長する組織(Deliberately Developmental Organization DDO)は、「エッジ」「グルーヴ」「ホーム」という3つの軸の相互作用から生まれる、逆にこの3つの軸が成り立たなければ社員は安心して失敗できないとしています。

図3

自発的に成長する組織の要素

「エッジ」とは発達への強い欲求を持つことです。発達について正しく理解(大人になっても発達できる、失敗や弱さは発達のチャンス)し、強い欲求を持つことで、できないと思われているようなことや限界に挑むマインドを醸成することができます。

「グルーヴ」とは発達を実践していくための仕組みやツールです。人が見せない弱さや失敗を救い上げ、フィードバックする仕組みをどのように業務に組み込んでいくかが重要です。

「ホーム」とは人の発達を後押しするコミュニティを指します。弱みや失敗を共有しても安心・安全で信頼できるコミュニティがあることで、社員はプライベートと同じように自分をさらけ出すことが可能になります。その組織もそれを受け入れ、互いにそれを支援していくことを保証します。

図4

失敗を記録すれば賞賛される企業文化

こうした「失敗から学ぶ」という考え方は、頭では理解できますが、実際にやり切ることはとても難しい問題です。なぜなら多くの組織において、自分の弱点や失敗を白日の下にさらすということは、今後の自分の評価やキャリア形成に影響があると感じずにはいられないからです。

先行事例として、前述したブリッジウォーター社では、失敗したイベントについてどのように失敗の原因を作ったかを記録する「イシュー・ログ」を記すことが全社員に義務付けられています。その記録は、失敗を生み出した個人レベルと組織レベルの根本原因をみんなで解明・内省するための資料として使われます。

ここで大切なのは、失敗を記録すれば賞賛されて報われ、記録しなければ重大な義務違反とみなされる企業文化がブリッジウォーター社内に浸透しているということです。

図5

感情をコントロールする定例ミーティング

ECサイトを運営しているネクスト・ジャンプ社は、社員が2人でペアを組み、毎朝状況を報告し合う「トーキングパートナー」と呼ばれる活動から1日が始まります。そこで扱うテーマは自由で、片方に何か悩みがあれば相談する機会になり、逆に何か成果・前進したことがあればシェアする機会になっています。

実は、ネクスト・ジャンプ社が自社の失敗の原因を調べたところ、自信と謙虚のバランスが崩れると失敗につながりやすいとわかりました。そこで、感情のバランスが崩れる心理状況にならないように、ネガティブ・ポジティブにかかわらず毎朝の棚卸でその感情を吐き出すようにしたそうです。

「何度も失敗しなさい」と言うは易く行うは難し。そのようなときは「エッジ」「グルーヴ」「ホーム」の、どの軸がネックになっているのか?とブレイクダウンして考えてみてください。

お忙しい中、最後までお読み頂きありがとうございました。
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