無欲は無敵

新婚当時の父は、少々不安になっていました。

妻に迎えた女性(母)の生命体としてのエネルギー値が余りにも高く…。

「果たして、自分の様な穏やかな性格の人間に、妻が満足してくれているのだろうか?」と。

結婚直前の母は、大手企業の重役秘書をしていました。

いわゆる、「成功者」と呼ばれる人達に囲まれていたのです。

それが、所持金たった3万円の貧乏青年(父)と結婚。

父は、呑気者で、出世欲は皆無。

ある日、父は、母に尋ねました。

「(自分と暮らしていて)物足りなくなか?」と。

これに対して、母は…。

「私は、十分満足しとる!」と返答。

母の弟は、思っていました。

「あんな気性の激しい女の夫は、誰も務まるまい!」

「きっと、離婚されて帰って来る!」

しかし、弟の邪悪な予想は外れてしまい…。

父と母は、仲良く暮らして行くことに。

私が思うに、メンタル的に強いのは、父の方。

何しろ、「無欲」に敵うものなど、そうそう無いのですから(笑)。

周りの人達に、「怖いもの知らず」だと評されている父。

なに食わぬ顔をして、ちゃっかり母に対する攻略法を習得。

「妻に多くを望まない!」

これが、1番なのでした(笑)。


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