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無い物ねだりは虚しい

「カミソリの刄のような男」

父はある上司から、そう、言われたそうですが…。

普段は、超とぼけた感じ(笑)。

ハッキリ言って、賢そうには見えません…。

それが…。

何故か、多くの人達からモテまくる運命。

「キャー!」

女性達の黄色い声が…。

それを聞いても、冷静な父。

そんな父が選んだ女性。

よりによって、気性の激しい馬耳東風女。

幼き日、私は父に尋ねてみました。

「お父さんは、どうしてお母さんと結婚したん?」

すると…。

「お母さんは、人に媚びんし、女を武器にした甘えが無くてよかね~」

「それに、正直たい!」

(正直過ぎて困るのだ!)

どうやら、父は、稀有なものを好む傾向が…。

ある日、そんな父が、母に言いました。

「花甘露は、飄々としとるたい!」

(そうなんか?)

誰に似たかは知らないけれど~🎵

鏡の中の自分が、日に日に父に似てくる悲劇(笑)。

美しい母の面影は微塵も無くて、落胆。

欲しかったのは、父の頭の中だけ。

しかし、これも叶わず、さらに落胆。

無い物ねだりが止まらないのでした…。


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