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少年野球から学んだこと

少年野球に夢中になっていたのは,もう20年近くも前のことになる。

地元の普通の小学校の軟式チームではあったが割と熱心に活動するところで,土日には休みなく県内各地へ遠征に行っていたことを思い出す。

後に高校卒業まで野球を続けることになるが,振り返るとこの時期の少年野球での経験は,後の人間形成に大きな影響を与えたように思う。

そんな自分の人生の転換点となった当時を振り返りながら,少年野球から学んだことを書き綴ってみる。

成功体験と失敗体験

母の影響で元々野球が好きだったこと,仲の良い友達が既に入団していたこともあり,自然と入団することになった。

入団当初は上級生もそこそこいて,学校の同級生以外との初めての人間関係や,先生ではなく監督・コーチのいる独特の環境に戸惑ったことを思い出す。

当初は緊張から,試合に出してもらってもエラーや三振ばかりで,試合に出るのを恥ずかしく思っていた。

野球というスポーツの醍醐味でもあるが,投球・打席・守備,いずれも個人にフォーカスされる場面が多い。

周りに集中して見られている中でプレーすることに慣れるまで多少時間がかかったが,だからこそ注目を浴びることへの耐性は少年野球によってかなり身に付いたように思う。

半年もすると徐々にスタメンとして試合に出られるようになったが,当時は先輩のお荷物にならないことだけに必死で,上級生と比べて結果を出すことはあまりできなかった。

ミスはしないけど活躍はしない,みたいな感じだったと思う。

そんな中,少年野球では毎週のようにどこかのチームが主催の大会が開かれていたが,中には下級生向けのBチームというカテゴリーがあった。

自分はこのBチームの試合が大好きだった。

午前中に出場したAチームでは全く目立てないのに,午後のBチームでは主力として試合に出場でき,面白いように活躍することができたからだ。

もちろんBチームでは相手投手や守備のレベルが低いというのもあるだろうが,自分にとってはそれ以上にメンタルの影響が大きかったように思う。

普段は上級生に萎縮して普段通りの力を出せないが,Bチームでは勝ち負けのプレッシャーや,誰かに迷惑を掛けることを気にすることもなく,とてもリラックスして臨めていたのだと思う。

その証拠に,その後自分が最上級生になった途端,また勝負へのプレッシャーを感じてしまい,Bチームの時ほど活躍することはできなくなった。

このように,少年野球では分かりやすく打てる/打てない,守れる/守れないという部分が露わにされる。

容赦無く成功体験と失敗体験を突きつけられることで,自分のメンタル面の未熟さを思い知ることができたし,次のチャンスに向けて努力することの重要性を学ぶことができたように思う。

普段の生活では感じられないプレッシャーを少年時代に経験できたことは後の自分にとって非常に良かったと思っている。

大人と向き合うこと

監督は,地元の野球好きのおっちゃんだった。

強面の熱心な人で,とにかくみんなよく叱られていた。

自分も例外ではなく,さすがに殴られるまではいかなかったが,毎日のように呼び出されて一対一で厳しく指導された。

とにかく眼を真っ直ぐに見て話す人で,今でもその時の表情ははっきりと思い出せる。

自分は学校ではいわゆる優等生で,学校内で先生に諭されたり怒られた経験は一度もなかった。

なので,いわゆる「大人」と一対一で向き合う経験はこの時が初めてであり,少年時代でのそういった経験は得難いものだったと思う。

当時はただただ怖い人という印象しかなかったが,小学生に対して真剣に指導することにどれだけの熱意が必要だろうか。

子供達に真剣に向き合える大人が如何に素晴らしいか,今ではよくわかる。

また,少年野球では親たちのサポートも欠かせない。

休日には皆が分担してマイカーを手配し,分乗して試合に向かっていた。

そういった大人たちからのサポートを感じたり,両親以外の大人と関わることができたのも,少年野球ならではの重要な経験だった。

知らぬは一時の恥

練習中に一度だけ泣いてしまったことは,今でもはっきり覚えている。

細かいルールの話になってしまうが,打者は一塁ベースを駆け抜ける時,一塁線よりも内側に入ってしまうとタッチアウトの対象となってしまうので,ファールゾーン側に駆け抜ける必要がある。

当時はそのルールを知らず,内側に入ったところ上級生にタッチされてアウトになってしまった。

せっかくセーフだったのにアウトにされて悔しかったこと,知らないことをチームメイトに指摘されて恥ずかしかったこと,色々な感情が混ざって泣き出してしまった。

20代の若いコーチがルールについて丁寧に教えてくれながら「知らなかっただけだから,今回しっかり学んで,次から気を付けたら良いだけだよ」と優しく寄り添ってくれた。

いざ書いてみると何てことない話だが,とても印象に残っているエピソードだ。

物事は細部まで把握しておかないといけないこと,知らないだけで恥をかく場合があること,失敗から学んで次に活かすこと,など色々なことを一度に学ぶことができた経験だった。

まとめ

20年も経っているのに,当時の様々な場面は鮮明に思い出すことができる。

それだけ当時経験した全てが自分にとって強烈な体験だったということだろう。

特に,当時の監督に厳しくも子供扱いせずに指導してもらったことで,自立心や精神的な強さが磨かれたように思う。

当時の監督が人間教育まで考えて指導してくれていたかどうかは知る由もないが,監督のように他人の考え方に少しでも影響を与えることができる教育者でありたいと思わされる。


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