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牧師夫人の徒然なるままに (七六五) 「異邦人を照らす掲示の光」その2 (ルカ2・32)          

 「ああ、お願いだから、殺さないで!殺さないで!」私の甲高い懇願の叫びが、夜の集合住宅に響きました。何度も振り下ろされる「靴ベラの打撃」のうちの数回はヒット級の当たりを見せて、蜂を玄関の外に打ち払いましたが、蜂は玄関内の明かりに向かって即座にUターンします。その素早さは往年のスラッガーの勝負相手ではありません。
 玄関の明かりを消せばいいのだと私は悟りました。でも、人の存在で自動点灯する照明です。いまだ愛犬を腕に抱えながら(十一キロの肥満体です)黄色い声で懇願(命令?)する事しかできない私は、ひたすら「殺さないで!ああ、絶対に殺さないで!」と叫び続けました。お隣さんは何を思う?です。
 何度かの挑戦で疲れたのか、はたまたプライドが傷ついたのか、夫は靴ベラを捨てて、「もう、知らん。勝手にしろ!」と捨て台詞を吐き、部屋にこもりました。
 途方に暮れながらも、私は不具合のある玄関の照明を何とか消して「蜂さん、明かりは外よ!」と伝えて導きました。あっという間にその姿はベルモールの華やかな光に吸い込まれていきました。
 これほどまでに光を慕う蜂の本能に感動しました。創造主は「掲示の光」としてイエスさまを遣わされました。人の本能も必ずこの光を慕っている筈です。

安食道子

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