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牧師夫人の徒然なるままに (七五六) 「すべての人に、すべてのものとなりました」その②   (Ⅰコリ9・22) 

 学生時代、つまらない講義をする先生がいました。
生徒の顔を見ることなく延々とご自身の黴臭くなった
ノートを読み続け、板書し続ける形態の授業でした。
ある日、一人の漫画を描くのが上手な生徒が、その先
生をとてもユーモラスに描いて、生徒間に回し始めま
した。私は「面白いぞ!」と退屈を破られたことを喜
こびながら回覧に協力しました。大方の生徒はとても
楽しんでいるようでした。
 ところが、授業が終わった後の休憩時間に一部の
まじめな優等生グループが集まって「失礼だよね。先
生に対して」と話している声が耳に入ってきました。
私には衝撃でした。私は誰もが喜んでいる筈、喜んで
当たり前としか思っていなかったからです。
 同じく学生時代に、友人の誕生日に私は手編みの帽
子をプレゼントしました。私は喜んでくれて当然と高
を括っていました。微妙な笑みを浮かべて友人は受け
取りましたが、どうやら彼女の好みには合わなかった
ようでした。私は自分の好みが相手に喜ばれないこと
もあるのだと悟らされました。
 こんな私はまさに「いい歳をして」と言われて当然
の悟りの遅い者でした。要するに「ベイビー」だった
のです。                (続)

安食道子

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