医学系学会とマネーについて

日経メディカルに「製薬マネーの減少が学会を窮地に追い込む」「ランチョン廃止で900万円を失った学会の運営術」という記事があったので、様々な学会に参加していて気づいたことや、出版業の視点から、医学系学会でのお金について、気になったことを書かせていただきます。

1.学術大会について

いつ頃からかははっきりしませんが、徐々の学術大会の資金が減っていると感じておりました。

・ドリンクコーナーの内容が、コーヒーやオレンジなどがあったのに水だけになった
・ネームストラップが、メーカーのロゴ入りでしっかりしていたのに、安価なものになった
・ノートが置いてあったのに、なくなった
・バックが置いてあったのに、なくなった
・ランチョンと展示をしていたメーカーが、展示のみになった
・メーカーの展示の規模が小さくなった(メーカー数の減少)
・ランチョン数の減少
・開催日数の短縮
・紙の抄録は廃止し、電子のみ
・プレスの参加費が無料から有料になった(プレスは無料の学会が多い)
・プレスの参加費が無料から○人以上は有料になった

回によっては、上記以外の変更や、逆に豪華になっている場合もありますが、わかりやすいのは上記のようなことです。

学術大会開催には多額の費用が発生します。メーカーからのスポンサー料を期待している学会がほとんどだと思いますが、プライマリ・ケア連合学会のようにメーカーに頼らないでも運営できる体制を整えていくことが大切ではないかと思います。

地方で開催する場合、地方の方々と組んで費用をかけずに学会を盛り上げる、ということをすると、参加者も喜ぶのではないでしょうか。

2.出版の視点から:転載料について

日経メディカル「製薬マネーの減少が学会を窮地に追い込む」にも書いておりますが、学会が作成されたガイドラインや指針、図表(以下、まとめて「図表」)の掲載において転載料を請求する学会が少しずつ増えてきました。

以前は学会の図表は転載申請のみでそのまま掲載可能だったのですが、この数年で「営利目的」ということで1点の図表掲載につき数万円〜数十万円の転載料を請求されます。

著作権を主張したいというよりも、メーカーからのスポンサー料が減っているのでその対策ではないかと思っておりました。

出版物としては、執筆者からいただいた原稿に図表があれば当然掲載したいのですが、学会の図表で転載料が発生する場合は検討が必要になります。
大きくは、

 ・掲載しないと原稿が成り立たない:掲載
 ・安価の場合:掲載
 ・あった方が良いがなくても原稿は成り立つ(高額):不掲載

となりますが、1点だけの転載料ではなく、1つの出版物の合計点数(合計転載料)でも判断します。

読者には、学会がまとめた図表もあわせて原稿を読んでいただきたいのですが、出版社も経費削減は重要事項ですので、転載料がかかりすぎる場合は全て掲載できません。

学会がまとめた図表は広く周知してもらいたいものだと思いますので、転載料は請求せずに「重要な内容なので一切の変更は認めない」ぐらいで許可していただければと思います。

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