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編集者からみた、原稿執筆の一工夫:2-1.階層構造を意識して見出しをつける

2-1-1 見出しの重要性について

2-1-1-1 見出しをつけることの意味
なぜ見出しをつけるかというと、「ここからの内容は〇〇について書いています」と読み手に情報を与えることで、スムーズに読んでいただく・読み手に読みたい場所を見つけやすくさせる、などの目的があります。
長い文章なのに見出しがないと読みにくいので、適度に見出しをつけることをお勧めします。

また、見出しの階層構造を示すことで「文章のカタマリの関係」がわかりやすくなります。文章のカタマリとは、見出しと見出しの間の文章のことをさします。
「大見出し」「中見出し」「小見出し」や「見出し1」「見出し2」「見出し3」などが階層構造になります。
通常は、階層構造のことを意識しないでも、見出しをつけていれば自然と階層構造ができていると思います。

しかし、文章が長くなり重要度が高くなった箇所は、「詳細は後述する」などにして1つ上の階層に移動して目次でも目立つようにする、ということもあります。

階層構造は、読み手の理解度のためだけではなく、内容の重要度(大きい見出しの方がより重要)にもかかわるので、そのようなことを意識して執筆されることをお勧めします。
編集作業でも、上記のようなことを踏まえて、見出しの追加や階層の移動を提案させていただくことがあります。

簡単にまとめると、

・内容が変わったら見出しをつける
・文章のカタマリの重要度が変わったら階層を変える

などをした方が読みやすくなります。

では、内容が変わるので同じ階層の見出しをつけます。

2-1-1-2 見出しに番号をつけて階層構造を明確にする
いただいた原稿で見出しに関する一番大きな問題は、「見出しの番号などがないので階層構造がわかりづらい」というものです。
単に、見出し部分を改行しているだけの場合などは、文章を読みながら「この見出しは大見出しかな」「この見出しは小見出しかな」など、階層構造を考えながらデータを作成していきます。

例えば、以下のような文章があります。

●見出し番号がある例
1.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
1-1.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
1-2.見出し
1-2-1.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
1-2-2.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

2.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
2-1.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
2-2.見出し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

見出しのフォントの種類やサイズを変えるなどのデザインをしていませんが、番号がふってあるので階層構造はわかりますよね。
この文章を、番号をとると以下の文章になります。

●見出し番号がない例
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
見出し
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
見出し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

当然ながら階層構造はわからなくなります。
読まないと階層構造はわからないですし、執筆中でもわからないと思います。

見出しをつけることは読み手に情報を与えるためだけではなく、執筆する際にも自身が「文章のカタマリの関係」を理解するために必要であり、階層構造を理解するために見出しに番号をつけることは重要です。
もちろん、上記のようにハイフンで番号をつなげる以外の方法もいろいろとあるので、お好きなつけ方をお試しください。
なお本連載では、見た目でわかりやすくするために敢えて長い番号をつけています。

ということで、次からは内容が少し変わるので、1つ上の階層に移動します。

2-1-2 見出しをつけることを意識する

前述のように、話しの内容が変わり、かつ、それなりに文章量がある場合は見出しをつけた方が読み手の理解を助けます。

経験上、大きな見出しは書かれていることは多いのですが、小さな見出しが書かれることは多くはありません。
小さな見出しは、つけすぎるとうるさくなるのですが、「話の内容が変わった」ときや「これからこの内容を意識して読んで欲しい」「内容がいくつかのテーマに分かれる」などの場合はつけることをお勧めします。
実際、編集作業としてこれらの意味をこめて見出しを提案することがあります。

見出しは読み手によって理解を助けるものになりますので、「ここで見出しをつけた方がわかりやすいかなー」などと見出しをつけることを意識しながら執筆されることをお勧めします。

例えば、後述「2-1-4 Wordやブログでの見出しのつけかた」では、見出しをつけることで2つのテーマ(Wordとブログ)が本文中およびページ上部の目次一覧で目立つようになりました。

2-1-3 文章の内容がわかるような見出しをつける

見出しの書き方もいろいろあります。

・内容を要約したもの、疑問形式にしたもの、単語だけや単語をつなげただけのもの
・柔らかいもの、かたいもの

原稿や媒体のコンセプトにあわせて、見出しの書き方を調整することをお勧めします。
例えば、以下のような感じなります。

・易しい、わかりやすい原稿だから、文章を読まないでも内容がわかるような見出しにする
・専門性が高い原稿だから、かためのしっかりとした見出しにする
・専門性が高いけれど初学者向けなので、とっつきやすい見出しにする
・疑問形の見出しにして興味をもたせて、文章を読ませる
・見出しをきっかけにして読んでもらいたいから、興味をもたせる文言にする

執筆する原稿や媒体のコンセプトを踏まえたうえで、見出しのつけかたを検討してみてください。

2-1-3-1 書籍の場合
書籍では、目次を見てどのようなことが書かれているかを確認することがあるかと思います。

目次には、原稿タイトルだけではなく、見出しも書かれていることが多いと思いますので、その書籍を読もう・買おうと思わせる要素の1つとして、見出しのつけかたは重要になります。
目次を見て、面白くなさそうだな・役に立たなそうだな、などと思われないように上手に見出しをつける工夫が必要です。

2-1-3-2 ブログの場合
ブログの見出しは、SEO対策や読ませるためのきっかけ、に必要となります。

SEO対策としては、<h1>などで見出しを設定すると効果があるといわれています。

また、ブログの文章が長い場合、見出しを見て興味をもったから本文を読んだという経験があるかと思います。逆に、見出しに興味をもたなかったので本文を読まない経験もあるかと思います。
知り合い以外の人にも読んで欲しい場合は、WEBは情報の取捨選択が激しいので、読んでもらうためのきっかけ(フック)として、タイトルや見出しは工夫が必要になります。

2-1-3-3 見出しの一覧を作る
また、見出しの一覧を作ると何か発見があるかもしれません。

見出しの一覧を見るだけで何が書かれているかがわかりますし、他の見出しと比較してかたすぎるもの・柔らかすぎるもの・文章の構造が違っているものなどもわかります。共通見出しをつける原稿の場合は、見出しのモレなどもわかります。

Wordでの見出し一覧の作り方については、後述します。

2-1-4 Wordやブログでの見出しのつけかた

2-1-4-1 Wordの場合
Wordで原稿を執筆されるときは、

・Wordの機能のスタイルで見出しを選択する
・番号をつけて見出しをつける
・自身で大・中・小の3つ程度の見出しスタイルを作成し使用する

などを推奨します。
ちなみに私は、ちょっとした資料やレポートの場合は、3番目のように自分でスタイルを設定して使用することが多いです。

長くなる原稿の場合(見出しにデザイン性が必要ない場合)は、Word機能のスタイルで見出しをつけつつ、見出しをつけた目次も用意します。

見出しをデザインしたい場合は、デフォルトの「見出し1」「見出し2」などの書式を変更するか、自身で設定したスタイルを目次のオプション設定で選択することで可能になります。

2-1-4-2 ブログの場合
<h1>や<h2>などのタグを使えなくても、ブログなどでは、機能(Amebaブログでは大見出し・中見出し、Wordpressでは見出し1・見出し2など)を使用すれば見出しが簡単に作れることが多いです。

SEO対策にもなりますので、階層構造を考えながら使用してください。

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