見出し画像

編集者からみた、原稿執筆の一工夫:1-1.「、」を適度につけて、読みやすい文章にする

医療者の方、特に医師は、論文や雑誌・書籍の原稿をはじめ、学会などの発表用資料、施設内の配布物、患者配布用の紙媒体、ホームページのコンテンツやブログなど、執筆する機会が多いと思います(以降、わかりやすくするため、それらをすべて「原稿」とさせていただきます)。

書籍を制作する際、執筆者からいただいた原稿(=元原稿)を編集していくのですが、その編集経験の中から、原稿執筆において少し気を付けるだけで、きれいな原稿、読みやすい原稿、編集しやすい原稿になるための書き方について、複数回に分けてまとめていきます。「そんなこと当然だよ」と思われることもあるかと思いますが、結構、多いものを集めてみました。

少しの一工夫で原稿の理解度やきれいさが増しますので、これからの原稿執筆にお役立ていただければ幸いです。

1-1-1.「、」がない長い文章について

長い1つの文章に「、」(読点)が1つもなく読みにくい、という原稿をよくみかけます。おそらく、執筆者が書き慣れている文章のため、一気に書かれているのでしょう。編集作業では、読みやすく、また理解しやすくするために適宜「、」を入れます。
口頭で説明するときに、抑揚をつけたり、間をあけたりすることがあるかと思いますが、その抑揚や間をあける作業が、原稿では「、」になります。

1-1-2 「、」の入れる場所について

また、1つの文章が長い場合だけではなく、文章の切れ目や関係性がどうなっているのかの理解を助けるために、編集作業として「、」を入れることもあります。
例えば、構造的に「A+B+C」になっている文章があるとします。

例 「父は今日も元気です」(父は + 今日も + 元気です)

文章の流れ上、強調したい箇所があった場合(強調した方が、あとの説明がわかりやすい場合)、この文章が、「A、B+C」なのか「A+B、C」なのかを読者が自然と理解できるように「、」を入れると、文章がわかりやすくなります。

例1「父は、今日も元気です」 (「父」を強調)

例2「父は今日も、元気です」 (「今日」を強調)

このように「、」を入れて強調箇所をわかりやすくしたり、主部が長い場合は「ここまでが主部です」と示すように編集作業を行います。

「、」を入れる場所によって文章の理解度は変わってきますので、読み手のことを考えて「、」を挿入することをお勧めします。

その他、「ひらがながつながっている場合」「漢字がつながっている場合」なども、読みやすくするために「、」を入れます。

1-1-3 「、」は文章理解のために重要

今までの説明なんて知ってるよ、という方が大半だと思います。しかし、原稿を書いていると、ついつい「、」を入れずに書き進めてしまう、というものです。適度に「、」を入れると、読み手の理解度を助けるだけではなく、編集作業も少し軽減されるので、適度・適切な「、」をお勧めします。

逆に、「、」が入りすぎて読みづらい文章や関係性がわかりづらい文章もあります。

例 「父は、今日も、元気です」

この例では、文章がブツ切りになっているため読みにくいのと、「父」と「今日」どちらを強調したいのかがわかりません(文脈上、どちらも強調する必要がなければ問題ないですが)。
このような場合は、不要な「、」を削除させていただきます。

「。」(句点)も同様で、「。」がなく1文がすごい長い場合や、逆に多すぎて文章が細切れになっている場合もあります。こちらも適度に入れていただけると、助かります。

●適度の考え方
明確に「このぐらい」とは言いづらいことなのですが、「内容を知らない第三者の客観的な目線」として、ご自身で客観的に読んでみて、文章の読みやすさを検討してみてください。ちなみに、この第三者の客観的な目線が、編集者の目線であり、この目線により様々な編集作業を行っていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?