ACF理論の表芸と裏芸
私が独自に生み出したACF理論。A(アタック=攻撃)C(カウンター=反撃)F(フェイク=虚撃)の3竦みのうちFには表と裏がある。
「陽動」「囮」「偽伝令」は表芸。「不意打ち」「伏兵」「速攻」は裏芸。
表芸は純粋な虚撃であり「崩し」のみ。単体ではダメージを与えることすらない。相手に反応して自分で動いてもらうのが目的なので、知覚してもらわなければ無意味な技である。私がカウンター型の父に将棋で作戦勝ちしやすいのはこの部分のおかげだ。カウンター狙いの場合、相手の動きに備えるという要素が強いので、相手の実はフェイクの動きにでもつい反応せざるを得ないわけだ。情報を秘匿するのではなく、大量に押し付けて翻弄する手口になる。TRPGのマスタリングももっぱらこの手法が使いやすい。
裏芸は攻撃要素が加味されている。伏兵にはカウンター要素があるし、速攻にはアタックの要素が含まれている。相手の知覚や読みの外、予想外や想定外の動きなのでこちらは相手に情報を渡さないことがキモになる。相手に知覚されなければ先手を取りやすい。こちらはもっぱら母相手の将棋に用いることが多い。相手の体制が不十分なうちに、予想より早く先手先手で仕掛けてペースを見出し主導権を握る。
相手の警戒心が強いなら、オモテ芸で相手を振り回す。相手の警戒疲れを誘ったり、陽動で仕留めやすい位置に移動させるのが良い。
相手が無警戒であったり、強気で油断気味であったりならもっぱら裏芸を用いる。不意打ちの初撃とその後の展開に前もって備えることで時間と空間においてリードすることができる。不可知の一撃になると相手は攻撃を受けたことにすら気づかない。究極のアウトレンジ戦術であり、相手が知らない間に目的だけが達成される。リアルの社会戦ではスマートでよい方法だ。争いすら発生しないですむ。
また、フェイントには相手の状況を探るという使い道もある。相手が何に反応し、何に反応しないのかを実際の攻撃よりも低コストで試すことができる。広告を出すときにいきなり全国展開するのではなく、地域で2パターン試して効果のあるほうを見極めるなどのマーケティング手法がこれに該当する。この場合の「広告」は宣伝が目的ではなく、どちらのほうが効果的かを見極めるためである。
CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。