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「飯炊き母さん」が正月休みに見た映画特集で~す♬

ゆっくり骨休めして、映画見放題のお時間を過ごそうとたくらんでいたお正月…。そんな余裕はどこにもありませんでした。

「20代、食べ盛り」の息子2人が東京から帰ってくると、「飯炊き母さん」に大変身。白飯を8合も炊いた日があったぐらい、ずっと台所におりました。

1月5日になって、ようやく次男と一緒に大好きな映画館サロンシネマに足を運ぶことができました。新年最初に見た映画は、仏独共同制作の「悪なき殺人」(ドミニク・モル監督)。

「人間は、『偶然』には勝てない」というキャッチコピーの通り、偶然が偶然を呼び、登場人物たちが思わぬ方向に転がっていく物語です。芥川龍之介の小説「藪の中」に似た感じで、ある殺人事件を複数の人たちの視点で描くと、新たな真実が見えてくる…そういう構造の作品。もう伏線回収のオンパレードで、その点では気持ちよかったです!

構造の面白さに加え、印象的だったのは愛に飢え、愛を求める登場人物たちの姿です。それはとっても滑稽ですが、見終わってみれば人間的でいとおしく感じます。

息子たちが東京に戻って一人になった10日は、のんびりと横川シネマで「偶然と想像」(濱口竜介監督)を見ました。「ドライブ・マイ・カー」がカンヌ国際映画祭脚本賞をはじめ多くの賞を受賞し、この作品もベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いただけに、期待感いっぱいでスクリーンを見詰めました。

三つの短編で成り立っているオムニバス形式の作品。私は第二話の「扉は開けたままで」が好きでした。渋川清彦さん演じる大学教授が淡々と語れば語るほど(濱口メソッドともいわれる、あの棒読みで)、おかしくて笑いがこみ上げてきます。

第三話の「もう一度」は、個人的に大好きな2人の俳優、占部房子さん河井青葉さんが登場。同級生同士だと完全に思い込んでいた観客に、「えっ!」という展開が…。ここからは見てのお楽しみです。

この映画の魅力って、「会話」にあると思います。自然で、でも奇妙な方向に転がっていく会話劇は、演劇好きにもたまりません。

映画館だけでなく、動画配信サービスでも飯炊きの合間に映画を楽しみました。カナダ映画「CUBE」(1997年、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督)は、立方体(キューブ)が組み合わさった謎の迷宮に閉じ込められた人たちの話。脱出を試みるのですが、仕掛けられたトラップのために、次々と命を落としていきます。最後に抜け出られたのは、意外な人物…。

単なるデスゲームの物語ではありません。話が進むにつれ、謎のキューブが不条理な社会のメタファーであると分かってきます。昨秋には、日本でも菅田将暉主演のリメーク版「CUBE 一度入ったら最後」(清水康彦監督)が公開されました。

まだ見ていないのですが、巧みな1997年版を上回る出来だったのか、気になるところです。

(編集部・お蝶さん)


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