J2-第37節 FC岐阜対愛媛FC 2019.10.20(日)感想

01_スタメン

 J2第37節、FC岐阜対愛媛FCの試合をざっくりとふりかえっていく。

 岐阜のキックオフは、ファウルがあったので愛媛ボールとなった。よくわからない文章だ。
 キックオフをおこなった馬場賢治選手のプレーが、おそらくファウルとなったのだろう。馬場選手はいちど自陣側へボールをおしだしてから、味方へパスをだしている。つまり連続して2回ボールに触れている。
 サッカー競技規則曰く、「他の競技者がボールに触れる前にキッカーがボールに再び触れた場合、間接フリーキックが与えられる」(『サッカー競技規則 2019/20』、p.91)。
 へぇ。小生、納得。今村義朗主審がたてた2本の指は、2回ボールに触れたという意味だったのだろう。まだまだサッカーには理解できていないルールがたくさんあるようだ。
 さて、いつも通りの[3-4-2-1]とみせかけた愛媛。左右のウイングバックに野澤英之選手と近藤貴司選手がはいる。しかしはからずもマイボールになったことで、愛媛はさっそく用意してきたらしい[4-4-2]へ変貌する。
 最後方左から野澤選手、西岡大輝選手、山﨑浩介選手、茂木力也選手。中盤は川村拓夢選手、田中裕人選手、山瀬功治選手、近藤選手。そして2トップに神谷優太選手と藤本佳希選手。
 けが人のおおい時期を乗り越えてきた4バック。ボール保持のときには形をかえて[4-1-2-3]のようになっていた。田中選手がアンカーで、川村選手と山瀬選手がインサイドハーフ、左右のウイングに神谷選手と近藤選手という形だ。おそらく[4-4-2]同士だとマークのズレがつくりづらいためだろう。岐阜の1-2列めにアンカーとして田中選手にいてもらうことで、彼をだれがみるのか問題を岐阜に突きつけようとした。もし岐阜の2ボランチの一方が田中選手へ寄せにくれば、川村選手なり山瀬選手なりがフリーになる。ただ、岐阜はでてこない。堅実に中央を塞いでいた。代わりに2トップ、とくに前田遼一選手が献身的に寄せにいっていた。
 川村選手と山瀬選手は2ライン間で縦パスを受けるよりも、岐阜のボランチとサイドハーフとのあいだに位置していることがおおかった。2ライン間が狭すぎて前をむけなかった前節アルビレックス新潟戦を反省してのことかもしれないし、まったく関係ないのかもしれない。
 17分に岐阜の1-2列め、2-3列め(2ライン間)と1列ずつボールを前進させることでチャンスをつくった。山瀬選手と川村選手の位置取りの効果があらわれている場面にもおもえた。
 山瀬選手がサイド寄りかつ岐阜の2列めの前でパスを受けると、2ライン間の近藤選手と右サイドバックの茂木選手との3人で、岐阜左サイドハーフの柳澤亘選手に対して3対1がつくれる。なので隣り合う川西翔太選手がすぐにサポートへくるのだけれど、そうなるともっとも守らなければならない中央が阿部正紀選手のみとなってしまう。その中央を使って愛媛は左サイドへ展開し、いちどは岐阜ボールになるものの、すぐに奪い返して藤本選手シュートまでもっていった。

 岐阜はボールをもつとき、阿部選手が2センターバックの中央か右脇へ下がり、川西選手がアンカーに残る形をとっていた。これによって右サイドバックの藤谷匠選手が高い位置をとるようになり、1列まえの塚川孝輝選手は内へ絞る。
 愛媛がプレッシングの位置を低めにとっていることもあり、岐阜は前半のうちミドルゾーンまでは容易に前進することができていた。そしてそこからは愛媛のサイドバックの裏めがけてロングボールを入れていった。柳澤選手がドリブルでしかける機会をつくったり、藤谷選手が高い位置をとってターゲットとなったりしていた。19分には藤谷選手がペナルティエリア手前でファウルを受けている。このセットプレーから前田選手がダイビングヘッドでネットを揺らす。が、直前にファウルがあったためノーゴール。おそらく、ゴールを決めた前田選手のマークについていた野澤選手を當間健文選手が倒したから。當間選手としては野澤選手の前に割りこむことで、前田選手をフリーにさせる狙いがあったのだろう。実際前田選手はフリーでヘディングを決めているわけだし。ただただ倒してしまったのが誤算といったところか。

 27分に見られた岐阜の疑似カウンターが興味深かった。柳澤選手の抜けだしがぎりぎりでオフサイドになった場面。
 GKヤン・オレ・ジーバース選手からはじまった攻撃で、岐阜はミドルゾーンの直前あたりまではドリブルでボールを運ぶ。が、竹田忠嗣選手から甲斐健太郎選手へのパスがでたところで愛媛がプレッシングを開始。近藤選手が甲斐選手へ寄せにいき、竹田選手へバックパスをださせる。すぐさま山瀬選手が連動して竹田選手へ寄せにいくことで、最終ラインに下がっていた阿部選手まで戻させる。右にひらいている當間選手へは神谷選手が寄せ、下がってサポートにくる川西選手には田中選手が寄せてと、愛媛はパスの出し所を上手に押さえていた。地味だけれど、當間選手へのパスコースをけすようにカーブしながら阿部選手へ寄せていった藤本選手のアプローチもよかった。
 が、そんな愛媛の見事なプレッシングを竹田選手が一発で無効化してみせた。センターサークル付近にまで絞っていた塚川選手へワンタッチでパスをとおしたのだ。これによって愛媛の守備ライン三つのうちふたつが置き去りにされ、残るは最終ラインのみという状況になっていた。柏レイソルをホームに迎えたとき、愛媛がくりだしていた攻撃をおもいだした。柏の前5人と後ろ5人が分断してしまって中盤ががら空きになってしまう状況、それに似ていた。塚川選手から柳澤選手へのパスがオフサイドとなったことで、愛媛は事なきをえる。
 30分過ぎから岐阜は守備のやり方をいじってきている。それまで飛びだすのを抑えていた川西選手が愛媛最終ラインまでプレッシングへいったり、2トップが前田選手と柳澤選手になったり。
 2トップがかわったことで、馬場選手が右サイドハーフへはいり、塚川孝輝選手が左サイドハーフへ移っている。左サイドにスピードのある選手がそろったことで、岐阜のカウンターがより脅威になった印象だった。

 後半からも愛媛はサイド攻撃を中心に攻めこんでいた。そして岐阜は愛媛の中盤を突くカウンターをくりだすほか、相手陣内でのボール保持の時間もふやしていった。
 愛媛は岐阜陣内深くまで攻めいる機会がおおかったけれど、そこからのクロスがうまくいかなかった印象。もっとも、當間選手と竹田選手の2バックのみならず、ボランチには阿部選手もはいっているのだから、空中戦はかなり手強い。なおかつしっかりとペナルティエリア内に岐阜が人数をかけて守るので、グラウンダーのクロスにあわせるのもむずかしそうだった。
 そうこうするうちにコーナーキックから當間選手がこぼれ球をおしこみ、65分、岐阜が先制。78分にはゴールキックのこぼれ球をひろった川西選手がディフェンスラインの裏へフライスルーパス。柳澤選手が抜けだしに成功すると、GK岡本選手に倒されてPKを獲得。川西選手が決めて2-0に。
 愛媛は72分の野澤選手と丹羽詩温選手の交代から[3-4-2-1]になっていた。岐阜の2点めの直前からは茂木選手が左サイドへ移り、交代出場した長沼洋一選手とのコンビを普段とは逆サイドで形成。しかし奏功せず。藤本選手や有田光希選手がゴール前に迫る場面があったもののスコアは動かず、岐阜が12節以来のホームでの勝利を挙げた。

 FC岐阜の選手についておもったこと。
 馬場選手と前田選手の献身的なプレッシングがすばらしかった。川西選手もボールを失わずにドリブルで運ぶことがおおくて逞しかった。柳澤選手というドリブラーを発見した。ディフェンダー登録なのにウインガーということで、V・ファーレン長崎の大本祐槻選手を想起した。まあ、大本選手はサイドアタッカーからサイドバックだったけれど。
 さて愛媛FC。残念ながら前野貴徳選手と下川陽太選手の不在というピンチを乗り切ることができなかった。ということで勝利のよろこびは次節モンテディオ山形戦へキャリーオーバーされた。
 試合後のコメントで長沼選手が自身の課題は守備面だとし、「守備をしっかりとしつつ、攻撃でちがいをみせられる選手になりたいと思う」と述べている。ぜひ来季も愛媛でその修練に励んでいただきたいです。
 最後までお読みいただき誠にありがとうございました。


 試合結果
 FC岐阜 2-0 愛媛FC @岐阜メモリアルセンター長良川球技場

 得点者
 岐阜:當間健文、65分 川西翔太、79分
 愛媛: