J2-第11節 愛媛FC 対 モンテディオ山形 2020.08.12(水)感想

 J2第11節、愛媛FC対モンテディオ山形の試合をざっくりとふりかえっていく。

 山形は4バック。愛媛は前節同様[3―1―4―2]で臨む。ツエーゲン金沢戦でむきあうことになった、相手サイドバックをだれがみるのか? という問題は、運動量で解決することとなった。
 この試合で左インサイドハーフにはいったのが忽那喬司選手。彼が山田拓巳選手までよせていくことで対応しようとしていた。また、山形はボランチの岡崎健哉選手がセンターバックのあいだに下がることがある。そのときは対応を変化させる。忽那選手は野田裕喜選手を見、三原秀真選手が山田選手へよせていく。岡崎選手が下がったぶん、サイドバックがすこし高い位置へでていくので、三原選手もよせていくことができる。だが困ったことに、ここでズレをつくられてゴール前まで迫られる場面もなんどかあった。とくに山形の左サイドから右サイドへボールを動かされたときに、忽那選手のスライドが間に合わず、対応が後手にまわってしまっていた。
 ということで、しだいに愛媛のブロックの位置は下がっていくことになった。すると32分。山形はファウルのリスタートから先制点をきめる。岡崎選手の縦パスを山岸祐也選手が大槻周平選手へフリックでパスしつつターン。大槻選手もワンタッチで愛媛ディフェンスラインの裏へスルーパスをだし、抜けだした山岸選手がGK岡本昌弘選手との1対1を制する。山岸選手のフリックとターンがすばらしかった。とくに彼のターンにはこの場面に限らず手を焼かされていた。前線からのプレッシングで蹴らせたとおもった場面で、山岸選手の胸トラップとターンで趨勢がかわってゴール前に迫られてしまったこともある。左サイドハーフの末吉塁選手も脅威となり、彼にパスがつながってカウンターを打たれるとシュートまでもっていかれてしまった。
 サイドバックどうするのという問題は解決できたわけではなさそう。というより、3バックのチームが4バックのチームと対峙するときには必然的に生まれる問題にすぎないともいえる。3バックのまま運動量で解決するか、もしくは4バックにしてサイドの人数をふやすかといったところが打てる手なのだろう。ということで、インサイドハーフにはいる選手のがんばりに期待したいのだけれど、かなり大変そうだ。
 とはいえ、守備が改善しているとも感じられる。金沢戦に比べて、前線からのプレッシングが効いて、ロングボールを蹴らせることに成功することがおおく、こぼれ球を回収することもできていたからだ。先述したように山岸選手に収められてしまうことがあったものの、それよりもセンターバック陣が競り勝ってマイボールにできていた。

 前からのプレッシングがうまくいっていたのは、効率よく山形陣内へボールを前進させられていたからでもある。この試合は、ほんとうにうまくボールを前進させられていた。ただ山形陣内へはいるだけでなく、ペナルティーエリアの深さにまで進入することもよくできていた。
 やはり左サイドからの前進は安定している。サイドで菱形をつくり、ボールホルダーにふたつ以上パスコースをつくる。この試合では三原選手がタッチラインぎわで相手を剥がして一気にチャンスをつくることもあった。また森谷賢太郎選手が左インサイドハーフぎみに位置どるときは、忽那選手がタッチラインぎわにひらいて渡邊凌磨選手を牽制し、前野貴徳選手がボールを運べるようにもしていた。さらに、森谷選手が2ライン間に残って裏抜けを狙うことで山田選手をひきつけ、三原選手をフリーにさせることもあった。

 最終ラインを突破し、山形陣内深くまで攻めこむことができていた愛媛。しかし問題が最後にあった。クロスがあわない。愛媛はニアに低いクロスを入れることがおおい。これが山形ディフェンスに跳ね返されてしまう。ならばとファーサイドへクロスを送ってもあわない。おそらく、攻めこみたいところまで攻め切れていないのが原因なのだろう。攻めこみたいのはペナルティーエリア内の両脇。そこまでえぐってからクロスを入れたいけれど、エリアにはいるかどうかというところからクロスを入れることがおおかった。忽那選手がなんどかエリア内へ飛びこんでチャンスになった場面があったけれど、そういうときはクロスを防がれてしまっていた。後半の終わりになってくるとエリア内からのクロスで決定機をつくりだしはじめたが、GK櫛引政敏選手をはじめとした山形守備陣の奮闘にあってシュートをなかなか打てなかった。
 試合は0―1で終了。モンテディオ山形が9試合ぶりの勝利を挙げ、愛媛FCは8戦勝ちなしの3連敗となってしまった。

 4バックを模索しているというモンテディオ山形。マークをずらして一気に攻めこむかたちをなんどとなくみせていて、かなり活き活きしているようにみえた。2ライン間を閉じたブロックも強固で、サイドをつかわれても最後中央で跳ね返せばいいという逞しさまである。ここから浮上していくのだろうか。石丸清隆監督がんばって。
 さて、愛媛FCに良いニュースがある。負傷離脱していた山瀬功治選手が途中から出場し溌溂とした姿をみせてくれた。じょじょに離脱していた選手たちが練習にもどってきているという噂もある。悪いニュースは、この試合で先発予定だった藤本佳希選手にアクシデントがあったらしいこと。うむ。
 クロスがあわずにチャンスらしいチャンスがないよと嘆きたくもなるが、クロスさえあれば確変にはいりそうな気もする。三原選手は左足でクロスを量産中。昨年の下川陽太選手のように、じょじょに精度を上げていってくれるか楽しみだ。
 とはいえ8戦勝ちなし。現実は厳しい。つらいので映画を観て癒されることにした。おかげでじゅうぶん癒され、現実に立ち向かう勇気をもらった。
 だいじょうぶ。
 現実ではジェイソンに湖のなかへ引きずりこまれたりしないし、夢のなかでフレディーに切り刻まれたりすることもない。ましてやバルセロナのアパートで人間だったなにかに襲われる心配だってないのだ。それに比べれば現実なんてぜんぜんへーき。8戦勝ちがない? ハッ。っていうこのスタンスで蹴りたい連戦乗り切るんだぜ。
 最後までお読みいただき誠にありがとうございました。またね。

 試合結果
 愛媛FC 0―1 モンテディオ山形 @ニンジニアスタジアム

 得点者
  愛媛:
  山形:山岸祐也、32分