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ドクターズコラム特別編『武田社ワクチン(ノババックス)接種後アンケート調査中間解析』

当クリニックは新潟県の武田社ワクチン(ノババックス)接種センターに指定されています。
本年5月26日に全国に先駆けてワクチン接種を開始し、7月20日現在までに781件の接種を行いました。その中で、被接種者に任意で接種後アンケート調査のご協力をいただいています。

アンケートは、Googleフォームを用いて行い、大きく、①武田社ワクチン(ノババックス)を選択した理由、②ワクチン接種後の副反応について、を問う内容です。接種後1週間をめどに回答いただくようお願いし、後日の追加調査への参加可否も確認しています。

7月20日までに、100件の回答をいただきました。
全体の回答者は、男性 41名、女性 59名、年齢は18歳-74歳(中央値 44歳)です。接種1回目が28件、2回目が21件、3回目が51件でした。

1回目接種の接種希望理由は、多くが、“mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンを接種することに抵抗がある”(71.4%)、“発熱などの副反応の頻度が既存のワクチンに比べて低いと聞いている”(67.9%)、“アレルギー反応の頻度が既存のワクチンに比べて低いと聞いている”(60.7%)でした(複数回答可)。
2回目接種者のうち、2名は、1回目にmRNAワクチンで重篤なアレルギーや副反応の出現があり、同一ワクチンの接種を受けないよう主治医に指示されていました。
3回目接種者は、1・2回目の接種ワクチンがファイザー社製 40名、モデルナ社製 10名、アストラゼネカ社製 1名で、“発熱などの副反応の頻度が既存のワクチンに比べて低いと聞いている”(80.4%)が最多の選択理由でした。

今回の接種後に何らかの副反応があったのは56名で、残りの44名は副反応がありませんでした。
56名が経験した副反応の種類は、接種部位の痛みが87.9%と最多で、倦怠感(35.7%)、接種部位の腫れ(26.8%)、頭痛(25%)、発熱(17.9%)、筋肉痛(16.1%)、関節痛(14.3%)と続きます(10%以上を記載)。
副反応の程度は10段階評価で中央値 2(0-8)で、ほとんどの人が接種当日から翌日に副反応のピークを経験し、8割の人が接種2日後までにおさまっていました。
翌日の業務(仕事・学業)への影響は、11名が副反応のため休んだまたは業務に支障があったと回答しています。3割が鎮痛解熱薬を服用しましたが、医療機関受診者はいませんでした。

3回目接種者 51名(年齢中央値 45歳(18-74歳))の回答を見てみます。
初回免疫の副反応の程度は、1回目接種 中央値 3(0-7)、2回目接種 中央値 6(0-10)で、2回目接種では、倦怠感 72.5%、発熱 62.7%と多くの人が全身症状に悩まされていました。
今回の接種では 約1/3が副反応の出現はなく、副反応を認めた33名の副反応の程度は中央値 1(0-8)でした。
37.5℃以上の発熱があったのは4名にとどまっています。
副反応のため翌日の業務を休んだのは2名でした。
自由記載にて、2名は初回免疫と同程度の副反応だったと回答していますが、多くの人が接種部位の疼痛はあったが初回免疫より全体の副反応は軽く済んだと回答しています。

以上、アンケート調査中間解析より、限られた回答数ではありますが、武田社ワクチン(ノババックス)はmRNAワクチンに比べ、全身症状の副反応の程度は軽度にとどまり、それは3回目接種でも当てはまると概ね言えそうです。

ノババックスワクチンの追加免疫の海外第Ⅱ相試験(2019nCoV-101 試験)で、初回接種から6ヶ月での追加接種後の有意な中和抗体価の上昇が確認されたとともに、副反応データが報告されています。それによると、3回目接種後、接種部位の疼痛などの局所性副反応は82.5%に認め、全身性副反応は全体で76.5%、内訳は疲労(63.3%)、筋肉痛(51.0%)、倦怠感(46.9%)、頭痛(45.9%)、関節痛(28.6%)、発熱(17.3%)、悪心・嘔吐(13.3%)でした。
いずれの副反応もノババックスワクチン2回目接種時に比べ高頻度で、日常生活に支障を来すGrade 3以上の全身症状を15.3%に認めていますが、Grade 3以上の発熱は1名のみでした。また、1回目接種1年後までの試験期間中に死亡や試験参加の中止に至った副反応はありませんでした。

比較のためのmRNAワクチンの3回目接種後の副反応の程度については、厚生労働省の“新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)にかかわる免疫持続性および安全性調査(コホート調査)”の中間報告(2022年6月17日まで)が参考になります。
初回免疫 ファイザー(P)、モデルナ(M)、追加接種 P、Mで、4通りの接種形態(P→P、P→M、M→P、M→M)での追加接種後副反応の頻度が報告されています。
いずれの接種形態でも、接種部位の疼痛(85.2-94.3%)、倦怠感(63.8-79.7%)、頭痛(53.0-68.4%)を高頻度に認めます。発熱は、Mを追加接種した群で生じやすく、P→P 39.9%(38℃以上 21.3%)、M→P 38.0%(38℃以上19.1%)、P→M 66.7%(38℃以上 47.7%)、M→M 50.7%(38℃以上 31.9%)でした。
副反応のために病休した人の割合は、8.7-36.6%でした。
先述のノババックス臨床試験とは被接種者の背景が異なるため直接比較はできませんが、やはり追加接種でも武田社ワクチン(ノババックス)は発熱の頻度が低く、その程度も軽いと言えるかと思います。
一方、関節痛の頻度は、mRNAワクチンの調査では5.7-12.6%であり、武田社ワクチン(ノババックス)のほうが生じやすいのかもしれません。

新型コロナ感染は第7波に入り、感染者数は第6波以上の急速な拡大が見られています。当クリニックへも今までにないほど多数の発熱者や感冒症状のある方が受診され、その多くが新型コロナ陽性となっています。
2回目接種時の副反応がつらく、同じような経験はしたくないと追加接種を見送っていた方々の中に、新型コロナウイルスに対しての積極的防御策として、今まさに3回目のワクチン接種を考えたいという方が少なからずいらっしゃると思います。

武田社ワクチン(ノババックス)は、オミクロン株に対する有効性に関する十分なデータがまだなく、特に置き換わりが進むBA.5株への効果は不明ではありますが、18歳以上の学生や子育て・働き盛りの世代の方の追加接種の選択肢の1つとなり得るのではないでしょうか。

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