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「あたらしい医療のカタチ」のために 〜弘前大学医学部皮膚科学講座と共同事業提携を締結〜

5月25日に医療法人メディカルビットバレーと弘前大学医学部皮膚科学講座との間で皮膚科領域における臨床研究について共同事業提携を締結しました。


医療法人メディカルビットバレー
理事長  澁谷 裕之

当クリニックの皮膚科がやってくれました。

澤村大輔教授が率いる弘前大学医学部皮膚科学講座と「先天性・遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断」の臨床研究を共同事業にしました。
皮膚科は今春4月に始まったばかりです。そのスピード感に驚くしかありません。
僕が皮膚科のリーダー苅谷直之先生をMBVに誘ったのは、2年前の春です。
当初想定していた皮膚科は内科、小児科をつなぐ潤滑油としての役割を担う診療科でした。
皮膚は大人でも小児でも共通し、また内臓を映し出す鏡と言われています。
普遍性と神秘性が強い世界です。
この世界観は潤滑油として最適です。
苅谷先生は瞬時に全体像を理解し、横浜から長岡に来てくれました。そこに、新潟大学時代からの師弟愛あふれる藤本篤先生が登場します。
まったくタイプの違う二人が同じ目的に向かってお互いを補完しあう関係は最高です。
まさにシナジーを生み出す構造です。

潤滑油として始まった小さな皮膚科がどこまで広がることが出来るのか。どんな大河も一滴からしか始まりません。夢は膨らみ続けます。

最後に私ごとですが、弘前大学は母校であり、弘前は大好きなまちです。
いつか、長岡花火、弘前ねぷたを連続で体験する熱すぎる真夏を過ごしてみたいです。

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弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座
教授  澤村 大輔 様

皆様初めまして、弘前大学皮膚科の澤村です。
本学部の卒業生でもある澁谷裕之先生が、昨年10月、故郷の長岡市でエールホームクリニックをオープンし、本年4月からは小児科、皮膚科を含めた7科で診療をされているということで、大変すばらしいことと思います。
今後は長岡の地域医療に果たす大きな役割を、エールホームクリニックが中心となって担っていくのではないでしょうか。

さて、この度は弘前大学皮膚科とエールホームクリニックの母体であるメディカルビットバレーとの間で、皮膚疾患の遺伝子診断に関して診療提携を結ぶことと相成りました。
弘前大学皮膚科では、表皮水疱症や遺伝性ポルフィリン症を中心とした遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断を数多く行ってまいりました。
遺伝子診断は病気の診断を正確に決めることだけではなく、その病気が次の世代にどのように伝わっていくのかを、適切に説明するためにも必須の診断法です。ところが、日本ではこの遺伝子診断を専門的に行っている施設が未だに少なく、私どもの施設では遠くは九州沖縄からのご依頼も少なくありません。
こうした状況の中で、澁谷先生、さらに新潟大学皮膚科で遺伝性皮膚疾患の診断を担当されていた苅谷直之先生から診療提携のご提案をいただき、渡りに船の思いで賛同いたしました。
長岡市は東京と上越新幹線でダイレクトに往来できるという至便な位置にありますので、広く関東方面からも遺伝性皮膚疾患ついてお悩みの患者さまがエールホームクリニックを訪れるのではないでしょうか。
現在のところ、大多数の遺伝性皮膚疾患については有効な治療法がありません。しかし、近年、一部の疾患については根本的な治療に近いものが開発されています。ただし、その治療を受けるためには、どの遺伝子に変化が起きているかを正確に知る必要があります。そのためには遺伝子診断が絶対的に必要になるのです。

私は、この度のメディカルビットバレーと結んだ診療提携が、長岡市を中心とした新潟県、ひいては日本における遺伝性皮膚疾患の診療環境充実に向かっての、力強い第一歩となることを疑いません。

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皮膚科医師  苅谷 直之

医療法人メディカルビットバレー(MBV)は、令和3年5月25日に国立大学法人弘前大学医学部皮膚科学講座と「先天性・遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断」の臨床研究について共同事業の提携を締結いたしました。
締結合意書には、弘前大学皮膚科学講座の澤村大輔教授と当法人理事長である澁谷裕之が互いに署名を交わしました。

先天性・遺伝性皮膚疾患にはさまざまなものがあり、代表的なものに表皮水疱症、遺伝性掌蹠角化症といったものがあげられます。現在では、原因となる遺伝子が特定されているものも多くあります。疾患自体は比較的まれですが、その多くは患者さまのみならず、ご家族のQOLやADLを低下させてしまいます。原因遺伝子の検索と特定を行うことは、患者さまの予後や治療介入の方策についてカウンセリングをすることが可能になるだけでなく、将来的な治療法の開発につながり得ます。
弘前大学皮膚科学講座の中野創准教授の研究チームは、このような疾患に対する臨床研究の世界的なトップランナーです。

MBVは、複数の皮膚科専門医が在籍する医療機関として、弘前大学の上記臨床研究の趣旨に賛同いたしました。
研究機関の中心である大学と日常診療の最前線であるクリニックの両者が連携することにより、当クリニックが新潟県や隣県の患者さまの窓口になるだけでなく、皮膚科学の発展に寄与することができるものと考えました。
そしてこのたび、弘前大学の共同研究者となることを了承いただきました。

今回の弘前大学とMBVの共同事業提携は、新しい医療の形を作っていくためのスタートになると考えます。
県をまたいで、大学とクリニックがフラットな関係で情報共有と連携をとりながら医療を行うことにより、医療の質を高めていくことができるだけでなく、これまでになかった価値観を生み出す可能性もあると思います。

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皮膚科医師  藤本 篤

われわれのクリニックは、弘前大学の協力のもと新潟県中越地区における遺伝性皮膚疾患の遺伝子解析の窓口の役割を果たしたいと考えています。
”遺伝性疾患” というと、”難しい病気” 、 ”自分には関係ない病気” という印象を受けると方が多い思います。本事業の開始に先立って病気と遺伝の関係、そして遺伝性疾患について少し説明を加えさせていただきたいと思います。

病気と遺伝の関係は思ったよりも身近なものです。ほとんどの慢性疾患には遺伝的な要因、つまり ”体質” が大きく関わっています。遺伝性疾患に関わらず慢性的な病気の多くは、遺伝的な要因である ”体質” に環境的な要因が重なることで発症します。例えば、高血圧や糖尿病は発症しやすい体質に生活習慣などの要因が重なって発症しますし、ほかの多くの慢性的な病気についても同じようなメカニズムで発症します。

ただし、慢性疾患の中には環境的な原因に関係なくほぼ ”体質” だけで発症してしまう病気があります。これがいわゆる ”遺伝性疾患” です。そして多くの遺伝性疾患では一つの遺伝子(=からだの部品の設計図)に原因があることが多く、これを ”原因遺伝子” とよんでいます。

遺伝性疾患の原因、つまり原因遺伝子をくわしく調べる手段が ”遺伝子診断” です。患者さんに受けていただくのは診察と採血検査ですが、ここではその後の流れを説明しておきます。
医療機関・検査機関では、採血で得た血液中のリンパ球(白血球の一種)から遺伝子の情報を含む物質であるDNAを取り出す処理を行います。そして得られたDNAを用いて病気の原因遺伝子部分を調べ、病気を起こすような異常な変化(=病的変異)がないかを確認します。

一方、症状から病名を推定することを臨床診断といいます。実は、遺伝性疾患の診断において遺伝子診断以上に重要なのが臨床診断です。すべての遺伝子を一気に調べてしまう方法もあるのですが、効率がいいとは言えません。というのも遺伝性疾患の種類は非常に多く、知られているものだけで約2000種類以上あります。このためやみくもに血液検査をすればすべてが分かるわけではなく、遺伝子検査の前に正しく臨床診断をおこない診断の目星をつけておくことが重要です。これが遺伝性疾患の種類によって診療や解析を得意とする医療機関・検査機関がある理由です。

適切な臨床診断をもとに遺伝子検査を行なったにもかかわらず、残念ながら診断がつかないこともあります。現時点ですべての遺伝性疾患の原因が明らかになっているわけではなく、原因となる遺伝子が十分に解明されていない疾患もたくさんあるためです。このような疾患については、弘前大学をはじめとした世界中の研究機関で日々研究が進められています。

当院では、まずは限られた遺伝性皮膚疾患を対象に弘前大学皮膚科と連携をおこなうことになります。われわれも澤村教授、中野准教授ご指導の下、日々研鑽につとめ、ゆくゆくは新潟県における遺伝性皮膚疾患の窓口の役割を果たせるよう精進してまいりたいと思います。

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小児科医師  鈴木 竜太郎

この度、弘前大学と当院の皮膚科が共同事業の提携を締結しました。
いわずもがな、大学と医院の役割は異なります。
大学は高次医療機関であると同時に研究機関です。
特に弘前大学皮膚科は希少疾患の遺伝子解析をはじめ、日本でも有数の研究機関とされています。一方で我々は生活に溶け込んだ医療の提供を目指す一医院です。
複数の医師、スタッフ、検査設備を駆使して一次医療と高次医療をつなぐ、新しい医療の形を提供できるように努力しています。
医療においては最先端というより最前線にあたります。

最先端の大学と最前線のクリニックが協定を結ぶことは前例がありません。
しかし、最前線から最先端までスムーズにつながることは極めて大切なことです。
今回の共同事業提携は、県をまたいで一次医療 ~ 高次医療・研究機関までのシームレスな連携が可能となったことを象徴する一大イベントです。
小児科にも稀ではありますが先天性の皮膚疾患が知られています。
当院の皮膚科を窓口として遺伝子解析による診断が可能になれば、長岡市の子ども達の安心にもつながると思います。
令和3年5月25日は我々にとって記念すべき日となりました。

「前例なきをやる」の精神で新しい医療の形をつくっていきたいと思います。

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内科医師  伊藤 朋之

私は内科医ですので、先天性・遺伝性皮膚疾患についての知識を持ち合わせておりませんでした。
そこで、このたびの弘前大学との共同事業提携を機に、疾患について自分なりに調べてみました。すると、さまざまな難病があることを知りました。
遺伝子検査を行って、診断を行うことにより、治療に結びつく場合があること、将来何に気をつけて生活していけばよいか、あるいは、定期的な検査は必要か、などといったことを判断できることがわかりました。
一方で、希少疾患であるため、診断がつかずにお悩みの患者さまは意外に多くいるのではないかと感じました。

弘前大学とMBVの県をまたいだ共同事業提携により、長岡市を中心とした地域だけでなく、新潟県と隣県の患者さまに対して、より良質な医療を提供する機会が生みだされるものと確信しています。
一臨床医として、非常に喜ばしく思います。
そして将来的にトランスレーショナルリサーチに深化し、新たな治療法につながることを願っています。

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内科医師  田村 真麻

この度、弘前大学皮膚科学講座と先天性・遺伝性皮膚疾患の研究にて連携していくこととなりました。皮膚疾患の遺伝子診断に関して、当クリニックが新潟での窓口となるということです。
一クリニックが地域の離れた大学と共同研究・業務提携を行えることを、内科医としても光栄に感じます。

今回の業務提携で最も感じたのは、“人と人とのつながり”です。
弘前大学の中野准教授とMBV代表の澁谷との“つながり”がきっかけとなり実現されました。
まずは“出会い”があり、“つながり”となり、新たなことが生み出されていく。当クリニックも“つながり”で集まったスタッフからどんどんと輪が広がり、新しいことにチャレンジし続けています。
最近は何事においてもWEB面談ばかりで本物の“出会い”や“つながり”が薄れているため、この“出会い”と“つながり”の連続が、より一層かけがえのない経験に感じます。

今後も縁あってつながった関わりを大切に仕事していきたいと思います。

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