ピック&ロール・ドリル⓪ ボールスクリーンの基礎
こんにちは、現代バスケットボール戦術研究(MBTR) @MBTResearch です。
これまで、、ピック&ロールの基本的なパターンを網羅したドリルをテーマ毎に4編に分けて紹介してきました(その①、その②、その③、その④)。
今回、そのドリルに取り組む前に本来習得しておくべきボールスクリーンの基礎についてまとめておくことにします。
[※その他のドリルについては「バスケットボール・ドリルまとめ」で紹介]
[※拙note「シューターのためのムーブメント&セット」も是非ご一読を]
1. ボールスクリーンの目的と狙うプレー
まずそもそも、ボールスクリーンとは一体何のために行われるプレーなのでしょうか?
様々な答えがあると思いますが、私個人の考えとしては、1on1を有利にする(1on1にアドバンテージを発生させる)というのを根幹的目的に据えています。
例えば、下図をご覧ください。
これは基本的なシングルサイド・バンプ・アクションの構図ですが(詳しくはその④をどうぞ)、初学者にとって、いきなりこの図をこの図のまま理解するのは難しい、ないしほとんど不可能かと思われます。
ですので、一つ一つ分解して考えていくことにしましょう。
まず、ボールハンドラーとハンドラーDFを抜き出して考えてみましょう。
このシーンではハンドラーDFはアンダーを選択していますが、スクリナーを外して見てみるとわかりやすいように、DFがわざわざ迂回して追いかけてきているのと同じことですから、その分だけハンドラーに優位(アドバンテージ)が出来ていることがわかります。(アンダーに対するより詳しいアタッキングについてはその①をどうぞ)
こうして発生したハンドラーの優位に対し、スクリナーDFがカバーに出れば、上図の通り、スクリナーのロールが当然オープンになります。
これは1on1の優位が波及し、スクリナーvsスクリナーDFの優位へと移行したと考えることができます。
さらに、スクリナーのロールをコーナーDFがタグ(ケアのこと)すれば、今度はコーナーがオープンになります。
ハンドラーの優位 → スクリナーの優位 → コーナー(オフボール)の優位 と移り変わったわけです。
これに対し、タグ・スイッチというスイッチDFコンセプトがあります。(詳しくは発展的スイッチDFシステム紹介をどうぞ)
ハンドラーDFがハンドラーを諦めてコーナーへとスイッチしていくパターンで、これにより、ハンドラー、スクリナー、コーナー、どこのプレーヤーもオープンにはならない構造になっています。
これで万事休すか……と一見見えますが、実はそうではありません。
上図の通り、アウトサイドにはスピード・ミスマッチ、インサイドにはサイズ・ミスマッチが発生しており、ミスマッチという形の別種のアドバンテージが発生する形になっています。
いささか陳腐なポンチ絵になりますが、上の概念図の通り、1on1の優位がまず第一にあって、スクリナーやオフボールに波及し、場合によっては先程のタグ・スイッチの場面のように、1on1の優位に再び帰結するようなことが起きることになります。
どんなに複雑なボールスクリーンのコンセプトでも、「いかに1on1の優位を作り、それを利用するか」という根幹を見失わなければ、最終的に咀嚼し理解していくことが可能となるでしょう。
2. 悪いスクリーン、良いスクリーン
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