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グダグダなオフェンスへの処方箋

こんにちは、現代バスケットボール戦術研究(MBTR) @MBTResearch です。(ブログ / togetter/YouTube
[ ※これまでの記事はマガジンから→「現代バスケ戦術研究ノート」、「プレイブック・マガジン」 「バスケットボール・ドリルまとめ」 ]

前回は、DFにおける「相手を止められない」問題について検討しました。

それに関連/派生して今回は現代バスケ戦術研究ノート 第5回として、表題の通り、グダグダなオフェンスの問題について検討していきます。

いざ試合が始まると、一体何がしたいのが、選手本人も周りのチームメンバーも外のコーチも分からない、流れに身を任せるまま虚無の時間が経過する、それを克服しようとしてセットオフェンスでガチガチにすると狙いがズレたときに何も出来なくなる……こういった失敗経験はコーチ/選手の皆様のなかでは、『あるある』なのではないでしょうか。

今回はこの『あるある』への対策を論じていこうと思います。

①もちろんセットオフェンスは大事なのですが…

最初に留保したいのはこの点です。

もちろん、様々なギミックを伴った精巧なセットオフェンスに習熟することを否定しているわけではありません。

特に戦術的知識の発達段階として、あえて複雑なアクションを色々と経験するという意味でセットオフェンスにtryすることは状況によっては理に適うこともあります。

とはいえ、オフェンスを展開するにあたっての原理原則が共有されていなければ、セットも形をなぞるだけで終わって効果を発揮しきれないですし、狙い通りに行かなかったときに全くリカバリーが効かないということが起きます。

詳細な議論は次章以降に譲りますが、セットオフェンスを運用するとしても、「どのアクションがキーになって、どの場所/プレーヤーにセパレーションが出来るのか」、「相手がそこをSwitchやRotationで対応してきた場合、どのポイントに、どのようなミスマッチが出来るのか」について、(少なくとも指導者は)知悉しておく必要があるということは言えるでしょう。


②セパレーションとミスマッチ

あくまで便宜上の区分ですが、オフェンスvsディフェンスの局面で生まれるアドバンテージを、上記二つに分類します。

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バスケットボール戦術についての研究ノートを掲載。 月1-3回程度更新。

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