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宇宙産業と兵器工業との関係

宇宙産業は、関係者の認識に従えば、防衛産業(あるいは兵器産業)と密接に関連しているようだ。


1. AWSジャパンと北九州市の連携協定

北九州市がAWSジャパンと連携協定を結んだ。その中に「宇宙産業の推進に関すること」という項目が含まれている。

北九州市とAWSジャパンとの連携ということだが、AWSジャパンの方は、下の図では、ギブばかりのようだ。市の方は、知見やネットワークを活用させてもらったり、支援・アドバイスを受けたり、ということになっている。

この連携は市長の「トップセールス」ということなのだが、市は何をAWSジャパンに売っているのだろうか。アマゾンのクラウドサービスを行政サービスにおいて全面的に利用せざるを得なくなるような状態をつくりだす結果になるのではないか——ベンダーロックイン

AWSジャパンと北九州市が連携協定を締結


2. 経産省産業サイバーセキュリティ研究会の資料

宇宙産業と宇宙安全保障の連携の動向について2021.1.14
経産省 産業サイバーセキュリティ研究会WG1宇宙産業SWG)

発表者の片岡 晴彦氏は、株式会社 IHI顧問(元航空幕僚長) 、 内閣府 宇宙政策委員会 宇宙安全保障部会 部会長代理 基本政策部会委員、JAXA分科会委員、日本宇宙安全保障研究所(JISS)副理事長。

この資料は経済産業省のウェブサイトに置かれているものである。

「民生、防衛分野ともに、宇宙への依存を急速に拡大」というページに、以下のように、「宇宙を中核とした強靱な作戦ネットワークを構築して、作戦を遂行」と書いてある。よく見ると、人道支援から、通常型戦争、核戦争まで想定されている。

「宇宙への依存が急速に拡大」(している)という表現ではなく、「宇宙への依存を急速に拡大」(させる)という表現となっていることはなぜなのだろうか。「宇宙システムの脆弱性」についての指摘とつじつまが合わない。

頑強性という観点からも、宇宙(システム)に過度に依存しない社会システムを構築するという方向性などはありえないのであろうか。(従来のマイクロウェーブ回線とか、光ファイバーケーブルのバックボーンとかのように。)


3. 武内和久氏の「宇宙ビジネスの未来」

武内和久氏は、以下のように書いている。「時代の波」に乗れないと大変なことになるという脅しのようにも聞こえる。IR誘致のときも、同じようなレトリックが使われたように思う。

「宇宙」産業は、日本のものづくり、地場経済を支える可能性を秘めているだけでなく、日本という国自体の国防上の重要性[防衛産業ということになると軍事機密保護等の理由で、地元の小学生や市民の工場見学などは拒否だろうか:引用者]も秘めています。必ず必要となる産業です。
時代の波[太字は引用者]を先読みできるか、そこに乗れるか、そこが勝負ですね。

「宇宙ビジネスの未来」(たけうち和久氏)

4. 北九州市アドバイザー意見交換会での朝比奈一郎氏の提言

武内市長がアドバイザーとして指名した、経産省出身の朝比奈一郎という人は、「国防」とか「動的防衛じゃないですけど」と言って、港湾や空港の重要性を指摘し、海上自衛隊等や「防衛産業」の北九州市への誘致を提案している()。この防衛産業とは、「兵器工業」の類義語であろう。
(北九州市アドバイザー意見交換会 https://youtu.be/6Yf--PKg2P0  )

北九州市アドバイザー意見交換会
北九州市アドバイザー意見交換会


5. 武内和久氏と安倍晋三氏などとの関係


スクリーンショットより

以下の記事(ツイート)によれば、武内和久氏は安倍晋三氏を「国父。世界の永遠の存在」と賞賛したということだ。どう考えても「国父」という表現は使われるべきではないし、「世界の永遠の存在」というのも、個人崇拝(cult of personality)や神格化の雰囲気がある——安倍晋三氏だけをそのようにいうのならば。

日本国憲法ないがしろにしてきた安倍晋三氏に心酔していたことがわかる。憲法の規定およびその精神を忠実に守る義務を負う公職者にふさわしくない発言だと私は考える。

なお、「ちよこ」氏によれば、武内和久氏のfacebookでのこの投稿は現在は削除されている。安倍晋三氏と旧統一教会との関係を多くの人が問題視するようになったことをみて、考えを変えたのだろうか。それとも、単に、公開しておくのは都合が悪いと考えたのだろうか。

安倍晋三氏を称える気持ちは、一貫していたようだ。「安倍総理辞任の報に接して」というタイトルのコメントで、「やると決めたことは、結果を出すまでやる」政権であったと評価している。しかし、見方を変えれば、官僚に「忖度」を要求し、国民や野党からの正当な批判を無視し、金融政策等の失敗を認める勇気のない政権であったのではないか。

NHKの報道(安倍首相 正式に辞意表明「負託に自信を持って応えられない」2020年8月28日)について以下のようにコメントしている。「それでも」という言葉が文章の論理性を破壊している。

武内和久氏のfacebookより


6. 北九州市長が乗ろうとする「時代の波」とは?

清水潔氏は上記のNHKニュースについて、以下のようにツイートしている。武内市長は、「新型ミサイルの共同開発」を「時代の波」とみなして、防衛産業(兵器工業)の誘致等の方向に北九州市民を引っ張っていこうとするのだろうか。

成長への再起動」(北九州市政だより、令和5年8月1日号)というのは、要するに、「人口百万都市の復活」と「企業誘致」(兵器工業を含む)というキャッチフレーズの言い換えなのであろう。

国民の意見は無視。なんでも勝手に閣議決定してきた政権だが、ついにアメリカで重大事案を決め始めた。敵国へ直接攻撃できる兵器の開発?憲法無視もここまでやるのか。

清水潔氏のツイートより


7. ミソシラーの武内和久市長


武内和久氏は、ロバート・エルドリッジ氏の知見を広めたいと書いている。以下は「oniソプター」氏の引用より。

エルドリッチ博士による講演。元米国海兵隊の外交部で肌で経験され、日本で博士まで取ってこられた知見。
すべての国民、特に若い人にももっと聞いてもらいたい。メディアにも。

中国による尖閣・台湾への侵路は「時間の問題」。いずれかが支配されれば、「ドミノ」のように、沖縄、九州、日本へと波及し、日本の経済も社会も破綻に向かう。[太字は私]

出所

エルドリッジ氏が日本の政治状況のなかで「極右」に位置づけられるかどうかは私にはわからない——「自称右」のようだが実際のところ何を守ろうとしているのかわからない人物もときどき目にするので。しかし、軍事力や「米国の利益」を重視した立場なのであろうことは、推測できる。


以下は、「ミソシラー」で北九州市長の武内和久氏のおいしい朝。

「9月は議会月間でもあり内部協議の嵐ですが、政策の仕込み進めます」とtweetしたときがあったが、「仕込み」というのはどういう意味か。「商店、飲食店などで、商品や材料などをあらかじめ買い入れたり手を加えととのえたりして、すぐ売りに出せるように準備すること」(精選版 日本国語大辞典)という解釈でいいのだろうか。

武内市長がこっそり「買い入れているもの」が何であるかで、北九州市の「ミライ」が変わってしまうおそれがある。

海上自衛隊基地の誘致と兵器産業の集積、ロケット打ち上げ基地の建設とか。

さらに、「軍都 北九州」に「大本営」設置とか。

「ミライに戻って」見てきたわけではないが、「何でも受け入れる味噌汁」的な政策が心配だ。


[注]

(59:22) 市長がバックアップってことをおっしゃっ てたんであれですけどこれちょっとまだ 妄想ですけど行革とかそういう感覚が 考えるとなかなか今人気のいて結構難しい とこあるんですけど国防っての一つあるか もなとこれからあの動的防衛じゃないです けど 陸中心からだんだん海とか空になってき ますからそういう時に非常にこう公安[港湾]とか 空港があってで開示[海自]とか介護[海保?]とかそういっ たものと防衛産業ってことを絡めて[太字は引用者]なんか 移転していくみたいなもしかしたら切り口 としてあるかもしれないで

YouTubeのビデオからの自動書き起こし

以下のものは、発言者による編集がなされたものであろうか? 「防衛産業とからめて」というところが、なぜか削除されている。

首都機能のバックアップについて、これから国防は陸から海中心になってくるの で、更に言えば、宇宙やサイバー空間にもなるので、その辺に着目してはどうか。 特にインフラとして港湾・空港があるので、海自や海保など、そういった機能を首 都機能移転として引っ張って来るのは一つの方向性かもしれない。

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001044826.pdf
「港湾とか 空港があってで海自とか海保とかそういっ たものと防衛産業ってことを絡めて…」
北九州市アドバイザー意見交換会での朝比奈一郎氏の発言

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