身体は自分で守ってる?・・・免疫(免疫力)って何?

 風邪薬はこの世にありません。

これを聞いて皆さんどう思いますか?

『そんなことないよ!!風邪をひいて病院に行けば風邪薬が出るよ?』と言われるかもしれません。私もそのような経験があります。
ですが実際に処方されている薬は風邪による症状に対して効果を出し、症状を和らげているものになります。

『え?じゃあ風邪そのものはどうやって治っているの?』

その答えは生物に備わっているシステム、すなわち

免疫機能

が身体に侵入した細菌・ウイルスをやっつけています。

画像1

出典:6種複合免疫療法
https://gan911.com/column/1125/

『免疫って聞いたことがあるけど、よく分からない』
『〇〇を食べたら免疫力UPってテレビで見たことがあるけどどういうことなか分からない』
などの言葉を受講生からもお聞きします。

生物が健康な状態で生きていくためには外敵の侵入により個体破壊されたり、外敵が寄生しつづけないように、自己の細胞と自分のものでない(非自己)の細胞を見分ける必要がでてきます。この見分ける仕組みが「免疫」です。
(日本がん免疫学会:https://jaci.jp/patient/immune-cell/immune-cell-01/)

実体的な言葉で、感染、病気、あるいは望まれない侵入生物を回避するために十分な生物的防御力を持っている状態を指す。
(Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/免疫_(医学))

つまり免疫とは自己と非自己を見極め、非自己から自己を守り健康な状態を維持するシステムのことを免疫と呼んでいます。

免疫システムってどういうものがあるの?

自然免疫と適応免疫の2種類、そして体液性免疫と細胞性免疫の2種類があります。

まずは前者の2種類がどういうシステムかを説明します。

自然免疫とは細菌・ウイルス(以下侵入者)が身体に侵入した際にいち早く反応して排除しようとする防衛機構のことを言います。活躍する細胞はマクロファージ(単球)や好中球、NK細胞などです。
適応免疫とは自然免疫で排除しきれなかった細菌・ウイルスを排除する防衛機能のことを言います。活躍する細胞はリンパ球−T細胞・B細胞です。

つまり侵入者に対する第一防衛ラインが自然免疫であり、一部突破された侵入者に対する第二防衛ラインが適応免疫ということです。

画像2

出典:MBL 
   https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/immune-cells.html

マクロファージ(自然免疫)が侵入者を排除しているときに得た情報をリンパ球(適応免疫)に伝えます(抗原提示)。その際にサイトカインという物質を作り出しT細胞を元気づけ(活性化を促し)、このT細胞が自然免疫で働く細胞に侵入者の場所を教えたり、活性化するサイトカインを作ります。
このように2つの免疫機能は相互作用で侵入者を排除しようと働いています。

画像3

出典:乳酸菌B240研究所 
   https://www.otsuka.co.jp/b240/mechanism/mechanism3.html

後者の体液性免疫と細胞性免疫の2種類は排除しようとする侵入者の種類による分類になります。

体液性免疫は非自己に対して働くため侵入者自体を排除します。
細胞性免疫は侵入者に影響を受けた自己細胞(変異するため非自己と認識)を排除します。
体液性免疫の働きが高くなれば、内部免疫の働きが低くなる。
内部免疫が高くなれば外部免疫が低くなる。
このバランスが大切で偏りができるとアレルギー症状(外部が高い)、ウイルス感染(内部が高い)が起こりやすくなります。


慢性的なストレッサー(ストレス反応)は免疫に影響する?

心や身体にかかる外部の刺激(ストレッサー)に晒されるとそれに適応しようと私たちの心や身体が様々な反応(ストレス反応)を起こします。

一時的なストレッサーによるストレス反応はしっかりと処理されますが、慢性的なストレッサーが起こるとそのことに対してネガティブな思考と感情が湧き上がります。そうすると大脳辺縁系の扁桃核による不快反応が生じ、本能的反応で逃避・攻撃行動をとるように身体システムを変えます。

この流れに関わるところをHPA軸(視床下部−下垂体−副腎系)といい、結果免疫抑制が起ってきます。

画像4

出典:湘南国際アカデミー
https://si-academy.jp/2017/12/07/介護職のストレスケア/

 ロチェスター大学のロバート・エイダー博士の実験をご存知でしょうか?
甘いもの好きのラットにサッカリン水を与えた直後にサイクロフォスファマイドという吐き気を催す薬を注射し吐き気が起こることでサッカリン水を嫌いになるのかという実験です。
結果どうなったかというとサッカリン水が嫌いになり、飲むと注射せずとも吐き気も催しました。継続してサッカリン水を与えていくとラットは感染症のような状態で亡くなりました。
実はサイクロフォスファマイドは免疫抑制剤であったのです。ラットには最初は注射をしましたが、ずっと打っていたわけではありません。そのためサッカリン水を飲むと吐き気だけでなく免疫を抑制するところまで条件付けされたということです。

精神的なものと免疫の間に繋がりができたと考えられ、実際に薬も使っていたことで明確に作用が再現されたのでしょう。

終わりに

免疫は身体を守るために大切です。そしてそこには神経系・内分泌系も絡んで相互的な作用で身体を守ってくれています。さらに事象に対する認知(心の持ち方)も影響を与えており心の状態が身体へ、身体の状態が心へ変化を起こします。そのため免疫力をUPさせるには食事や運動だけではなく、心のケアも必要になります。
自身を守っている免疫システムを心身を整えて支えていきましょう!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?