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オミクロン波のシミュレーション

今年も残すところわずかになりコロナの騒動が始まって3年になろうとしています。たかが風邪に世界中がまきこまれた気違いじみた狂騒曲でしたが、さすがに民衆はアタマにきてマスクをかなぐり捨て、ワールドカップに狂乱し、普段の生活を楽しむようになってきました。
 
それでも相変わらずメディアは毎日のようにコロナの感染者と死亡者の数を民衆につきつけてワクチン接種と自粛を押し付けてきます。さらに今年はインフルエンザが増えると恐怖を煽り、政府はコロナだけではなくインフルエンザも、ついでに子宮頚がんのワクチンも射つように指導しています。
 
いくら日本が素直で脳天気な国だからといっても、さすがに多くの国民が政府の悪意に気づいて政府の支持率は下降線をたどっている昨今です。
 
オミクロン波は昨年末に始まった感染波で、武漢型のスパイク蛋白質に基づいて作ったワクチンに対する耐性株です。当初の予想を超えてどの変異株にも増して感染者が拡大してしまいました。今年に入ってからのコロナはほとんど全てがオミクロンの変異株で次々に新たな変異株が現れています$${^{1)}}$$ (図1A)。

今年の春先にSIRモデルで予想した感染波を合成することで日本人の感染者数と死者数の変化をシミュレーションしてみました$${^{2)}}$$。このシミュレーションではオミクロン波は二つの合成波でデルタ株等に比べると遥かに大きな$${S_0}$$を持ちますが、致死率は格段に低くなりインフルエンザ並みになっていることを示しました 。
 
今回はその後のオミクロン波の動きを同じ手法でシミュレーションをしてみました。
 
厚労省の2022/11/22までのデータ$${^{3)}}$$ を元にSIRモデルの合成波でシミュレーションを行うと$${^{4-6)}}$$ 、日本でCOVID-19の感染が次第に明らかになってきた2020/2/4から16個の独立な感染波で感染者と死亡者の増減をフィッティングできました (図1B,C、表1)。

コロナの感染は世間的にはギリシャ数字で表現した8つの感染波がきているとされています。シミュレーションの第10波が昨年の夏から晩年に流行した第V波で大半はデルタ変異株です。これがほぼ終息した去年の暮れから発生したのがオミクロン株です。
 
オミクロン株はこれまでのもの比較してめまぐるしく変異株が出現しています(図1A)。これに伴って第VI波の合成波はこれまでのものと異なり肩がでたり、頂点が二つになったりと不規則な形となりますが(図1E)、これをなんとかフィッティングすると第11-14波の4波に分解できました(図1D, 2E)。
 
この第VI波は連休前に終息に向かいますが、選挙が終わると再び次の第VII波が現れます。変異株もここできれいにBA1からBA5に置き換わります(図1A)。選挙前にコロナ感染の拡大を防ぐために厳しくしていた規制を、選挙が終わり規制を緩和して外国人を流入させたためでしょう。
 
第VII波はきれいな山になっているように見えますが実際にはこの時期の感染波のシミュレーションはこれまでに比べるとあまりうまくいきませんでした。変異株の出現がめまぐるしく感染波の分離が難しいことと、外国人感染者の流入が増えて単一の$${I_0}$$では対応できなくなったためでしょう。
 
そこで第15波では外国人感染者の新たな流入を感染者の微分方程式$${dI/dt=kSI-dR}$$$${^{4)}}$$ に定数$${a}$$としてモデルに組み入れました。
 
$${dI/dt=kSI-dR+a}$$
 
定数$${a}$$は1,800人/dayでうまくフィッティングできました。毎日このぐらいの新たな感染者が国内に流入していることが伺われます。
 
このようにして感染者のフィッティングを行うと今度は死亡者の方がうまくフッティングできません。夏過ぎの死亡者が実測値よりも多めに出てしまうのです。そこで当初0.16%でフィッティングしていた致死率を8/26以後は0.12%に落とすことでなんとかフィッティングできるようになりました。
 
アルファ株や武漢株は致死率が1%を越えますが、デルタ株やオミクロン株は致死率が1/10に落ちています。また感染力の指標となる感受性者の微分方程式$${dS/dt=kSI}$$の比例定数$${k}$$$${^{4)}}$$ もデルタ株で1/260、BA1で1/1,000、BA5で1/5,000にまで低下しています(表1)。
 
しかし、基本再生産数$${Q_0}$$はデルタ株の2.16に比してBA1株ではほぼ同等、BA5でもやや低下している程度です。$${Q_0=kS_0T }$$($${T}$$は感染日数)ですから$${Q_0}$$も感染規模の大きさという社会的要因に比例します$${^{5)}}$$ 。また$${k}$$も1日の接触人数という社会的要因にも左右されますから$${^{4)}}$$必ずしもウィルスの生物学的特性を反映するものではありません 。さらにワクチン接種やHLA型のような各人の免疫学的特性もウィルスの感染力に影響を与えます。
 
ウィルスの生物学的特性を比較するにはこれらの社会的要因や個体特性の影響を排除する必要がありますが、これは疫学的解析ではなかなか困難です。そこで蛋白質そのものを使った生化学的実験や培養細胞やハムスターやヒトのACE-2を発現させたマウスを使った感染実験を行うわけですが、このような実験ではオミクロン株は感染力も毒性も低下していることが示されています$${^{7-10)}}$$ 。
 
これらの結果は変異が進むとウィルスの毒性が低くなる従来の知見と一致しますが、オミクロン株では変異の頻度が速くなっているのでその度に毒性と感染力の低下が進んでいると思われます。
 
10月に感染者が増大しはじめ、新たに第16波(第VIII波)が出てきているようです(図1BCE、図2DE)。まだデータが出そろっていないので確定的なことは言えませんが、感染波の規模も$${k}$$値も第VII波とほぼ同じ程度だと予想できます(表1)。外国からの一日の感染者の流入数$${a}$$は第15波に比べると若干低下し1,400人でフィッティングしています。世界的にコロナも終息に向かっていることを反映しているのでしょう。
 
致死率は倍程度に上がっており(表1)、変異が進んで毒性が上がったように見えます。しかし、クラスター発生率の分布を見てみると今年の夏前は学校や職場などにいる健康な人が感染しているのに対して夏以後では病院や老人ホームなどの福祉施設といった脆弱な集団が感染していることが見て取れます$${^{11)}}$$ (図2A)。

実際、デルタ株や武漢株とオミクロン株の年齢分布を比較してみると、致死率は全体的に著しく低くなっているものの、オミクロン株では感染者は健康な若者に逆に死亡者は80歳以上の高齢者に偏っています$${^{12)}}$$。この傾向はBA1よりもBA5で顕著です(図3)。BA5でBA1に比べて致死率が上がっているのは感染集団の違いを反映していると考えられます。

この第VIII波は今月半ばでピークアウトし、以後は急速に低下し2月の初め頃にはピーク時の1/4に感染者が低下することが予想されます。
 
弱毒化し感染力も弱まりインフルエンザ以下の普通の風邪とみなされるようになれば、COVID-19はコロナ感染症の規制から除外されるべきで5類どころか規制対象から除外するべきだという意見もあります$${^{13)}}$$ 。
 
ワクチン接種による副反応の深刻さが徐々に明らかになってきており、新たなワクチン接種は控える傾向にあります$${^{14)}}$$(図2D)。ワクチンが新たな変異株の出現の引き金となっているのなら、ワクチンを射たなければ新たな感染波の発生も起こらず、コロナ狂騒曲も終息に近づくかも知れません。
 
1) 新型コロナウィルスゲノムサーベイランスによる系統別検出状況 (2022/11/22)
2) 第6波の減衰が緩慢な理由 MBI note (2022/3/25)
3) 新型コロナウィルスに関する報道発表資料
4) 普通の人のための感染症モデルMBI note (2021/12/28)
5) 小学校の算数で微分方程式を解く MBI note (2022/12/29)
6) デルタ波とオミクロン波 MBI note (2022/1/23)
7) Nature 603, 687 (2022)
8) Nature 603, 693 (2022)
9) Nature 603, 700 (2022)
10) Nature 603, 706 (2022)
11) bioRxiv 512134(2022)
12) データからわかるー新型コロナウイルス感染症情報ー (2022/11/22)
13) コロナに法律はいらない WontBeLong note (2022/9/19)
14) 新型コロナワクチンについて