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一流企業への再就職の道(非正規雇用から正規雇用へ)[Part2/2]

登用試験は、国語、数学、事業管理の3科目で構成されていました。

国語,数学は、ざっと見た感じ、特殊な問題はありませんでした。
しかし、事業管理の科目は....
マシン語,シ-ケンスプログラム,電子回路...etc
生まれて初めて見る記号や、ど~頑張っても今さら理解できそうにないシステム系分野....、これらの問題で8割を占めていました(残りの2割は、生産管理,原価,安全で何とかなりそうでしたが...)。

一瞬で判断できました。
"これは無理だ..."
(私の能力・知識では、解答付きの過去問の"解答"を見ても読んで理解できない状態なのです)

そして、決めました。
次の就職のてまえ、3年間は頑張ろう(この時点で、あと2年間)。
そして、習得可能な限りの技術ノウハウや資格を取得して、自分の価値を高めよう!

そう割り切ると、
周りの評価 や 自己に課していた"登用"というプレッシャ-からも解放された軽快なテンションのもと、限られた残り時間の中で、技術や資格の取得を目指し、猛烈に働き始めました。

そうこうしているうちに、三ヶ月が経ち、半年が過ぎ、登用試験の時期になりました。
少しだけ、時期は気にしていましたが、勉強は一切していませんでした(一応、上司に問われ、受験すると回答しましたが...)。
登用試験(筆記)は、休日に行われるので、少し悩んだのですが、受験だけはしました。

国語、数学は、まったく分からない問題はありませんでしたが、
"ただ、解答用紙を埋めただけ"というレベルでした。

事業管理の科目は、....チンプンカンプンで"30点あるだろうか..."という出来でした(この30点の大半も記号穴埋め問題頼みです)

「やっぱ、家で休んでいた方がよかった...」というのが正直な気持ちでした。

その後も、今後の自分の未来のために、バリバリ働きました。
そんな折、部長から呼び出しがかかりました。
(私の働く工場の部長さんは、600~1,000人の部下を抱える中小企業の社長さん以上の存在で、同じ工場敷地内におられるのですが、一般の従業員でも年に数回程度しか会う機会がないほど偉~い方だそうです。私も、1年間働いて1回しか顔を見ておりませんでした)

「何かの間違いでは?人違いでは?」と上長に確認しましたが、上長は、理由を把握しているようで(教えてくれませんでしたが)、
「間違いないので行ってきなさい」
との回答でした。

「何か失敗したかな?まさかクビ?!」
色々な想像が一瞬にして頭を占有しました。

しかし、そんなことより、解決しなければならない現実的な問題が...。
「すいません。部長ってどこにいらっしゃるのですか?」

なにせ、工場は広くて、大きくて、人も多くて....。
前述のとおり、"登用は無理"と自己判断してからこのかた、人事や社内政治にも全く興味がなくなり、まして、業務上、私のような者が、部長席に伺うこともあろうはずもなく....。

とりあえず、指定された時間に部長席に伺いました。

指定された時間の10分前に近くで待機、5分前に部長席付近で待っていました。が...

居ない...。
その間、色々思い当たる節があって、"どの件だろう..."と緊張とモヤモヤ感で胸焼け状態でした。

っと、そんな時、
「ごめんごめん、会議が長引いてしまって」と部長さん帰席。

"怒られるような雰囲気ではなさそうだなぁ"と少し安心したのもつかの間...。

「✖✖(私の名前)君、これは何だね?」と見覚えのない書類の提示を受けました。部長のお顔は、眉間にしわが寄り、お世辞にも穏やかとは言えない表情。

書類を手に取ってみてみると...

ギャ-!!!!!!!!と叫びたくなるような、まさに顔から火が出そうになる恥ずかしさ!
登用試験の結果でした。

国語65点,数学75点,事業管理28点(いずれも100点満点中)。

冷静に考えると、
"こんなことで、なぜ、わざわざ部長が私なんかを呼びつける必要がある?"
と疑問に思うのですが、この時は、「事業管理28点」の恥ずかしさに、気が動転し、それどころではありませんでした。

「申し訳ありませんでした!」
なぜ、誤ったのか良くわかりませんが、誤ったことは、ハッキリ憶えています。

「こういう試験も、仕事の一環だと思って、真面目に取り組みなさい!」
「人事部には、うまく話をつけておいたから、今後も仕事を頑張ってもらわないと困るよ!」

「はい、ありがとうございました!」
とお礼を言って、逃げるように、小走りで退所しました。

"あぁ~、恥ずかしかった...、怖かった..."と思いながら、自分の部署へ戻る最中に、思い返してみると「ん?」という疑問が...。

部長の発言の中で、
「人事部には、うまく話をつけておいた」とは、どういうことだろうか...。

登用試験は、合計180点以上で、各科目最低50点を取得しないとパスできません。しかも、これは、最低条件であって、180点を取得できたからと言って、必ずしも合格するわけではありません(私は合計168点で事業管理の科目が28点で、いずれの条件も満たない)。

席に戻ると、上司に呼ばれ、
「部長から何を言われた?」と聞かれ、ありのまま伝えました。
そして、「人事部には、うまく話をつけておいた」の意味を聞いてみました。

すると、会議室へ連れてゆかれ、勿体つけたような間のあと、驚くような説明を受けました。

「実は、来年の4月から、君には、正社員として働いてもらうことに決まっていたんだよ。今年の4月に、人事部に打診し、人事部も君の働きぶりや素行を、半年かけて観察して、先月、人事部から内諾をもらってね。ただ、決まり事項だから、形式上、登用試験を受けてもらって、今後も論文、面接と対応してもらうけどね。今回の件は、人事部が"内諾"を本人に打ち明けたから、登用試験をいい加減な状態で受験したのでは?という疑念を抱いて、釘を刺しに来たというところだよ。俺も部長に「内諾を本人に告げたのか?!」と勘繰られてね...。」

「すみませんでした....」
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
ともすれば、登用試験を面倒臭さのためにボイコットしたかもしれなかった自分が恥ずかしくて情けなくて...そして、怖ろしくて...。
また、あと2年経ったら辞めようとしていた性悪な自分にも....。
心の中で、土下座の連続でした。

あとで聞いた話ですが、
法律や会社のル-ルを読んで、業務に反映させ、率先して働いていた姿を、人事部が異常に評価してくれたようです。

そして、すべての試験が終了し、正式な登用通知を受領した後、部長にお時間を頂戴し、あらためて、お詫び と お礼に伺いました。

その時に、部長よりいただいた言葉が、今の私の行動理念です。

『後に続く者のことを思って、仕事をしてください』

そして、4月から正社員としての生活がスタ-トしました。

しかし、それは、思い描いていた生活から、まったくかけ離れた生活となることなど、この時には、想像すらできませんでした...。

その状況は、また、次回、綴らせていただきます....。

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