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【社会人/博士/体験記】第16回「時間がずれてしまったような錯覚におちいる」

こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!

このマガジンは、
働きながら、「博士後期課程="社会人"博士」
を目指す体験談です。

前回の記事はこちら ↓↓↓

さて、今回は、大学院の授業について書いていきます。

1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!


6時間労働で授業に出席

鳩が入学する大学院では、指導教員のゼミだけではなく、
数は少ないですが、いわゆる授業の時間もあるというのは、以前も書きました。


「ええい、ままよ!」と選んだ授業は、春学期2つ、秋学期2つ。

春学期の授業は、1つの曜日に集中させました。

コロナのおかげで、テレワークとフレックスタイム制をバンバン使ってOKとなったは追い風でして、

朝7:00に勤務開始

6時間労働(~13:00に勤務終了)※

移動(1時間)

授業(4、5限目)

という具合で、授業をこなしていました。

※労働時間が6時間以内なら、労働基準法上、休憩時間がゼロでも問題ないのです。
「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイでは、「1日6時間労働」が所定となっているので有名です。


テレワークやフレックスが一般的でない時代の”社会人博士”は、さぞ大変だったろうなと、先人たちに思いを致すと頭が下がる気持ちになります……。

また、会社で共有しているスケジュール上、
「毎週、特定の曜日の午後に丸々外出している変な人」
扱いになることは必至です。
「大学院に進学するのを会社に報告すべきか問題」は人によって悩ましいところかとは思うのですが、会社に報告している方が、必要以上に気を遣わなくても良くなるので気は楽なんじゃないかと考える鳩です。


会社に伝えてないと、授業を受けに行くときも、何となくこんな顔になるんじゃないでしょうか。


授業に出ても1人

というわけで、とうとう授業当日がやってきます。

慣れないキャンパスをきょろきょろしながら、インフォメーションシステムで10回ぐらい確かめた教室を目指します。

10分前に教室へ……。

5分前……。

誰もいない……。

チャイム……。

……孤独の教室


人の気配が無さ過ぎて、一瞬幻覚を見ました


(あれ、自分、教室間違えてないよね?)
と、部屋番号を5度ほど確かめます

次に、休講情報が入っていないかをチェックしますが、特に連絡はなさそうです。
自分がちゃんと正しいインフォメーションシステムの場所を見ているかもよくわからないまま5分経過。


博士後期課程の人数がそもそも少ないのに加えて、どの授業も選択科目なので、授業の時間は必然自分1人になるだろうと思っていたものの……。

「あ…ごめんなさい この授業 来月からなんですよ
 ごめんなさいね」

とかいう、出鼻をくじかれる展開だけは避けたいところです。

得体の知れない奇妙な焦燥感を味わっていたところで、ようやく先生がやってきてくれました。

「いやあ、すみません、遅くなりました」
と、大学教授あるあるの5分遅れでの登場だったようです。

学生時代は、「友達とぺらぺらしゃべる時間が増えたぜ」ぐらいに思っていた時間が、こんなにも苦痛になるとは思ってもみませんでした




あれ、これってめちゃくちゃ贅沢な時間では

というわけで、半期に授業を2つ取ることに。

どの先生も、授業のはじめはオリエンテーションということで、
「企業では、どんな部署に勤めているの?」
「博論は、どういう構成にするつもりなの?」
「なんでこの授業取ったの?」
と、大学入試の面接の再現のようなことを聞いてきます。

とはいえ、もちろん詰問されているわけではなく、むしろ、
「一対一の授業だし、まあシラバスの内容は置いといて、せっかくだから研究に役立つようなオーダーメイドの授業をしますよ」
という先生方ばかりでした。

すると、授業を受けているうちに気づくようになります。

あれ、
企業のアドバイザーも務めるような先生たちと、1時間半、1対1で過ごせるって、これ、めちゃくちゃ贅沢な時間じゃないか?

企業でこんな契約をしようと思ったら、払っている学費ではとても賄えないのではという気がしてきます。

学生時代には分からなかった”授業のコスパ”が見えた瞬間、非常にありがたい気持ちになれました。


予習・復習4時間は、やばい

さて、せっかく大学の授業を受けるということで、
「単位ってどういう仕組みになっているのかな」
と調べた結果、見てはいけないようなものを見てしまったので、その辺の話をして終わります。

大学の授業の単位は、「大学設置基準」という文部省令の第21条に定められています。

第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。

2 前項の単位数を定めるに当たっては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし
(中略)
おおむね十五時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもって一単位として単位数を計算するものとする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。

これだけだと、まあ読む気も起きないので、適当に検索していると、
日本大学FDガイドブック2017 – “自主創造”のためのLearning Guide」
の内容が分かりやすかったです。

授業科目の単位は、授業時間に加え、学生が行う予習 ・ 復習などの授業時間外学修によって構成されています
講義科目を例として説明すると、
毎週1時間の 授業を15週行って1単位としているため、
大学設置基準で規定されている「45時間の学修を必要とする内容」を満たすには、1授業科目に対して2時間の授業時間外の学修が求められるわけです。

日本大学FD推進センター(2017).
日本大学FDガイドブック2017 – “自主創造”のためのLearning Guide
 pp.51-52.


つまり、授業時間に加え、予習・復習の時間も単位に含まれると考えられています。
(中略)
なお、大学では、45分を「1時間」と計算しているため、90分間の 1 授業時間は「2時間」となります
例えば、2単位の講義科目の場合は、1 授業時間(90分)の授業を15週行い、30時間確保していることから、当該授業科目の単位数として2単位が与えられる、というように考えます

日本大学FD推進センター(2017).
日本大学FDガイドブック2017 – “自主創造”のためのLearning Guide
p.52.

なるほど、だから90分の授業を半期受けたら、2単位もらえるのか、とこのとき初めて知ることになりました。
まあ、「なお、大学では、45分を「1時間」と計算している」あたりのくだりは、ちょっと何言ってんのかわかんないですが……


しかし、何よりすごいのは、「1単位には計2時間の予習・復習を想定している」という点です。
すなわち、90分の授業(=2単位)を1回受けるごとに、計4時間の予習・復習が必要なわけです。

思い返すと、学部生時代は、1年生の春学期に17コマの授業を受けていた記憶があるのですが、1授業4時間の予習・復習ということは、
週に17×4=約70時間の予習・復習が必要であり、
授業以外に、1日10時間予習・復習していなければ単位を落としていることになります。



まさか、この記事をご覧の方で、この予習・復習の時間を割愛して単位を取得するような不正に手を染めた方はいらっしゃらないかと思いますが……。


あ、すみません、授業を2つ受けるだけでも計8時間の予習・復習が必要なので、今回はこの辺で……。



次回は、指導教員のX先生に教えてもらった、論文を書くための3つのポイントについての記事です。

to be continued……


参考文献

・タイトル、挿入マンガ②③:久住昌之(原作)、谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ』(扶桑社)
・挿入マンガ①:寺沢武一『三国志』(集英社)


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