文系社会人大学院生が増えています
大学生に、文系大学院に進学する目的を問うたときに、積極的な回答が得られることは、ほとんどありません。ゆえに、文系大学院、特に博士課程後期課程は絶滅危惧種のように目されています。しかし、社会人に文系大学院に進学する目的を問うたとき、その反応は少し異なったものとなります。大学等を卒業して一定の期間、社会人としての勤務経験を有するなかで、もっと専門的な知識(例えば経営に関する知識)を身に付ける必要性を感じている社会人は少なくありません。それゆえ、文系大学院のミッションは、大学の新卒者を対象にした研究者養成の目的から、社会人のリカレント教育、さらには、社会人として実務に精通した経験を有する研究者を育成する場へと変わりつつあるように感じています。
私は私立大学のビジネススクールでMBA(経営管理修士)の育成にかかわっています。また、その延長線で、博士課程後期課程生の指導を行なっています。そうした現場の教員感覚で率直に申せば、社会人がMBAや博士の学位を取得することは、ビジネスにおいても、また、その後の人生設計においても、非常に多くのモノを得ることができると感じています。それらは専門的知識であったり、課題を発見し解決する能力であったり(ビジネス<経営や管理>の現場は、答えのある問題に回答するという大学受験のような状況にはありません。まずは何が課題なのかを抽出し、それを解決する手法や思考方法を身に付けることが重要です)、さらには、学友との人的ネットワークの形成であったりします。
このノートでは、潜在的に大きな魅力のある文系社会人大学院の現状や課題について、博士課程後期課程を中心に、その前段となるMBA教育も含めて情報発信してゆきたいと考えています(2022.05.15)。
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