見出し画像

5回目 WBC

今回は今年の3月にも行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について語りたいと思います。WBCは、メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会により立ち上げられたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)が主催する、野球の国・地域別対抗戦です。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認の世界一決定戦でもあります。
 開催経緯は、1990年代後半ごろからMLBの国際化が進み、アメリカ合衆国以外の国籍を持つMLB選手による活躍が著しくなってきました。また、2000年代初頭から日本やメキシコ等のアメリカ合衆国外でMLB開幕戦を開催するなどして、本格的なMLBの世界進出によるMLBの拡大と野球マーケットの拡大。それに伴う収益の拡大を目指していたMLB機構のバド・セリグコミッショナーが「野球の世界一決定戦」の開催を提唱したのが始まりでした。その後、2005年5月にMLB機構が翌年3年に野球の世界大会を開催することを発表しました。WBC開催を記念して、同年のオールスターゲームでは、前日に行われる恒例のホームランダービーが国別対抗戦となりました。
 当初、日本(NPB)はMLB側の一方的な開催通告やMLB中心の利益分配の反発し、参加を保留。また、日本プロ野球選手会も開催時期の問題から参加に反対しました。しかし、MLB機構は参加を保留するNPBに対して、改めて参加を要求。もし日本の不参加によってWBCが失敗に終わった場合、日本に経済的補償を要求することを通達。さらに、WBCへの不参加は「日本の国際的な孤立を招くだろう」と警告しました。これを受けて、日本プロ野球選手会は不参加の方針を撤回し、選手会の古田敦也会長がNPB機構に参加の意向を伝え、日本のWBC参加が決まりました。その結果、2006年3月に第1回大会が開催され、以降第5回大会まで行われた。
 WBCでの今後の課題として挙げられるのが大会の認知です。日本においては大々的に報じられ、TV中継は連日高視聴率をマークし、MLBコミッショナーも満足感を示しています。しかし、開催国であるアメリカ合衆国のように関心が比較的薄い国もあるのが現状だそうです。アメリカでは、バスケットボールとかアメリカンフットボールなど他のスポーツもあるから、その時々のシーズンのスポーツに関心が散らばってしまう。そのため、本来ベースボールシーズンではない3月にアメリカ国民の目を野球に向けるのは非常に難しいと言われています。その一方で、今年行われた大会の準決勝、メキシコ対日本戦は6100万人以上の視聴者を記録し、世界で最も視聴者の多い野球中継の1つとなりました。その他にも中国やチェコなど、163の地域で63のメディアパートナーを通じ、全世界13か国語で放送されたことから、世界的には大会の認知度は高まってきているのではないでしょうか。