ラストマイル感想

痛烈な企業批判をベースにしたストーリーで大変好ましくも同時に社会批判で、大半の人がそうであるように自分もその只中にいるひとりなので身につまされる思いも持ちながら見た。
舟渡エレナの欲しいもの「全部」は、終盤で「分かる、私も全部欲しい」と思った。自信とかバイタリティとかなんかこういわゆる輝かしいものもだけど、自分として人間として、完成していきたいなと。

通販の工場で少しだけ派遣バイトしたことがあって、空港近くのでっかい工場のでっかい機械の中に大量のバスから降りた大量のヒトが入っていって作業する光景を久しぶりに思い出した。そこでは時々何かあるとラインが止まってた。異常だから止まるんじゃなくて、止まることが正常であったと遅まきながら気付く。あのリズムに簡単に飲み込まれちゃうんだなと。少しでも飲み込まれていたことに気付いてこわい。気付くのが遅いのもこわい。
人を大切にしない過程に自覚的に生きていきたいです。会社の利益を負う責任と人間を大切にする軽やかさとそこまでの葛藤を舟渡に見た。非常にいいキャラクターでした。キャスティング最高。

中間管理職にあたってる人の辛さがひしひしときてしんどかったし、でも正直かっこよさも感じた。阿部サダヲの台詞聞き取りきれなかったからまた見ないと。
トップの人間は何を思い考え働いているのだろうとよく思う疑問にもぶち当たる。心殺してるのかなとか思ってこの映画でもよく分からなかった。最後のシーンも解釈しきれていないのでまた見たい。

社会をよくするために動ける人間でいたいです。それに遠からずなことを第一義的なものとする仕事をできることに喜びがあるし私は今それでわりと幸せだけれど、それと同時に、利益や他の様々な価値を追いながらも社会の中で働き、きっと静かに葛藤している人の話を聞きたいと思う。一緒に見た300人近くのみんなは何を持ち帰ってどう生きるのだろうかと思いながら、3分の1も食べられなかったポップコーンをかじりながらみんなの退場を見送った。

#ラストマイル


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