「二次創作者」が羨ましい!

今日も性格の悪い日記を書きます。「二次創作者」が羨ましい!

生まれてこのかた、アニメとか漫画とかゲームにハマれた試しがない。いや、厳密にはあるけど、短期集中型。半年以上ハマっていたことがない。

そんなわけで、「二次創作」っていう文化を知ったのつい最近。アイドルにハマってたまたま見かけた。それまではマジで知らんかった。アイドルとかアニメとかってそういう楽しみ方あんねや! ってカルチャーショック受けた。

私がTwitterを始めたきっかけはおそらく「二次創作」の類がスタートやと思う。推しアイドルの絵を描く「ファンアート界隈」って呼ばれる場所が、私が初めて足を踏み入れたインターネット。それまでは見る専やったのが、初めて「作る」側になった。
いやー、楽しかったな。推しの絵を描く、それだけで友達の輪が勝手に広がっていく。しかもなんか知らんけど、見ず知らずの人から褒めてもらえる。推しの絵を描くだけで、結構すぐフォロワーが増える。私が最初に触れた界隈が特殊すぎて、勘違いするようになってしまった。インターネットっていうのはすぐ友達が出来て、どんどんそれが広がっていくもんなんやなって。

それがどうだい、ファンアートアカウントを使わなくなって次に踏み入れた「一次創作界隈」は、そんな楽しいだけのインターネットじゃねえの。マジで戦争。戦。毎日毎時間必ずどっかで火の手が上がっとる。
そこでようやく気付いた。「一次創作」と「二次創作」の、埋まらない溝。

「二次創作」ってさ、「もう既に土台がある」状態でスタートなんよね。それが逆に「一次創作」は、「土台から自分で構築していく必要がある」。この圧倒的差。

まず「一次創作」は、誰の目にも留まらない。自分の好きな物を書いたところで、誰も興味ない。だってみんな知らんから。見たこともねえ食い物をぽんって出されても誰も口付けへんのと一緒。見たことも聞いたこともねえコンテンツなんて、誰も見向きもせんのよ。
かたや「二次創作」は、もうみんな「美味しい」て分かってるもんをさらに美味しくしてる物やからみんな食いつく。言うたら「ちょい足し」なんよね、「二次創作」は。その「ちょい足し」によって不味くなることもあるけど、大概は美味いに決まってんのよ。だって「素材」が美味いってことみんな知ってるもん。元々「美味い」素材の中の、苦みだったり甘味だったり酸味だったりをちょい足しで増幅させたものが「二次創作」。好みは別れるけど、「素材」そのものが好きな人ならまあとりあえず食ってみるやろうな。

「一次創作」は素材もクソもあらへん、調味料も材料も全部一から作る創作料理。だから誰も美味しいかどうかわからへん。そりゃ作ったシェフは味見しとるよ、味見して美味かったから出しとんねん。けど、「シェフの舌が正しいかどうか」も誰も分からん状態。
そりゃ食わん。食わんよ。よっぽどの物好きか、味蕾がぶっ壊れた奴か、とりあえず何でも食ってみてGoogleレビュー書くのを生きがいにしとる奴しか、そんな食い物は食わん。
だからまず「一次創作者」は、「これは怪しい物は入ってません、食べられる物です、美味しいです」っていうのをアピールするとこから始めんとあかんのよ。一人で作って一人で食うんやったら別にそんなことせんでもええやろうけど、「創作」ってやっぱ、自分なりに上手にできたなって思ったら、誰かに振舞いたくなってしまうもんなんよ。こちとら野菜炒め作っとるわけやないのよ。じっくりことこと、何時間何日何か月何年煮込み続けてるんやから。そんな手の込んだ料理、己で食うだけやったら勿体ないやんか。そんだけ時間かけとるんやから。だから誰かに振舞いたいし、「美味しいね」って言うてほしいのよ。
それを、そんだけ時間かけて作った最高傑作の料理を、「一次創作者」はまず「食えるもんかどうかを説明する」ところから始めんといかんのよ。スーパーの試食販売のおばちゃんみたいに、一話の見どころとかを小出しにして呼び込みするところから始めんといかんのよ。

それを、よ。それを「二次創作」は。
料理出しただけで取り合いが勃発すんのよ。だってもう、美味いことが前提なんやもん。試食販売みたいなことせんでも、売れんのよ。だって美味いのが当たり前なんやもん。

いや~、ずるいよな。やっぱり。
まず、「二次創作」で金取ってる人おるやんか。人様の作ったコンテンツに勝手にちょい足ししたやつを新商品として売り出してるわけやろ? それはさすがにあかんやんか。でもみんな美味いから買うやんか。これがまずズルい。
でも何より私がズルいと思うのは、「二次創作で人を集めた後、ゆっくり一次創作に移行する人」。これがいっちばん、いっちばんズルいと思う。何がズルいって、この人何も悪いことしてないのよ。
初めは「ちょい足し料理」で人気を集める。それでお金を取ることも無く、ただ美味しい料理をみんなに振舞ってるだけ。でも、みんなそこの味付けが好きなのよ。
ここでこの店主が、「オリジナル料理」を出す。ほんだらみんなどうする? 買うのよ。だってここの店主の「味付け」が絶妙ってことみんな知ってるから。「絶対的な信頼」を構築してあるから、最初に。
これが創作界隈で一番ズルいと思う。悪いとは言ってないよ、だって何も悪いことしてへんもん。人のレシピを使った時はお金を取らず、でも自分らしい「味付け」のアピールにはなってて、充分みんなにアピールできたかなって時に「オリジナル料理」でお金をもらう。これのどこが悪い? 何も悪くねえのよ。何の非の打ち所も無いのよ。
だから腹立つ言うてんねん、私は。非の打ち所がないから、責められない。ただ営業が上手すぎるだけ。
でも私は醜い女やから言いたいわけ。
「あなたがみんなの支持を集められたのは、元々は誰かさんのおかげやのに! なのにまっさらな顔をして自分の功績を積み上げられるのはズルい!」。
分かってる、分かってんのよ。ズルいとかそういう話じゃないのは分かってんのよ。じゃあお前も同じことしたらええやないかって思うやろ? これが出来へんのよ。要は「ちょい足し」も才能なのよ。無茶苦茶な二次創作はあんまり伸びないのよ。
だから、「二次創作」が上手い人はな、必然的に「一次創作」も上手いのよ。それはもう確実な公式なのよ。
私が「人気になりたいから二次創作で人集めま~す」ってやってもな、全然人気になんかなれんのよ。それはもうファンアート界隈におったときに散々思い知ったから。私は同じこと出来へんのよ。

結局は、「二次創作者」が羨ましいっていうのは、建前。
「才能ある人」が羨ましい。すなわちこれ。
私は今日もしゃあないんで、じっくりことこと、誰に振舞えるかどうかも分からん料理を煮込み続ける。いつか誰かに振舞えたら、それだけで万々歳よ。もし振舞えなければ、己で完食したるわ。

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