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荒んだ心にちょうどええ映画、「フォレスト・ガンプ」

いやー、やっとよ。やっと。
ようやく、「フォレスト・ガンプか!」っていう例えツッコミが使えるようになったわ。ツッコミレベルが1あがった。例えツッコミへの汎用性が高すぎるな、この映画。

「フォレスト・ガンプ」のあらすじもちょっとだけ説明。
バス停に座ってるちょっと変わった男性が、急に自分の身の上について話し出す。生まれた時のこと、恋をした相手のこと、仕事のこと……その話はどんどん大きくなって、まさかの展開を次々生み出していく。

この映画の好きなとこを一言で言うと、「荒んだ心にちょうどええ」ってとこ。
「人生はチョコレートの箱。食べるまで中身は分からない」っていう超有名な名台詞にふさわしく、マジでどこに転がっていくか分からん人生史を一緒に辿っていけるのが面白い。展開がぐるぐる変わるのに、主人公のフォレスト・ガンプがすごい楽観的やから安心して観れる。しかも、ちゃんとどの出来事も優しく着地する。

腹立つこともあるしストレスも多いこのクソ世界で生きとったらさ、やっぱ人生どうでもよくなることなんていっぱいあるのよ。そういう時に上手いこと自分のしんどいことから目を背けさせてくれるのがこの映画。
何がって、フォレスト・ガンプは楽観的ではあるけどちゃんと苦しいことも経験すんのよ。めちゃくちゃしんどいことをいっぱい経験して、すっごい悩む。それを観てたら、この主人公が生きてる世界も、自分が生きてるのと同じクソ世界であることが理解出来る。
どんなに楽しい映画もさ、楽しいハッピーなことばっか起きてたら腹たってこん? 「ええよな、お前はフィクションの中でぬくぬくと暮らせて!」って思わん? 逆にしんどいことばっか起きても腹立たん? 「フィクションのくせに現実と同じ胸糞悪いもんばっか見せんなや」って思わん? 私がひねくれとるだけかな。思わんかったらごめん。

けど、そういう私みたいにひねくれた人間が、「ちょうどよく」没入できるのが最高。バランスよく、苦しいのもハッピーなのも、現実も虚構も入り乱れてるから、とっても安心。
しんどい時でもさらっと観れるから、ぜひ観ようぜ。

▼▼▼以下ネタバレ&観た人にしか分からんことを話すので注意▼▼▼








フォレスト・ガンプが出会う人達ってみんな個性的で、しかもなんか無性に愛おしい人達が多かった。
まず、最たる例がババよね。マジでエビのことしか言わねーじゃん。最初はウザかったけど、いつの間にか愛おしくなってきて、最後普通に死んじゃった時はガチでうるっと来てしまった。なんであんなにいい人が死ぬんや。世界は理不尽や。ババを返せ。一緒にエビ漁させてやれ。
結局ババと約束したからってだけの理由で1人でエビ漁しに行くのもすごい泣けた。泣けた理由も、ババが可哀想とかフォレスト・ガンプが可哀想とかそういうネガティブな涙じゃなくて、なんか愛おしさから来る涙やった。こんなにも1人の人に愛してもらえるババも幸せやし、自分の意思で幸せそうにエビ漁し続けるガンプも嬉しそうで、世界にはちゃんといい人もいるんやなって、そういう涙。

次に小隊長ね。名前はごめん、ちょっとメモするの忘れたんやけどさ。
「名誉に戦死を遂げるはずだった。こんなことになるはずじゃなかった。俺の運命じゃない」って泣く小隊長もすごく愛おしかった。本当は命あるだけ喜ばんといけんのに、自分で自分の行く末をしっかり決めてしまってたから、それと異なる結末を迎えようとしているのを受け入れられなかった。めちゃくちゃ人間らしくない? 初めの頃の小隊長はもうガッチガチでさ、人間離れしてたというか、完璧すぎたというか、そういう人やったのにさ。あまりにも「人間」。多分この作品の中で一番「人間」。
結局フォレスト・ガンプに八つ当たりしたり、八つ当たりしたくせに会いに来たり、フォレスト・ガンプを見下しているようで、結局お世話になりっぱなしだったり、なんかもう目まぐるしくて可愛かった。よく生きててくれたな、小隊長。ちゃっかり最後Appleに投資してしっかり生き延びてる辺りも含めて大好きやで。

そんでジェニーね。
ガンプと離れてから最悪の人生辿りすぎ。人生の落ちるとこまで落ちてるのに、「私を助けようとするのはやめて」って言ってしまうのも愛おしい。こんなにもガンプは愛してるって言うし行動でも表してるのに、全然それを受け取ろうとせず、自分から不幸街道突っ走ろうとするんやもん。観てるこっちはもどかしかったけど、とはいえ人間はジェニーと同じ立場に立たされた時、結局ジェニーと同じ行動を取るんやろうなとも思う。

フォレスト・ガンプはずっと楽観的やから観ててラクやったけど、まさか最後の最後で弱音を吐くとは思わんかった。あ、ちゃんと弱音吐けたんやって安心した。それまでずっと、フォレスト・ガンプっていう人物はめちゃくちゃ変わり者で、何が起きても揺らがない特別な人間なんやと思ってたからさ。ちゃんと揺らいでたんや、ってようやくここで分かる。じゃあもしかしたらこれまで色んな場面で楽観的に見えてたのも、耐えた上で我慢してそう振舞ってたんかなって。ジェニーが死んで、誰もいない場所でようやく、自分の素直な気持ちを言えた。それを考えたらやっぱり、フォレスト・ガンプって特別な選ばれし人間なわけじゃなくて、不器用な普通の人なんやなって。

有名なあの「走る」シーンには触れずに感想文を終わろうとしてる。だってあのシーン、もう多分擦りに擦られてるやろ。あれはもう長々語るようなとこでもないなって思うし。あれはあれ以上でも、あれ以下でもない何かがやっぱあるからさ。触れずに終わるよ。文字数もかなり膨らんでしまったし。

やっぱ名作ってのはちゃんと名作なんやね。チョコレートの箱みたいに、開けてみるまで分からん人生を精一杯楽しみたいなんて思ったりした。最高だったな。

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