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9冊目 姑獲鳥の夏

 皆さんこんにちは。maziceroです。今回は7冊目の記事の最後に予告した、あの超有名作家のデビュー作について書いていこうと思います。
 

あらすじは飛ばさせてください

 ということで、本来ならあらすじを書きたいんですが、ぶっちゃけ、ミステリー作品を紹介するときのあらすじの書き方が分かりません。
 どこまで言っていいのか。そもそも、あらすじとは簡単な物語の展開であって、「これから面白くなってくるぞ!」という部分までを簡単にまとめるものではないと思っているのだが…。
 ということで、今後も、たぶんミステリー作品については書かないんじゃないかなと思います。というか、こういうのは出版社さんにお願いすればいいのではないかと思ってしまう。そんな今日この頃です。
 とりあえず、URLを載せておきます。
『文庫版 姑獲鳥の夏』(京極 夏彦):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)

おすすめポイント① 物語が重厚

 さて、さっさとおすすめポイントやっていきましょ。
 
 この作品は、というか、京極夏彦さんといえば鈍器本でおなじみですが、ページの分厚さだけでなく、内容も重厚です。
 まず、最初の方に出てくる、幽霊について、認識について、そういう話がまあ興味深い。
 ぶっちゃけ、爆笑できる面白さをこの作品に期待できません。そういう意味ではおもしろくないです。
 しかし、推理小説の楽しみである推理の道筋以外のところで出てくる話、それがおもしろい。これ以降の作品を読むかどうか、正直迷っていましたが、この興味深いという意味のおもしろさを味わいたいがために読んでいきたいと思います。
 そして、その部分が登場人物たちのセリフや思考、性格を補足してくれます。なにより、その内容が事件を解くカギにもなります。あっという間に心をつかまされました。

 また、登場人物たちの行動や思考に奥深さがある。もちろん、表面的な部分は分かりますが、こいつはこういう奴だろう、と思って読んでいたら、まさか裏切られる。そういうことが溢れています。しかし、突飛に見える行動も、その人物の枠から出ていない。だから凄いんです。
 大体の小説が、この人はこういうことするな、という風に予測できたりします。文体も硬くないことが多いです。
 しかし、文体がかなり堅い人でも、決して、最初の数十ページが面白いと思えない人でも、ファンがつきます。その多くのパターンに当てはまるのが「登場人物の奥深さ」だと思います。
 本当はこうでなければならないと思います。少し前、ゲド戦記で有名なアーシュラ・K・ル=グウィンの「夜の言葉」というものを読みました。創作論について書かれているように思いますが、その中に、小説に出てくる登場人物たちについて、作家は全てを知っているわけではない、という内容が書かれていたはずです。(うろ覚えですみません。大体の内容は合っていると思います。)
 何が言いたいかというと、登場人物の隅から隅まで知っているわけではないからこそ、すべてを書くことは不可能で、だから、突飛に見える行動が出てくることもある。だけど、その人物について知っていなければならない前提知識のようなものを知っていれば、その行動は突飛なもので半句、その人物についていえば普通の行動だといえると思います。

 長々と書きましたが、結局、登場人物のすべてが分からないから出てくる奥深さ、深い考え方の二つがいい味を出していました。

おすすめポイント② 文章の見やすさ

 先に断っておきますが、決して開業が多いわけではありません。文字が詰まっているところはたくさんあります。初めて小説を読む人が手を出す作品ではないと思います。
 ここでいう「見やすさ」とは、ページをめくらないと一文の続きが見れないという点に対する見やすさです。
 つまり、見開き2ページの中で、すべての文章の始まりから終わりが入っています。だから、難しい文章を読むとき、前ページにある一文の前半と、次ページにある後半をいちいち捲る必要がありません。
 これは「ヴァイオレット・エヴァー・ガーデン」というKAエスマ文庫から出ている暁佳奈さんも使っている手法です。ページの見やすさを考えているということです。
 何が凄いって、物語自体の質が高い上に、変な改行を行っていないのがすごいんです。僕の文章を見てください。ぶっちゃけ、これをA4用紙に印刷したら、ページをめくって読まなければならない文が絶対出てきます。他の多くの作家さんを見てみてください。大体の人があまり意識していないと思います。
 あんなに売れている作家さんでも意識していない。というか、かなり難しいんです。どうやっているのかは知りませんが、どう考えても、文章を書きながら改行についても考えていくしかないように思います。
 そんな難しいことをしていて、このクオリティーです。そりゃ売れますよね。

メディアミックスについて

 ということで、さっきまでは小説のおすすめポイントを書いていましたが、ここからはメディアミックスについて触れたいと思います。

 メディア(情報媒体)をミックス(混合)しているんです。アニメ化とか実写映画化とかです。
 個人的には実写映画化だけは止めて欲しいと思っていますが、なんと、この作品は実写映画化されているようです。ちなみに、漫画化もされています。
 実写映画化は2005年、漫画化は2013年のようです。
 どちらも見たことがないので、どれくらい原作改変があったのかは知りませんが、漫画版だけは読んでみようと思います。

 もし、「あの分厚い本は読み切れなさそう…。」と思っている人はメディアミックスしたものから入ってもいいのではないでしょうか。

おわりに

 ということで、今回の記事はここまでにしたいと思います。このシリーズについては、同じ事ばかり書いてしまうと思うので書かないと思います。何か特筆したいことがあれば書きますが、まあ、それ以外は書きません。書かないですが、進捗ぐらいはこの「おわりに」のところで報告していきたいなと思います。

 さて、次回の記事についてですが、まだ決まってません。読んでいる本はありますが、予告すると義務感が生まれて書きたくなくなるので、予告せず、読んだ本の報告をしていきたいと思います。
 とりあえず、この前読んだ「ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います」はあっさり読めて面白かったです。記事を書くものではないと思ったので、報告にとどめたいと思います。

 とりあえず、今回はここまでです。お相手はmaziceroでした。

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