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引越しと教訓

3ヶ月住んだ狭いアパートから引っ越した。

リビングと6畳間が2つだけの家。しかも2つといっても1つはリビングと仕切れるだけで閉めて使うことはなかったので、実際のところリビングと寝室だけの家だった。そこに大人2人子供2人猫2匹でぎゅうぎゅうニャゴニャゴとひしめきあって暮らしていた。

こどもたちがまだ親と一緒に寝てくれるうちだったから助かったと思う。もし7歳長女から「お父さんと一緒に寝るとかマジ嫌」とか言われていたら私は毎晩ソファを涙で濡らすところだった。あと、あんず(猫)が食卓のいつも私の座る椅子を定位置にしていたので私のズボンの尻が毛だらけになってしまっていた。もしかするといつもお尻に白い毛を生やしている人として会社で噂されていたかもしれない。

というわけで、待ちに待った引越しだった。新居はアパートから50メートルくらいしか離れていない場所にあるのでもう荷造りなしでいいですか?ポイルターガイスト的な超能力で物を移すサービスとかないですか?と引越し屋さんにお願いしたかったがダメだった。そういう問題じゃないらしい。それはそうか(でも実際いちいち紙に包むのが面倒くさかった食器類とかは夜な夜な自分で運んだ)。

私が粉になりながら詰めた荷物を引越し屋のマッチョさんたちが一瞬でトラックに乗せ、新居へと移動していく。私も自分の車を新居に移したのだけど、そこで駐車する時に車を擦って隣の家のブロック塀を破壊してしまった。隣人への引越しのご挨拶がいきなり全力のお詫びから入ることになるとは……。ひたすら平身低頭。隣人が良い人で本当によかった。いいかい、新居に初めて車を駐車する時は間隔がつかめていないから細心の注意をはらうんだよ。三毛田との約束だ。みんな私の屍を越えていくんだ。

そんなこんなでなんとか(?)引越しが終わった。私のミスも書ききれないほど多くあり、一筋縄ではいかない引越しだったがまあこれも思い出である。新居に移って、モス(猫)は家中を探検してどこもかしこも飛び込みまくり興奮した声でよく鳴いている。対してあんず(猫)は日中は寝室のベッドの下に隠れて動かず、深夜にこっそりとリビングに降りてくる。性格の違いがあっておもしろい。

こどもたちはついに自分の部屋ができた。先日はプリキュアショーを開催するからと部屋に閉じこもって2人でなにやら準備をしていた。親の見えないところでいろいろやれるので楽しそうである。あと、いよいよ自分の部屋で寝るようになった。今のところ寝るまでは一緒にいて寝たら部屋に運ぶというスタイルだけど、やがて勝手に自分の部屋で寝るようになるんだろう。私の枕が涙で濡れる日は近い。

そして妻は2階の余った部屋を「編み物部屋」とし、作業用の机と棚まで設置してもう完全に私の入る余地がなくなってしまった。私の書斎を持つという夢は毛糸玉となって消えてしまったのだった。でもまあ、とにかく広くなって快適である。全員が自分の部屋に行ってしまった後のリビングで、少しだけ寂しさを感じている。

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