旅する価値を見つめなおす


父・息子
東北親子旅を企画しさっそく提案

震災を知る
これをテーマにしたら許可がおりた
夏休みの自由研究も兼ねるというプレゼンが決め手になった

ガイドブックを一緒にみたり
東日本大震災を一緒に調べたりして機運を高め
2月には予約をほぼ終えた

何も見ない、何も決めない、自由な旅も好きだが
ようやくとれた5か月後の3日間の有給休暇
東北5県を5日間で巡る欲張りな計画を立てた


旅は行く前から始まっている


息子にはカメラマンの役割を与えたらその気になった
カメラのバッテリー、メモリカードを補充した

アンテナショップに行ってみた
賛否あるが事前に見たり食べたりした

民泊でお世話になる
ホストからメッセージが届く
到着手段、到着予定時間から始まり
食べ物の好み、アレルギーや食べられないものを伝えたり
お二人でしたらここへ行かれてはと
興味をそそる現地の情報を頂き
予定を苦労して悩んで組み換えた


6月は最高の時期ですよ

あるホストのメッセージ
魔法のようなことばで気持ちをさらに喚起した



旅はもう始まっていた



実際は6月14日、東京にいた

昔の伊達政宗の映像をテレビで観ながら
不思議な気持ちになった
確かに今日、6月14日
予定では仙台の政宗公と記念写真をとるはずだったから


3月中旬に
すべての予約をキャンセルした

緊急事態宣言が出て
いろんな考え方がある中で行くことは難しいと判断した
仕方ない、仕方ないけど
また行こうね、息子は言った
グッと色んなものを飲み込んだ


ホストにキャンセルを伝えるのが辛かった
みなさんの方が大変な状況にも関わらず
本当にあたたかい言葉を返してくれた

お身体ご自愛下さい
日常聞けるフレーズではない

お会いしたことはないが
きっとステキな人たちだ


旅行は当分行けないことが分かってもなお
熱は冷めない

盛り上がったこの気持ち
せめて頭の中だけでもと自作の旅程表を想像で巡った
まるで現地に行ったかのように旅行メモを書いてみた

意外に
行った気になってしまった

でも、実際は行ってない
旅は想像で行けるほど単純ではない


だから今
給付金をプレゼン材料に使い
我が家の大蔵大臣を説得し
叶わなかった東北旅行に行きたい
お会いしたら
この時感じた悲しさや嬉しさを伝えたい


旅行のスタイルはさまざまあるが
事前にほとんどの情報が揃い
まるで行ったかのような疑似体験までできてしまうのが
今は当たり前で、避けられない

これを機に
人間が実際に移動して旅することに
価値があるのかどうかを問いたいと思った


そしてもう一度
東北旅行の物語を書きたいと思う


価値の発見が
あれもこれもたくさんあって
旅日記が楽しさで溢れていることを希望する

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