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出産を控えた生徒が、あまりにもたくましかった話。

まずはこちらの写真をご覧ください。

毎週日曜に訪問している高校にて、去年のクリスマスに撮った写真です。(クリスマスなのに半袖なのは突っ込まないでください)

何か気付きませんか?……高校、にしては、キッズが多いと思いませんか?

何を隠そう、写真に写るキッズたちはみんな「ここに通う生徒の子どもたち」なのです。

というのも、私達がサポートしている「オープンハイスクール」には、早くに妊娠、出産をした生徒も多く通っているため、「若いお父さんお母さんがお勉強している横にくっついているキッズたち」の姿をたくさん目にすることになるのです。

日本じゃ見られない光景ですよねえ。

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そして話は本日のこと。

私は朝からこの学校にて、現地パートナーのクリスと共に、中学1・2年生を相手に英語の授業をしていました。(フィリピンの学制は中学4年間、高校2年間で、基本一貫教育なのです)

スクリプトを一緒に読み、新しく習った単語を使って文章を作り、いくつかの質問に答えてもらって、1時間でどれくらい理解度が上がるかな?……みたいな、そんな授業をしていたんです。

そしてそんなクラスの中に、前から一列目の席に座って、ひときわ真面目に授業に参加している生徒がおりました。

なんとその彼女、13歳にして現在妊娠9ヶ月とのこと。わおわお。

大きなお腹を抱えながら真剣な表情でプリントを眺め、時には立ち上がってスクワットをし、お腹が落ち着いたら(?)また椅子に座って英文を読み、また立ち上がっては、そのまま淡々とクリスの問いかけに答えて……

私も1年半この学校にお世話になっていて、お腹の大きな生徒がいることも、キッズを連れた生徒がいることも、もうだいぶ当たり前に思えてきていたのですが、今日の彼女の姿を見ていたら、

「たくましすぎないか!?」

なんて改めて思えてきて……ただただ唖然としていました。

そんなことを思いながら授業を進行していた私とクリス。しかし、そろそろお昼休みという11時55分のこと、ちょっとした異変が起きました。

締めに差し掛かったそのとき、例の彼女がお腹を強く抑え、顔をぎゅっと強くしかめたんです。生徒たちがざわつきました。

「え!?これは生まれるやつ!?ちがうやつ!?」

と、無知な私はあたふた、とにかく先生を呼びに職員室へ……

「あの、妊娠してる生徒、お腹、なんか変らしいです!?」

「え、どゆこと!?何があったの?」

目を丸くする先生方。とりあえず教室まで、ぞろぞろとついて来ていただきます。私はその辺にあったクッションを申し訳程度に渡し、あとは先生任せです。

インターン仲間のたかちゃんに「これは何の腹痛?陣痛……じゃないよねこれは。え、大丈夫なのかな」とまくしたてる私。「中学校の教室内で妊婦さんが苦しんでいる」前代未聞の状況に、ぽかーんとする日本人2人組。

しかし先生や生徒たちを眺めていると、なんだか、やけに落ち着いているんです。慣れているのか知りませんが、全く慌てずに冷静に話を聞いている。笑みまで漏れている……

なんだこの状況?と、カオスなのかそうでないのか分からない空間に、なんだか私、気づいたら笑えてきちゃって。たくましすぎる彼女、淡々とサポートする他の生徒達、落ち着き払った先生方、なんか、すごすぎて。

結局彼女のお腹はすぐに落ち着いたらしく、何が起きたのかもよくわからないまま、みんな元気にお昼休みへと出かけて行きました。強いなあ。

何はともあれ、無事に赤ちゃんが産まれますようにと、ふわふわした気分で帰路についたのでした。


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