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【追想シリーズ】 ピアノ弾き修行中の学生が、2か月振りに「ピアノ」を弾いた話 (2020) その②

前記事に続いて既に昔、2020年6月の記録から。2ヶ月振りに練習室に通うことができるようになってからすぐに、大切な大切な(人生を賭けていると本気で思った)審査に向けて録画をしなければならなくなりました。当時まだ大学練習室は(ロックダウン明けの関係で)1日1時間か2時間しか借りられなかった頃、外のスタジオに通い、先輩のアプライトピアノも貸していただいて(その節はほんとうにありがとうございました!!)、必死に準備していました。
3週間ほど経った頃、ご紹介いただいたTonmeister の方にお世話になりベルリンで録画をしていただき、その結果審査は通過することができましたが、演奏には悔しさしか無く、帰りの列車の中でメモ帳に問いを書いていました。今読み返せば、他責のようで何とも肯定しづらいのと共に、答えることもできません。



録音をした。
準備の期間の殆どを占めていた相棒である、電子ピアノとエアピアノ。加えて机に向かうことでできること、それらすべて100%、ピアノがしっかり弾ける環境(でも出来ていなかったのでそれ)以上に勉強しなきゃいけないと思う。そして全ての時間を費やして必死に向かった。

しかしいざホールで弾くと、ピアノという楽器を弾くことができなさすぎて、唖然とした。正直気づいていなかった現実を、打ち付けられた感覚。楽器を鳴らせないという感覚が体に染み付いて、わからなくなった。

今に始まった問題ではなくてむしろこれまでもずっと指摘いただいたり課題となっていた問題だけれども、特に生の楽器をあまり使えない今、どうやって勉強したら良いのだろう。楽器を鳴らすということは、ピアノの無い場所ではどうやって勉強するべきなのか。

身体の構造を勉強したり、筋トレしたり、机の前に座ってエアピアノ、なんだかやっているつもり(にもなれていないの)だったけれど、何も出来ていないんだなと痛感する。



因みに同時期に書いたメモたちには:


6月になった。
自粛開始以来初めて公共の椅子(大学)に徹底的消毒をせずに座った。(座らざるを得なくなった)
同初めて自分の作った料理以外のものを食べた。(パン屋さんのパン)
同初めて外のものを触ってから消毒まで時間を置いた。
ドキドキである。自粛前にしていた暮らしが信じられない。


毎日ぴったり同じ時間に寝て、同じ時間に起き、決めたスケジュールで生活する。食べる前には欠かさず体操、筋トレとストレッチのメニューを。
食材はプロテインパウダーに、缶詰と乾燥わかめという素晴らしい発明品に支えられている。
こうして1人の人間が籠もって生活できるために働いてくださる方々、直接的にも間接的にも支えてくださっている方々に感謝して、私もできることを頑張らなければと思うばかり。



…楽器の鳴らし方、その問題は練習方法だけでは無いかもしれないと、思わざるを得ないような。


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