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体育会系文化部にいた話/言葉のサプリ【心の筋トレ】

高校生活の3年間だけ吹奏楽をしていた。

中学では帰宅部。

何か部活をしたかった。

青臭く言うと、青春したかった。

今風に言うと、アオハルしたかった。

どうでもいい。

入学して、校内で有名な部活をリサーチしたところ、春の甲子園にも出場した実績から野球部という回答が多かった。

正直マネージャーもいいなと思いつつ、自身と浅倉南とのギャップを考え、見おくることにした。

次に多かった回答が、吹奏楽部。

様子を伺うつもりで音楽室を覗いた数分後には入部届の記入をしていた。

先輩は凄腕の営業マンも顔負けのスピードで私に契約を取りつけたのだ。

それから楽器決め。体格などを考慮され、私はクラリネットパートに振り分けられた。

今となれば、本当にこのときクラリネットパートに決まって良かったなと思う。

それは楽器ごとに特色があることに気づいたからだ。

パーカッションはドMの努力家。

トランペットは目立ちたがりや。

トロンボーンは僕は周りとは違うぞというインテリ系。

ホルンはナルシスト。

ユーフォは気の優しい目立ちたがり。

テューバ、低音木管、弦バスは変わり者。

オーボエ、ファゴットのダブルリードさんはゴリゴリの優等生。

フルートはちょっとプライドが高い草食系。

サックスは木管らしからぬギラギラ肉食系。

そして、
クラリネットはおだやか平和主義。

実に平和な毎日であった。

さて、吹奏楽部と言えば全国高等学校総合文化祭にも参加するれっきとした文化部である。

しかしながら実際のところ体育系、もとい体育会系でもある。
吹奏楽部経験者であれば大きく頷くところであろう。

あれだ、マーチングとかいうやつだ。

そうそう、あれはすごい運動量。

でも、うちの高校にはマーチングはなかった。

もちろん演奏するだけでもハードだし、腹筋や肺活量も必要だ。

そのため楽器の基礎練習にとどまらず、腹筋や背筋、腕立てなどの筋トレも行うことが少なくない。

練習着はもちろん上下ジャージ。

繰り返すが、体育系ではない。体育会系だ。

まず、吹奏楽コンクールの出場人数は50名までと制限がある(少人数編成の部門も設けられてはいる)。
実際のところはその50人の枠を争うのだから、それ以上の部員がいるということになる。

昨今、部活動をする生徒が減っているという話も聞くが、それでも文化部の中ではダントツの人数ではないかなと思っている。

こういった大所帯における集団生活で、いかに立ち居振る舞うことができるのか。実力の世界にありながら圧倒的縦社会なのが体育会系である。

たとえ技術で先輩を超えてしまっていても、先輩をたてることを忘れてはいけない。

また吹奏楽部はコンクールで演奏するだけではない。

校内外のイベントで演奏したり、年に一度は定期演奏会で演奏するのが一般的だ。

この定期演奏会では、エンターテイナーとしてのホスピタリティが求められる。

戯けたダンスを披露したり、場合によってはとんでもない格好で寸劇をすることもある。

なんだこの格好、と思っても先輩の言うことは絶対だ。

お客様に楽しんでもらうためなら、恥ずかしさなんてものはかなぐり捨てて体育会系のノリで、いやエンターテイナーとしてのプライドをかけて一発芸の一つも出来なければならない。

私には紛れもない、この体育会系の血が流れている。

大勢の人の前で話すことにも臆することはなく、喜んでもらえるのならすべり倒す覚悟と鋼の心臓の用意もある。

先の電話応対コンクール県大会においても
「色々な会場に行きますが、このテンションで来られるのはこの方だけです」とスタッフさんに言われてしまう始末。

でも、私は知ってますよ、スタッフさんも吹奏楽部でクラリネット吹いていたこと。



ちなみに
コンダクターは究極のロマンチストですね。

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