石毛秀樹選手 G大阪へ完全移籍
シーズン途中に岡山へ期限付き移籍をすると聞いた時、まさかG大阪とは思わなくても、移籍のリリースが出てしまうことをわずかに覚悟をしたサポーターの皆さんも少なくなかったのではないでしょうか?
石毛選手も気が付けばもう27歳。育成時代から取材をさせていただいた世代なので、サッカーを心の底から楽しんでいる才能あふれる少年のテクニックに驚いたのが、昨日のことのようです。
東日本大震災があった年、U-17日本代表で活躍アジア№1選手に選ばれたことは記憶している方も多いと思います。その翌年、まだ育成所属の石毛選手が鹿児島キャンプに参加すると聞いた時には驚きませんでした。しかし、まさかその2カ月後にはトップ昇格して、トップデビューしてしまうとは思ってもいませんでした。
当然難しさもあったと思います。トップに上がった石毛選手を取り囲んだのは、いつかトップチームへと夢見ている舞台で活躍していた選手たちです。リスペクトし過ぎてしまったのか遠慮していたのが当時少しだけ気になりました。石毛選手はどんな時も自分よりもチームを優先していたように思います。
彼は小さい頃からずっとピッチに立つのが当たり前で育ってきました。だから2019年4月の大怪我から復帰した時、試合に出続けることや怪我をしないことを目標にしていました。怪我さえなければ、試合に出て、チームに貢献できると思っていたからこそのコメントでした。
ピータークラモフスキー監督就任時、彼はとてもポジティブでした。しかし、リーグ再開前の6月に肉離れ、そして9月に再発と本当に不運すぎる状況が続いてしまいました。怪我は仕方がないとして、もっと厳しかったのは、復帰後にも思うように出場機会を得られなかったことだと思います。
そして何よりも、「攻撃が好き、攻撃が楽しい」と言っていた石毛選手に与えられたチャンスは、エスパルスではサイドバックやボランチが多かったということもリアルな現実でした。もちろん嫌がっていたということはなく、与えられたポジションで彼は前向きに頑張っていました。2021年はさらに悔しい思いをたくさんしただろうと思います。
「本当に必要とされる場所でそのチームの為に戦いたい、タイトルを獲りたい」
シェアしたリンクで、コメント全文は読めると思いますが、個人的にはこの一言が最も重く、そしてこれを言うまでにどれぐらい悩んだだろうと想像してしまいました。
本当はエスパルスから世界へ羽ばたいて欲しかった選手の1人でした。本音を言えば、エスパルスで味わった悔しさはエスパルスで晴らして欲しかった。けれど、サッカー選手の1年はとてつもなく貴重です。エスパルス以外のところで、今よりも輝けると彼がプロサッカー選手として決断するのであれば、エスパルス戦以外での活躍を楽しみにしています。
きっとアイスタ日本平でアウェイロッカーに違和感を感じるだろうし、きっと岡山移籍を経験したとはいえ、G大阪はまだ違うクラブだから雰囲気も全く違うと思います。外を見るのは悪いことだと思っていませんし、ここからは自分で自分の居場所を作る必要があります。それはそれで長い人生を考えれば大きな経験となると思います。
怪我だけはしないように心から祈ります。
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