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【322/1096】映画鑑賞記録「Promising young woman」

322日目。今週はTCウィークです。朝起きて、一緒にやる時間があると、自分だけでやるのとは違うなと思います。


さて、映画館で観たかったが、うっかり見逃してしまった「Promising young woman」をようやく観た。

「告発の行方」を観るときくらいのインパクトだった。ちょっと甘くみていたかも。
たまにうっかり強烈なパンチを食らってしまうのだが、この映画はそういう感じ。
キャッチコピーが「甘いキャンディに包まれた猛毒が全身を駆け巡る、復讐エンターテインメント」だったのだが、このキャッチに偽りなしであった。

2021年のアカデミー賞やら、ゴールデングローブ賞やらで、いろいろ受賞しているところが、なんとなく救い。

https://www.youtube.com/watch?v=x-TT7-7d3dk

<あらすじ>
30歳を目前にしたキャシー(キャリー・マリガン)は、ある事件によって医大を中退し、今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーやクラブにひとりで繰り出し、泥酔したフリをして、自らに課したミッションを遂行していた。ある日、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)がカフェを訪れる。この偶然の再会が、キャシーに恋心を目覚めさせ、同時に地獄のような悪夢へと連れ戻すことになる。

「Promising young woman」というのは、日本語にすると「将来を嘱望された若い女性」という感じらしい。
将来を約束されたような若い女の子が、それを棒に振ってまで何をしようとしてるのだろう?と観るものを引きつける。

医学部でとても優秀だった若い女性キャシーが、なにかの事件をきっかけに中退して、今はコーヒーショップで最低賃金で働いていて、どうも友だちのニーナが関係してるらしい。
というのと、そのキャシーが、夜ごとクラブで泥酔したふりをして男に制裁しているというのが、最初のほうにわかる。

泥酔した女を夜、部屋に送っていって、または自分の部屋に誘って一緒に部屋に入ったら、セックスしていい。
そう思っている男は、全世界共通で存在している。
男だけではなく、女も。
そういう場合に「ついて行った女が(も)悪い」という人は、そう思っているのだ。

そういう男たちは、キャシーが突然、素面に戻ると、みな口をそろえて言う。
「狂ってる」「サイコ女」「いかれてる」

シラフだってばよ。

「なにをしてるの?」と聞くのに、
「いいから、いいから」っていうやつが笑える。

なんかこの映画は、ちょっとポップにつくっている。
笑える。
心の底から楽しくて笑えるシーンはひとつもないが、でもおかしくて笑える。

ブスッとして歩いていると通りすがりの男とかが「なんだよ、笑えばいいのに」とか言ってくる。
キャシーが「なんで笑わなきゃいけねえんだよ?」って言うところとか。
ちょっと笑える。

水がほしい。
横になりたい。
帰りたい。

そう言ったのに、
キスして、
下着を脱がす。

What are you doing?

泥酔している女には、
何をしてもいいと、
誰が決めたのだろうか。

卑怯なやり口。
レイプは、アメリカでも日本でも、「抵抗したか否か?」が起訴できるかどうか?の境目だ。
(有罪になるかどうかではなく、起訴できるかどうか?だからね。)

泥酔していたら、抵抗できるはずがない。
意識混濁していたり、記憶がないほどなのだ。
でも、「抵抗しなかったから」という理由で、罪に問えない。
訴えても、「彼女も酔っていたから」という理由で、性交に同意したことになる。
なぜ、酔っていたら、抵抗しなかったら、性交に同意しているのか?
まったく論理的に説明できないが、これがまかり通っている世の中である。
これはアメリカの映画だが、日本でもまったく同じ状況である。
これは、加害者にとって都合の良い論理であることに、人間なら気づく。
同じ人間なら。
人間だと思っていないからできる。
侵略された人間がどれだけ壊れるかは、無視される。
なかったことにされるのだ。
そのことに、この監督は怒っている。
それがものすごく伝わる映画だった。
もちろん、私もそのことにはものすごい怒りがある。
それを怒り以外の表現であらわした映画だなと思った。

こういうとき、女の言い分は聞きもしないのに、男の言い分はよく聞くのだ。
これは、本当によくあることだ。
日本で、女性が警察にこういうことを訴えると、「これによって相手の男性の人生は破壊されるかもしれませんが、その覚悟はありますか?」とかって言われるのだ。
被害に遭った方がだからね。
これ、本当の話だからね。(日本での話)
え?すでに壊された女性の人生は?????????

この映画、復讐劇と恋愛劇が同時進行していくのが、興味深い。
そして、最後のどんでん返しも凄まじい。

この映画は、絶対ネタバレなしで、観たほうがいいです。
でも、後味はすごく悪いです。
何とも言えない、イヤな後味。

この映画観て、この本を思い出した。

こちらの読後も、かなり後を引きます。

では、またね。


しかし、ネタバレしないと書きたいことが書けない。
ゆえに、以下は有料記事。

読みたい人はどうぞ。

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