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【653/1096】いい子症候群~小児期トラウマの影響

幼少期に、「いい子でいなければならない」状況だった子ども。

その小児期トラウマの影響について。
親の態度の豹変が恐く、常に親の顔色を窺い、自分を押し殺して「いい子」でいる。
もちろん、バランスの良い親の元で育っている場合は問題はないけれど、幼少期によく怒られる経験(怒鳴られたり、殴られたり、長時間の叱責や、罰を与えられるなどが常態化している)をした場合、些細なことでも恐れを抱き、びくびくするようになる子どもがいる。
びくびくしていることをまたさらに怒られて、それを封印するように装う。

親が理不尽なことで怒り、おかしいこと、嫌なことがあっても、我慢する以外に選択肢がない。
そのため、自分をそのまま表現することがなく、自分を殺して適応していく。

子どもの希望や欲求を聞くことなく、常に親が自分の欲求に従わせようとする場合、子どもには選択権がない。
親に厳しく怒られることに怯えている子は、自分で判断することを放棄する。

「いい子」であることが、家にいる条件だった場合、愛情は条件付きで与えられるもので、ありのままの自分であってはいけないと思う。
親の要求通りにできないと、怒られたり、無視されたりした場合は、子どもは親の望むいい子でいる以外に生き延びるすべがないと思う。
自分の感情を出したり、自己主張をしたりすると、「わがまま」で「自分勝手」であると謗られ、直すように言われる。
ありのままの自分でいてはいけないと感情に蓋をして生きるようになる。

このように生きてきた人は、大人たちから言われた言葉を真面目に受け止め、そのまま言うことを聞こうとする。
言葉を額面通りに受け取って、それができなくても出来るふりをしたり、できないことは過剰に謝って対応する。

子どもが「いい子」でいることで家庭が維持されているため、家族のために自己犠牲することが当たり前だと思っている。自己犠牲すると、「しっかりしているから助かる」「ずっといい子でいてね」などと言われるので、それが正しいことと思っている。

父親が暴力的である場合、母親は父親のことで精いっぱいになるが、子どもはその母のために自己を犠牲にして頑張る。が、母親のために一生懸命やったことは、報われなかったり、良いことをしたと思ったら「余計なことをして」などと嫌な感情をぶつけられて、それを我慢して吸収する。

自分を押し殺し、ありのままの自分を出すことなく、親の要求通りに「いい子」で居続ける状態は、「服従」の防衛反応である。
親が、機嫌が悪くなるのは、自分のせいであるとし、親が激怒したり落ち込んだり、感情的にならないように、常に親の顔色、機嫌を窺い、正解を探し続けている。
先読みして、周りに気を使い、気を抜くことができなかった子どもが、「いい子」であり、それ以外の自分はいてはならない。自己主張せず、ものすごくまじめでいい子でいて、親を喜ばせようと頑張り続ける。

しかし、「いい子」で居続けると、親からは「この子は放っておいても大丈夫」と思われ、自分に目を向けてもらえなくなり、孤独を感じることになる。

また、自分の嫌な気持ちは封印していい子で居続けているため、親だけではなく、学校や集団の中で、周りの雰囲気が悪くなると自分のせいのように感じ、周りに合わせて正解を言う優等生になる。
周りの人たちとうまくやろうとして、いい人を演じ続けるしかなくなり、自分の嫌という意志は伝えられないままになることも多い。

ずっと親の顔色を窺って、いい子でいることだけを頑張ってきたので、社会に出てもその殻はつけたままになる。愛想を良くして、人に好かれるための自分をつくって、中身はどんどん空っぽになっていく。みんなから好かれていないとその場にいることはできないと、自己認識が歪んでいく。
幼少期、子ども時代は、いい子でいることが防衛として働いていたからまだよかった。
けれども、大人になればなるほど、その防衛機能が生きづらさを招いていく。全方面にいい子で居続けることは不可能であり、それをすることで、意地悪されたり、嫉妬されたり、邪険にされたりする。いい子でいようとすることを利用されることもある。
そもそも、「いい子」は自分の偽りの姿なので、偽ることで自分を見失ってしまい、そのことに苦しむようになる。
けれど、「いい子」でない自分になってしまうと、自分を保つことができなくなり、身体が怠く、重く、動くこともできなくなってしまい、そんな自分を責めるので、うつ症状に陥る。
投げやりな気分に支配されて、どうでもいいと全部を放り投げて逃げ出したくなることもある。
0か1か、という思考に陥りやすい。

そもそもは家族の幸せのために「いい子」でいたので、相手を幸せにすること、相手の気分をよくすることはできても、自分を幸せにすることができない。
大人になると、自分で自分の面倒を見られないことが透けて見えるので、まともな人間関係を築くことが難しくなる。
共依存的な関係性に陥りやすい。
人の気持ちを察するのは敏感だが、自分の感情をその分押し殺すので、不調になりやすく、いつも周りに合わせているので、八方美人とかこうもりのように思われる。
ありのままの自分を肯定されたことがないので、自分で自分を肯定することができず、いつも自分に自信がなく、相手に申し訳なく、相手に合わせすぎてしまう。合わせたのは自分なのだが、自分をなくして相手に合わせることは過度なストレスとなるため、限界を超えると感情が爆発して手がつけられなくなることがある。
感情に振り回されてしまって、感情を適切に扱うことができない。

常にがむしゃらに「いい子」でいることを頑張り続けて、ある日、ぷつんと心が折れる。
もう周りの期待に応えるエネルギーが枯渇して、どこにも行き場がないとなってしまう。

「いい子」でいること、周りに好かれることで、自分の人生をよくしようとしてきたけれど、
本当の自分はこうじゃない、これは自分の人生じゃないと絶望している。
嫌なことがあっても、我慢して耐えるしか選択肢がない。
我慢して耐えるのは、いつか限界がくる。
心か身体かもしくは両方が破綻して、世界が崩壊する。

この状態の人に「いい子でいるのをやめたら」と言ってやめられることはない。
ほかに選択肢がなく、自分で判断することを放棄してきたのであるから。

安全で安心な場に身を置くと、今まで抑圧していたものが噴出して、大事な人を傷つけてしまうことがある。
安心で安全だから出したもので、安心で安全な相手を傷つけて取り返しがつかなくなってしまう。
そして、自分を責めて、人間関係から距離を取り、また孤独に陥る。

小児期に受けたトラウマは、その後の人生に大きく影響する。
回復には、専門家の手助けや同じ仲間を見つけてピアサポートしあうことが不可欠で、ステップを踏んで回復していく。
そのステップは、一直線上ではなく、螺旋的で、何度も同じようなところを通っているかのように感じるが、少しずつ回復の道をたどる。

そして、必ず、身体へのアプローチが必要である。
抑圧は、すべて身体が引き受けている。

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