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高見純代著「愛」It begins quietly as intense love./珈琲の香り漂う愛の物語。

仲良くして頂いている
高見純代さんの「愛」を拝読しました。
「幸せ白書」「追憶の光」に続いて3作目になります。

story

たったひとつ、本当の愛があれば生きていける。
神戸・元町にある喫茶店「ココ」。
色とりどりのステンドグラスの窓、赤いビロードの椅子と黒の机。
店内にはベートーヴェンの『運命』が流れていた。
それは、人生を変えるほどの激しい愛のはじまりだった。
It begins quietly as intense love.激しい愛ほど、静かにはじまる。
「君を大事にしたいんだ」。
そう言って、どうしても抱こうとはしなかった神矢。
代わりに自分の裸体を絵に描くよう頼んだ登世子。
画家とモデルとして苦しいまでに濃密でプラトニックな時間を貫いた二人。
突然に去った神矢のことが忘れられず、年を重ねた登世子の元に一通の手紙が届く――。
Amazonデータベースより


読み始めてすぐ、この小説の持つ雰囲気に惹かれました。
2人が出会った喫茶店「ココ」のお店の設え(ステンドグラスの色彩が伝わってくる表現が印象的でした)、コスタリカコーヒーを愛する店主と、そのコーヒーを愛する神矢。それぞれがぼんやりとオーバーラップし、レトロな喫茶店が大好きな私は、すぐさま2人の世界に入り込む事が出来ました。

神矢が最後までプラトニックラブを貫いた事には、想像を絶する登世子への深い愛情があったのだと後々気付かされます。
登世子にとっては、人生とは、それを確認する長い旅だった事でしょう。

彼を思う気持ちが、これからも生きていく登世子の生きる糧になる。
それは、相手が例え体を失い魂だけになっても同じ事。彼への想いを抱いて生きていく。
そんな登世子を、いつの間にか好きになっている自分がいました。

純代さんの作品は、女性がひとりで困難を乗り越えていく強さが描かれていますが、ただ強いのではなく、深い悲しみがベースにあって、その事がより一層本人を輝かせ
自立して生きる素敵な女性像を際立たせているように感じました。

悲しみや辛さは、ない方がいいに決まってる。
でも、起きた事をしっかり受け止め前へ進む。そんな強い人に私もなりたいです。

純代さんは、こちら↓の記事に書かれているように、「男女の愛」だけでなく「平和の愛」も描きたかったそうです。

そのエピソードは、非常に謙虚に触れられており、私の読解力のなさゆえ危うく見逃すところでした。神矢の渡米理由もそこにあったのかと、改めて記事を拝見して気付きました。

ひとつの小説を書き上げるという事に、今改めて尊敬の念を感じております。
純代さん、愛溢れる素敵なお話でした。読ませて頂きありがとうございました。

ステンドグラスの装飾が美しい、神戸元町の喫茶店「ココ」。
本当にありそうな気がします♬

それではまた。
最後までお読み頂き
ありがとうございました❤︎

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